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大人になりたくない心理|自立と責任が怖い理由

大人になりたくない心理|自立と責任が怖い理由

「年齢は十分に大人なのに、なんだか私って子供っぽい?」

自分に対してそんな風に感じたことはあるでしょうか。

昇進を打診されると妙に腹が立つ、結婚が現実になると急に気持ちが重くなる、親から離れて自分で決める場面になると不安が強くなる。
そんな反応の奥には、「大人になること」そのものへの抵抗が隠れているかもしれません。

この記事では、大人と子どもを分ける責任という視点から、自立や自律、対等な関係、大人になりたくない心理が人生のどこに現れるのかについて解説していきます。

Contents

大人と子どもを分ける責任の持ち方

私たちは人を見て「この人は大人っぽい」「年齢のわりに子どもっぽい」と感じますが、何を基準にそう判断しているのかは意外と言葉にしにくいものです。

大人っぽさは、年齢や落ち着きだけで決まるものではありません。
その人が自分の人生や行動について、どこまで自分で責任を引き受けているかにも表れます。

子どもは、生活の多くを親や養育者に支えられ、自分だけでは決められないことも多くあります。
成長するにつれて、自分で決められる範囲が広がり、その選択から生まれた結果も自分の人生として引き受けるようになります。

親の影響や会社の制度、景気、相手の選択など、自分では決められない要素もあります。
その中で、どこまでが自分の責任で、どこから先は相手や環境の責任なのかを見分け、自分が引き受ける部分を持つ。

この記事では、この責任の持ち方を大人と子どもを分ける大きな違いとして考えていきます。

大人になるとは何が変わること?

では、大人になるとは、具体的に何が変わることなのでしょうか。

前の章で見たように、大人になることは、子どもの頃とは責任の持ち方が変わることでもあります。
その責任が具体的にどこに表れるのか、ここでは5つに分けて見ていきます。

1. 自立して生活を支える

自立には、自分の生活を自分で維持するという側面があります。

生活を成り立たせるためには、たとえば次のようなことが必要になります。

  • 収入を得て生活費をまかなう
  • 食事や住居など日常生活を管理する
  • 税金や保険など必要な手続きをする
  • 体調や予定を自分で管理する

すべてを一人で処理するという意味ではありません。
サービスを利用したり、人の力を借りたりしながら、自分の生活をどう成り立たせるかについては自分が担うようになります。

会社員でもフリーランスでも、この点は同じです。
働き方によって引き受ける範囲は変わりますが、自分の生活を誰が支えるのかという点では、子どもの頃とは立場が変わっています。

2. 自律して自分で決める

自立が生活を支えることだとすれば、自律は、自分の判断基準を持って自分で決めることです。

親や上司、友人に相談して、意見を参考にすることはできます。
そのうえで、最後に「私はどうするのか」を決める人が自分であれば、決定権は自分にあります。

たとえば「この人と結婚してもいいと思う?」と親に意見を聞くことと、親が賛成しなければ結婚できないことでは、決定権の置き場所が違います。
後者では、自分の人生の重要な選択について、最終判断を親に預けています。

精神的な自立には、この自律が深く関わります。

3. 個として他者と関わる

大人同士の関係では、自分にも希望や都合があり、相手にも相手の希望や都合があります。
自分と相手を、それぞれ別の意思を持つ個人として扱うことになります。

恋愛や結婚でも、自分がどんな相手を望むかだけで関係は決まりません。
相手にも選ぶ権利があり、一緒に生活するなら、お金や家事、仕事、将来について2人で考えていくことになります。

子どもの頃は、親が守り、養い、世話をする関係から人生が始まります。
大人になるにつれて、人間関係の中心は「守る人と守られる人」だけではなく、それぞれが自分の責任を持つ個人同士の関係へ広がっていきます。

4. 選択の結果を引き受ける

自分で選べる範囲が広がると、その選択から生まれた結果も自分の人生として扱うことになります。

転職するか残るか、昇進を受けるか断るか、結婚するかしないか。
どちらを選んでも得るものと失うものがあり、決める前に未来を完全に確定することはできません。

誰かに決めてもらえば、結果が思ったものと違ったときに「あの人がそう言ったから」と考える余地が残ります。
自分で選ぶと、その結果を見ながら次にどうするかも自分で考えることになります。

選択する自由が増えることと、その結果を自分の人生として受け取る範囲が広がることは、同時に進んでいきます。

5. 責任の境界線を持つ

大人になると、自分が引き受ける責任の範囲も見分けるようになります。

会社の制度に問題があるなら、その制度を作り運用する責任は会社側にあります。
その環境で働き続けるのか、改善を求めるのか、別の場所へ移るのかは、自分が選ぶ領域です。

恋愛でも、相手が何を考え、どう行動するかは相手の責任です。
自分はその相手とどう関わるのか、何を受け入れるのか、どこで離れるのかを決めます。

自分の責任と相手の責任が混ざると、自分の問題を相手に解決してもらおうとしたり、反対に相手の問題まで自分が背負ったりしやすくなります。
責任を持つことには、何を自分が引き受け、何を相手に返すのかを見分けることも含まれます。

大人になりたくない心理が出る場面

大人になりたくない心理は、「私は大人になりたくない」と自覚できる形で出るとは限りません。
それまでより責任や自己決定が増える局面に入ったとき、理由のはっきりしない嫌悪感や怒り、重さとして表れやすくなります。

ここでは、その心理が見えやすい5つの場面を見ていきます。

1. 昇進を打診されたとき

昇進すると、自分の仕事をこなすだけでなく、人やチームについて判断したり、その結果について責任を持ったりする範囲が広がります。

このとき、「責任が増える」という一点に妙な嫌悪感が出るなら、大人になりたくない心理が刺激されている可能性があります。

「なんで私がそこまで責任を持たなきゃいけないの」
「今の仕事はできているんだから、このままでいいじゃん」
「昇進を打診されること自体が嫌」

そんな感覚が強く出るとき、嫌なのは仕事内容そのものより、これまでより責任を持つ側へ移されることなのかもしれません。

昇進によって給与や勤務条件が悪くなるなど、現実的な不利益を見て嫌だと感じることとは分けて考えられます。
ここで見たいのは、「責任が増えることそのもの」にどんな反応が出るかです。

2. 独立して自分で稼ぐとき

フリーランスや起業では、それまで会社が担っていたことの一部を自分で引き受けるようになります。

仕事をするだけでなく、

  • 仕事を取る
  • 価格を決める
  • 契約する
  • 売上を作る
  • 問題が起きたときに判断する

といった責任も自分の側へ移ってきます。

仕事をする能力は十分にあるのに、「全部自分で決めて、その結果も自分で引き受ける」と考えた途端に強い抵抗が出るなら、独立そのものより責任の増加に反応している可能性があります。

会社員でいる間は組織が引き受けてくれていたものまで、自分の責任として持つ。
独立は、大人になりたくない心理が見えやすい場面のひとつです。

3. 結婚が現実になったとき

結婚したいと思っていても、結婚が現実になった途端に強い抵抗が出る人もいます。

結婚すると、自分は「誰かに選ばれる人」であるだけではなく、相手を選び、一緒に生活を作り、その関係について責任を持つ側にもなります。

恋人に愛されることを望む段階では見えにくかったものが、結婚になると一気に現実になります。

  • 自分はどんな家庭を作るのか
  • 相手に何を求め、自分は何を担うのか
  • 2人の生活について、どこまで自分も責任を持つのか

こうした対等性を突きつけられたときに強い不快感が出るなら、「結婚したくない」の奥に、与えてもらう側から責任を持つ側へ移ることへの抵抗が隠れているのかもしれません。

4. 親から離れて決めるとき

親に相談することと、自分の人生の最終判断を親に任せることは違います。

転職、結婚、住む場所など大きな選択になるたびに、親が賛成してくれなければ決められない。
親から「それでいいんじゃない」と言ってもらって、ようやく動ける。

こうした状態では、自分の人生について決める責任の一部を、まだ親に持ってもらっています。

親から精神的に離れるということは、親の意見を聞かなくなることではありません。
最終的に「私はこれを選ぶ」と決め、その選択を自分の人生として引き受ける側へ移ることです。

そこに強い怖さが出るなら、親離れだけではなく、大人として自分の人生を持つことへの抵抗も重なっていると考えられます。

5. 親の老いや介護に直面したとき

親の老いは、「自分はもう子どもではない」という現実を強く突きつける出来事でもあります。

親が元気なうちは、何歳になってもどこかで「親は自分より強い人」「困ったときには頼れる人」という位置関係を保てます。

その親が弱り、介護や支援を必要とする側へ移ると、これまでの関係が逆転します。

このとき、

「なんで私が親の面倒を見なきゃいけないの」
「親なんだから、いつまでも元気でいてよ」
「私が頼りたい側なのに、なんであなたが弱るの」

という強い怒りが出る人もいます。

介護をしたくないという気持ちだけで、大人になりたくない心理があるとは言えません。
ここで見たいのは、自分の中に「私は今でも親に守ってもらう側である」という前提がどれくらい残っているかです。

親が老いることでその前提が崩れたとき、大人として生きることへの抵抗が思わぬ形で表面に出やすくなります。

なぜ大人になるのが怖いのか

大人になると、選べる範囲が広がる一方で、誰かに預けていたものを自分で持つ場面も増えていきます。
その変化には、自由だけでなく、守られる立場を離れる不安や、失敗を自分の選択として受け取る怖さも含まれます。

ここからは、大人になることへの抵抗が生まれる理由を4つに分けて見ていきます。

1. 守られる立場を失いたくない

それまでの自分を手放すことへの恐れは、自己像の更新に抵抗する心理としても理解できます。

子どもの立場には、自分で決められる範囲が少ない一方で、困ったときには親や周囲の大人が責任を引き受けてくれる安心があります。

大人になるにつれて、自分で稼ぐ、自分で決める、自分で生活を作る範囲が広がっていきます。
それと同時に、「最終的には誰かが何とかしてくれる」という立場からも少しずつ離れていきます。

自由が増えることには魅力を感じても、その自由に伴って、これまで誰かが担っていた責任まで自分の側に移ってくると急に重く感じる人もいます。

大人になりたくない心理の奥には、自由を失いたくない気持ちよりも、守られる立場を手放すことへの抵抗が隠れていることがあります。

2. 自分で決めて失敗するのが怖い

誰かの意見に従って選んだときと、自分で決めたときでは、結果の受け止め方が変わります。

親の勧めで進学した、会社の指示で異動した、周囲に勧められて結婚したという形なら、その選択には自分以外の判断も入っています。
一方で、自分で「これを選ぶ」と決めれば、その結果も自分の選択として受け取ることになります。

人生の大きな選択では、決める前に正解を知ることはできません。
転職して本当にうまくいくのか、結婚して幸せになれるのか、独立して収入を維持できるのかは、実際に選んだあとでなければ分からない部分があります。

その不確実さを抱えたまま自分で決めることに強い怖さがあると、誰かに答えを決めてもらえる状態の方が安心に感じられます。

3. 責任が増えることを損に感じる

責任が増えると、自分で考えたり判断したりする範囲も広がります。

昇進すれば部下やチームについて考える仕事が増え、独立すれば営業や経理まで自分で扱うようになり、結婚すれば自分一人ではなく2人の生活について考える場面が増えます。

このとき、責任が増えることを「できることが増える」と感じる人もいれば、「今までより面倒なことを背負わされる」と感じる人もいます。

後者の感覚が強いと、責任を持つ立場へ移る話そのものに抵抗が出やすくなります。
昇進や結婚、独立といった出来事が嫌というより、そこで自分が担う範囲が広がることに重さを感じている状態です。

4. 対等な関係を求められるのが怖い

子どもと親の関係は、養育する側と養育される側というところから始まります。
子どもは親から守られ、生活を支えてもらいながら成長していきます。

大人同士の関係では、自分にも希望があり、相手にも相手の希望があります。
自分が相手を選ぶのと同じように、相手も自分との関係を選びます。

恋愛や結婚が現実になると、「自分はどんな人と一緒になりたいか」だけではなく、「2人でどんな関係を作るのか」という話が入ってきます。
仕事でも、会社にどんな条件を求めるかだけではなく、自分がその仕事の中で何を担うのかが出てきます。

守られる側と守る側という関係ではなく、それぞれが自分の責任を持つ個人同士の関係になる。
この位置関係の変化そのものに、居心地の悪さを感じる人もいます。

自分の責任から逃げる3つの形

大人になりたくない心理は、責任を引き受ける場面だけでなく、自分が持つはずの責任を誰かに渡したくなるときにも見えてきます。

責任から逃れる形は、大きく分けると「原因」「決定」「結果」の3つです。
ここでは、それぞれどんな形で現れるのかを見ていきます。

1. 原因を親や過去に求める

育った家庭や親との関係は、その後の考え方や人間関係に大きく影響します。
経済状況や家庭環境、親からどのように扱われて育ったかによって、子ども時代に持てる選択肢も変わります。

そのため、自分がなぜ今こうなっているのかを考えたときに、親や過去へ原因をたどること自体は不自然ではありません。

責任逃れが起きるのは、原因を見つけたところで現在の人生まで止まるときです。

「親があんな育て方をしたから、私は自信がない」
「親が変わらない限り、私は幸せになれない」

こうなると、現在の自分の人生まで親の側に置かれます。

親が過去にしたことは親の責任です。
そこから先、自分が今の人生をどうしていくかは別の責任になります。

2. 決断を誰かに任せる

自分で決めることを避けるために、誰かに答えを決めてもらう形もあります。

  • 親に「この人と結婚していいと思う?」と聞く
  • 上司に「私はどうしたらいいですか」と判断を預ける
  • 専門家に「結局どっちを選べば正解ですか」と答えを求める

相談すること自体ではなく、「誰が最後に決めるのか」がここでのポイントです。

自分で決めれば、その選択がうまくいかなかったときも、自分の選択として受け取ることになります。
誰かに決めてもらえば、「あなたがそう言ったから」という形で、決定と結果の一部を相手に持ってもらえます。

大人になることへの抵抗が強いと、自分で決める自由よりも、誰かが正解を決めてくれる安心の方に惹かれやすくなります。

3. 結果を環境のせいにする

自分で選んだあとに、その結果について責任を持ちたくなくなる形もあります。

仕事なら、

「会社が悪いから売れない」
「上司が悪いから評価されない」
「景気が悪いからどうにもならない」

といった形です。

実際に会社の制度や上司の判断、景気や業界構造が結果へ影響していることはあります。
ここで問題になるのは、外部要因があるかどうかではなく、自分が動かせる部分まで一緒に消してしまうことです。

会社の制度は変えられなくても、その会社に残るのか、異動を希望するのか、転職するのかは別の話です。
相手がどう行動するかを自分が決めることはできなくても、その相手とどう関わり、何を求めるかは自分で選べます。

結果の原因をすべて外に置くほど、自分の人生について自分が動かせる範囲も見えにくくなります。

大人になるとは自分の人生を引き受けること

この記事では、大人になりたくない心理について、自立、自律、対等性、責任という視点から解説してきました。

大人になると、自分で生活を支え、自分で選び、選択の結果を自分の人生として扱う範囲が広がっていきます。
同時に、自分の責任と他人の責任を分け、どこまでを自分が引き受けるのかも自分で決めるようになります。

昇進を断ることも、会社員として働くことも、結婚しないことも、それ自体で大人か子どもかが決まるわけではありません。
自分が何を望み、どの責任を引き受け、何を引き受けないのかを自分で選び、その選択を自分の人生として持てるかどうかに、大人としての責任の持ち方が表れます。

誰かに守られる立場を求める気持ちが残っていても、自分の人生を最後に引き受ける人まで他人に任せることはできません。
大人になるとは、自分の人生の最終的な責任を自分の手に戻していくことです。