今の仕事をこのまま続けるのか、転職するのか、もっと違う働き方を探すのか。
考えても方向が定まらず、「自分はキャリア迷子なのかもしれない」と感じる人も多いでしょう。
特に女性がキャリアについて迷う背景には、人生そのものへの迷いなど、いくつもの事情が重なっています。
この記事では、キャリア迷子になる理由や年代による違い、仕事に何を求めているのかを整理しながら、キャリア迷子から抜け出すための考え方について解説していきます。
Contents
キャリア迷子の3分類
キャリア迷子という言葉は、仕事の方向が分からない状態を広く指して使われます。
ただ、同じように「キャリアに迷っている」と感じていても、迷いが生まれている場所は人によって異なります。
ここからは、キャリア迷子を3つに分けて見ていきます。
1. 純粋なキャリア迷子
1つ目は、仕事やキャリアそのものについて迷っている状態です。
一般的に転職支援などで想定される「キャリア迷子」という言葉からイメージされやすいのは、このタイプです。
人生で大切にしたいものや、どんな暮らしをしたいかはある程度見えていても、仕事についての方向が決まらないケースです。
- 今の会社に残るか転職するか
- 今までの職種を続けるか別の仕事へ移るか
- 昇進を目指すか今の立場を続けるか
- 専門性を高めるか仕事の幅を広げるか
- これからどんな働き方を選ぶか
このタイプは、迷いの中心が仕事の領域にあります。
自分がどう生きたいのかまで分からなくなっているわけではなく、その人生の中でどの仕事を選ぶのか、これから仕事人生をどう組み立てるのかで迷っています。
2. 人生の方向性が迷子
2つ目は、仕事より先に人生の方向性が定まっていない状態です。
キャリアを考えようとしても、その前提になる今後の暮らしがまだ見えていないため、純粋にキャリアで迷う前段階がまだ固まっていないケースです。
たとえば、
- 結婚するのか
- 子どもを持つのか
- どこで暮らすのか
- パートナーとどのような生活を作るのか
- 家族と仕事にどのくらい時間を使うのか
こうしたことがまだ決まっていなければ、仕事だけ5年後や10年後まで決めることも難しくなります。
数年後に住む場所が変わるかもしれない人は、勤務地を前提に長期的なキャリアを決めにくくなります。
妊娠や出産を考えている人なら、今後の働く時間や生活の形そのものが変わる可能性があります。
このタイプでは、キャリアについて考えても答えが出ない背景に、仕事を置く土台となる人生の方向性がまだ定まっていない状態があります。
3. アイデンティティの迷子
3つ目は、自分自身についての基準が見えなくなっている状態です。
仕事を選ぶ以前に、自分が何を望んでいるのか、何を大事にしたいのかが分かりません。
- 何が好きなのか分からない
- 何を大切にしたいのか分からない
- どんな生活を心地よいと感じるのか分からない
- 何をしていると自分らしいのか分からない
- 仕事に何を求めたいのか分からない
この状態で「どんな仕事がしたいですか」と聞かれても、答えを出すための基準そのものがありません。
向いている仕事を診断しても、得意なことを棚卸ししても、それを自分が本当に望んでいるのかまでは判断できません。
キャリアの選択肢が足りないというより、選択肢を選ぶ側の「自分」が見えなくなっています。
そのため、表面上はキャリアについて迷っていても、その奥には「私は何を望んでいるのか」「私は何を大切にして生きたいのか」という自己認識の迷いがあります。
キャリア迷子になるきっかけ
では、そもそも私たちがキャリア迷子になるきっかけにはどんな背景があるのでしょうか。
社会人になった頃からずっと仕事の方向が分からない人もいる一方で、働き始めてしばらくは特に迷っていなかったのに、ある時期から急にキャリアについて考え込むようになる人もいます。
ここでは、それまで問題になっていなかったキャリアの迷いが表面に出てくるきっかけを4つに分けて見ていきます。
1. 仕事上の節目
1つ目は、仕事の中でこれまでとは違う選択を求められる時期です。
入社してしばらくは、目の前の仕事を覚えたり経験を積んだりすることで、そのまま進んでいける人もいます。
ところが、ある程度仕事に慣れると、次にどこへ進むのかを自分で選ばなければならない場面が増えてきます。
たとえば、次のような節目です。
- 昇進や管理職の打診
- 異動や配置転換
- 転職を考えるタイミング
- 今の仕事を続けても成長が見えない感覚
- 専門職とマネジメント職の選択
それまでは「今の仕事を続ける」で進めていた人も、選択肢が分かれたところで初めて「自分はどちらへ行きたいのか」を考えることになります。
仕事そのものに大きな不満がなくても、次の行き先を決める必要が出てきたことでキャリア迷子になる人もいます。
2. 人生設計の具体化
2つ目は、それまで深く考えなくても生活できていた将来のことが、現実的な問題になってくる時期です。
若いうちは、結婚や子ども、住む場所などが決まっていなくても、ひとまず今の仕事を続けることはできます。
数年たつと、先送りしていたことについて具体的な判断が必要になる人もいます。
たとえば、
- 結婚するのか
- 子どもを持つのか
- どこで暮らすのか
- パートナーとどのような生活を作るのか
- 将来どのくらいの収入が必要なのか
といったことです。
ここで初めて、仕事だけでは将来を決められないことが見えてきます。
以前はキャリアに迷っていなかったとしても、人生設計まで含めて考える段階に入ることで、今の働き方をそのまま続けていいのか分からなくなることがあります。
3. 価値観や成功基準の変化
3つ目は、自分が仕事に求めるものや、これまで目標にしてきた成功の基準が変わることです。
働き始めた頃は、経験を積むことや収入を上げること、評価されることがそのまま目標になっていた人もいます。
仕事を続けるうちに、以前ほど昇進に魅力を感じなくなったり、収入より自由な時間を重視するようになったりすることもあります。
反対に、安定を優先してきた人が、もっと裁量のある仕事や専門性を求めるようになる場合もあります。
仕事そのものは変わっていなくても、自分の中の基準が変われば、それまで選んできたキャリアとの間にずれが生まれます。
「今までこれでよかったのに、急に分からなくなった」という迷いの背景には、自分の価値観が変化している場合があります。
4. 自分自身への問い
4つ目は、それまで使ってきた外側の基準だけでは、自分の進む方向を決められなくなることです。
学生から社会人になる頃は、就職する、仕事を覚える、評価される、収入を上げるといった分かりやすい目標に沿って進むこともできます。
その間は、自分が本当は何を望んでいるのかを深く考えなくても、大きく立ち止まらずに働ける人もいます。
ところが、ある程度経験を積んだところで、
「私は本当は何をしたいんだろう」
「この仕事を続けたいのは自分なのか、それとも続けるものだと思っていただけなのか」
「何を選べば自分らしいと言えるんだろう」
といった問いが出てくることがあります。
ここでは、仕事の選択肢そのものより、自分が何を基準に選ぶのかが問題になります。
それまで周囲の期待や一般的な成功基準に沿って進めていた人ほど、自分自身の基準を必要とする段階に入ったときに、キャリアの方向も見えにくくなります。
年代別キャリア迷子になる理由の違い
前に紹介した3分類は、年代によっても現れ方が変わります。
年齢だけでキャリア迷子のタイプが決まるわけではありませんが、仕事で求められる役割や人生で考えることが変わるため、迷いの中心も変化していきます。
ここでは、20代30代40代でキャリア迷子がどのように現れやすいのかを見ていきます。
1. 20代|人生の方向性の迷子
20代では、純粋に仕事だけで迷っているというより、人生の方向性がまだ定まっていないことがキャリアの迷いにつながるケースが多いでしょう。
社会人として働き始めても、その先の暮らしまで決まっているとは限りません。
- 結婚するのか
- 誰とどこで暮らすのか
- 子どもを持つのか
- 今いる地域で働き続けるのか
- 仕事を人生のどのくらいの位置に置くのか
こうしたことがまだ動いている時期に、仕事だけ5年後や10年後まで決めようとしても難しい人はいます。
特に仕事を人生の最優先にしているわけではない人にとっては、仕事以外の人生がどうなるのかによって選べるキャリアも変わります。
今の仕事に大きな問題がなくても、「この仕事を続けたいのか」と聞かれると答えられない。
それは仕事への興味だけの問題ではなく、その仕事を置く人生全体の形がまだ見えていないからかもしれません。
20代のキャリア迷子には、キャリアそのものより先に、これからどんな人生を作るのかという迷いが重なっていることが多いのです。
20代後半からの人生の方向性の迷いとクォーターライフクライシスについては、こちらで整理しています。
2. 30代|純粋なキャリア迷子と人生設計の迷い
30代では、純粋なキャリア迷子が表面に出てくる人が増えてきます。
仕事にもある程度慣れ、これまでの経験や自分の得意不得意も見えてくる一方で、この先どこへ進むのかを自分で選ぶ場面が増えるからです。
同じ時期に、人生設計について現実的な判断を求められる人もいます。
たとえば、次のような選択が重なります。
- 昇進や管理職
- より専門性を高める仕事
- 転職やキャリアチェンジ
- 結婚
- 妊娠や出産
- 住む場所や家族との暮らし方
仕事だけを見れば、次の段階へ進む選択ができます。
一方で、妊娠や出産などによって数年後の働き方が変わる可能性があれば、仕事だけを基準には決められません。
30代では、「どんなキャリアを選ぶか」という純粋なキャリアの迷いと、「これからどんな人生を作るか」という人生設計の迷いが同時に存在しやすくなります。
仕事の方向が見えないという同じ状態でも、実際にはこの2つが重なっている人もいます。
3. 40代50代|アイデンティティの迷子
40代50代になると、仕事の選択や人生設計に加えて、自分自身についての迷いが表面に出てくる人もいます。
それまで積み上げてきたキャリアがあるからこそ、「これをこの先も続けたいのか」という問いが現実味を持ち始めます。
昇進してきた人も、専門職として経験を積んできた人も、家庭を優先してきた人も、それまで選んできた道が自分にとって本当に合っているのかを改めて考える時期があります。
若い頃には、
- 評価される仕事をする
- 収入を上げる
- 結婚や子育てと仕事を両立する
といった目の前の課題に沿って進むことができても、それが一段落したときに次の基準が見つからない人もいます。
すると迷いは、「転職するか」「今の会社に残るか」だけでは収まりません。
- これから何を大事にしたいのか
- 仕事をどのくらい続けたいのか
- 誰かに求められる役割を離れたときに、自分は何を望んでいるのか
そうした自分自身への問いがキャリアの迷いと重なってきます。
40代から50代にかけては、仕事の方向を決める問題の奥に、これまでの自分とこれからの自分をどう捉えるのかというアイデンティティの迷いが現れる人もいます。
50代でこれからの働き方を具体的に見直したい場合は、50代からの働き方の再設計も参考にしてください。
キャリア迷子からの抜け出し方
キャリア迷子から抜け出す方法は、迷いが生まれている場所によって変わります。
自分の迷いに合わない方法を続けても、考えることが増えて方向が見えにくいままになりやすいです。
ここからは、3つのタイプごとにキャリア迷子からの抜け出し方を見ていきます。
1. 純粋なキャリア迷子|キャリアの整理
1つ目は、仕事やキャリアそのもので迷っているタイプです。
人生で大切にしたいことや自分自身の基準はある程度見えているため、整理する対象を仕事に絞れます。
たとえば、次のような点です。
- 今の職場に問題があるのか
- 仕事内容を変えたいのか
- 働き方を変えたいのか
- 仕事に求める条件が変わったのか
- 自分に合う職種や働き方について情報が足りないのか
仕事内容には納得していて職場環境だけが合わないなら、転職によって状況が変わる可能性があります。
会社には不満がなく仕事内容が合わないなら、社内異動や職種変更が選択肢になります。
仕事内容や職場環境を整理したあとも、転職するか今の会社に残るかを決める判断軸で迷っている場合は、こちらも参考にしてください。
自分に合う仕事が分からない場合は、これまでの経験や得意なことを整理したり、知らない職種や働き方について情報を集めたりすることで選択肢が見えてきます。
このタイプでは、キャリア相談やキャリアコンサルティングなど、一般的なキャリア支援も使いやすい方法です。
迷いの中心が仕事にあるため、仕事についての情報と判断基準を増やすことが、そのまま次の選択につながります。
2. 人生の方向性が迷子|人生の方向性の整理
2つ目は、キャリアを決める前提となる人生の方向性がまだ見えていないタイプです。
このタイプでは、仕事だけを細かく分析しても、人生側の条件が動けば選びたいキャリアも変わります。
整理するのは、これからの仕事より少し広い範囲です。
- 結婚やパートナーとの生活を望んでいるのか
- 子どもを持つことを望んでいるのか
- どこで暮らしたいのか
- 仕事を人生のどのくらいの位置に置きたいのか
- 仕事以外で実現したい生活があるのか
たとえば、結婚して家庭を持つことが自分の人生で大きな希望になっている人なら、キャリアだけを考え続けるより、結婚に向けた行動を具体化する方が人生全体は動き始めます。
出会いの機会を増やしたり、必要であれば結婚相談所を利用したりして、仕事以外の人生も実際に進めていくという方法です。
反対に、数年先の生活がまだ決められない時期もあります。
その場合は、10年先までキャリアを固定せず、今の生活に合う仕事を選びながら、状況が変わったときに選び直せる余地を残す形もあります。
人生の方向性が迷子になっている人にとっては、キャリアを早く確定することより、仕事を含めた人生全体の方向がどこへ向かっているのかを整理することが抜け出す手がかりになります。
3. アイデンティティの迷子|自己理解と自己対話
3つ目は、仕事や人生を選ぶための自分自身の基準が見えなくなっているタイプです。
この状態では、求人を増やしたり適職を探したりしても、「その中から何を選びたいのか」を判断する基準がありません。
向き合う対象は、仕事の選択肢より自分自身です。
自己理解を進めるときには、いきなり「本当にやりたいことは何か」という答えを出すより、これまでの経験を具体的に振り返る方が手がかりを見つけやすくなります。
たとえば、次のような部分です。
- どんな選択をしたときに強い違和感が残ったか
- どんな場面では無理をせずにいられたか
- 周囲から評価されても自分では満たされなかったものは何か
- 自分で選んだつもりでも周囲の期待に合わせていたものは何か
- 仕事以外では何に時間や関心を向けてきたか
こうした経験をたどると、自分が何を望んでいるのかを直接答えられなくても、自分に合わなかったものや繰り返し求めてきたものは見えてきます。
自己対話は、その断片を拾いながら、自分が何を大切にしているのかを少しずつ言葉にしていく作業です。
アイデンティティの迷子では、転職によって環境を変えるだけでは同じ迷いが残る可能性があります。
自分の基準が見えてくることで、仕事をどう選ぶかだけでなく、仕事を人生の中にどう置くかも考えられるようになります。
自分の人生に合う働き方
この記事では、キャリア迷子の3分類、迷いが始まるきっかけ、年代による現れ方の違い、タイプごとの抜け出し方について解説してきました。
キャリア迷子には、仕事やキャリアそのもので迷っている状態、人生の方向性が定まらないことでキャリアも決められない状態、自分自身の基準が見えないことで仕事を選べなくなっている状態があります。
迷いの中心が仕事にあるなら、職場や仕事内容、働き方、仕事に求める条件を整理することで次の選択肢が見えてきます。
人生の方向性が定まっていないなら、仕事だけを先に決めるより、これからどんな暮らしや人生を望んでいるのかがキャリアを考える前提になります。
自分自身の基準が見えなくなっているなら、転職先を探す前に、自分が何を大切にしてきたのか、何を望んでいるのかを理解することが先になります。
同じ「キャリア迷子」でも、迷っている場所によって考える対象は変わります。
仕事だけで答えを出そうとせず、自分がどの部分で迷っているのかを見ることで、自分の人生に合う働き方を考える道筋も変わってきます。