50代になると、これまでの働き方をこの先も続けるのか、それともどこかで変えていくのかを考える場面が増えてきます。
定年や60代以降の働き方が現実的なテーマになる一方で、働き方そのものは以前より多様になり、昔と同じ前提だけでは今後のキャリアを考えにくくなっています。
今の仕事を続けるのか、別の仕事へ移るのか、働く時間や仕事の持ち方を変えるのか。
選択肢が広がった分、自分に合う形をどう考えればいいのか迷う人もいるでしょう。
この記事では、50代女性のセカンドキャリアについて、これまでの経験とこれからの生活を踏まえながら、今後の働き方をどう組み直していくかについて解説していきます。
Contents
- 50代のセカンドキャリアは簡単ではない
- 50代からの働き方を考える4つの軸
- 1. 何歳までどんな働き方をしたいか
- 2. どれくらいの収入を持っていたいか
- 3. 仕事にどれくらい時間を使いたいか
- 4. これから仕事を人生の中でどう位置づけたいか
- これまでのキャリアを整理する4つの視点
- 1. 仕事内容
- 2. 経験やスキル
- 3. 役割や責任
- 4. 働く条件
- セカンドキャリアへの移行方法
- 1. 今の会社で働き方を変える
- 2. 転職で環境を変える
- 3. 副業や兼業を組み合わせる
- 4. 業務委託や独立へ移る
- 新しい分野へ進むときの準備
- 1. 今ある経験との接点を探す
- 2. 足りない知識やスキルを学ぶ
- 3. 小さく実務経験をつくる
- 4. 仕事として続けられるか確かめる
- 50代だから選べないと思ったときに見直すこと
- 1. 正社員転職だけを前提にしていないか
- 2. 未経験をゼロからと考えていないか
- 3. 年齢だけで選択肢を決めていないか
- 4. 1回で次のキャリアを決めようとしていないか
- 50代からのセカンドキャリアを考えるときに
50代のセカンドキャリアは簡単ではない
50代からセカンドキャリアを組み直す難しさには、この年代ならではの背景があります。
今は、副業や兼業、業務委託、リモートワークなど、働き方の自由度が以前より大きく広がっている一方で、現在50代の人が働き始めた頃は、今よりも働き方の型がずっと固定されていました。
正社員として会社に入り、そこで経験を積み、年齢とともに役割や給与が上がっていく。
そうした働き方を前提に、20年、30年とキャリアを積んできた人も少なくありません。
ところが、働いている間に社会の側が大きく変わりました。
今では、1つの会社だけにキャリアを預けず、複数の仕事を持ったり、会社員を続けながら別の仕事を育てたりする働き方も現実的な選択肢になっています。
そのため、一見すると「働き方の選択肢が増えて自由になった」と見えますが、長い時間をかけて身につけてきた「働くとはこういうもの」という感覚と、今の働き方の前提にずれが生まれていることで、逆にセカンドキャリアに迷いが出やすくなっているのです。
仕事だけではなく、人生全体に「このままでいいのか」という感覚が広がっている場合は、ミッドライフクライシスとは?40代50代でこのままでいいのかと感じるときとも重なる部分があります。
50代からの働き方を考える4つの軸
50代から今後のセカンドキャリアを考えるとき、いきなり「次は何の仕事をするか」を決めようとしても、なかなか答えは出ません。
その前に整理しておきたいのが、自分はこれから何を基準に働き方を選ぶのかということです。
同じ50代女性でも、置かれている状況はかなり違います。
結婚している人もいれば独身の人もいます。
子どもがいる人もいればいない人もいて、すでに子育てが終わっている人や孫がいる人もいます。
親の介護が始まっている人もいれば、家族に使う時間が以前より減った人もいます。
住んでいる場所、持ち家か賃貸か、これまでの働き方、貯蓄、退職金の有無もそれぞれです。
そのため「50代女性ならこの仕事がおすすめ」「50代ならこの働き方が正解」という一般的な答えだけでは、自分のセカンドキャリアは決めにくくなります。
基準になるのは、外側にある正解よりも「私の場合はどうなのか」です。
1. 何歳までどんな働き方をしたいか
1つ目は、何歳まで働きたいのかだけではなく、年齢によって働き方をどう変えていきたいのかです。
70歳くらいまでは働きたいけれど、65歳を過ぎたら毎日会社へ通う働き方は減らしたい人もいるでしょう。
できれば生涯何らかの仕事を続けたいけれど、60代以降は勤務日数を減らしたい人もいます。
反対に、今の仕事が好きで、働ける間は今に近い形で続けたい人もいます。
自宅でできる仕事へ少しずつ移りたい人や、ある年齢からは会社員ではなく別の形で仕事を持ちたい人もいるでしょう。
「何歳まで働くか」だけではなく、「何歳くらいまで今の働き方を続けたいのか」「その後はどんな形なら働き続けたいのか」まで分けて考えると、50代から先の時間軸が見えやすくなります。
2. どれくらいの収入を持っていたいか
2つ目は、これから仕事からどれくらいの収入を持っていたいのかです。
住宅費や教育費がまだ残っていて、今と同程度の収入が必要な人もいます。
一方で、大きな支出はすでに落ち着いていて、生活のために高い収入を必要としない人もいます。
生活には困らなくても、自分自身の収入は持ち続けたいという人もいるでしょう。
老後に向けて資産をもう少し増やしたい人もいれば、収入が多少下がっても時間や自由度を増やしたい人もいます。
そのため50代以降は、「最低限いくら必要か」だけではなく、「これから仕事からどれくらいの収入を得ていたいか」まで含めて考えると、選ぶ働き方も変わってきます。
3. 仕事にどれくらい時間を使いたいか
3つ目は、これからの人生の中で仕事にどれくらい時間を使いたいのかです。
週5日フルタイムから勤務日数を減らして、趣味や家族との時間を増やしたい人もいます。
一方で、子育てなどがようやく一段落して、これまでより仕事に時間を使いたい人もいるでしょう。
今までできなかった仕事に挑戦したり、起業したり、住む場所まで変えて新しい働き方を始めたい人もいます。
50代だから仕事の比重を下げるとは限りません。
これまで仕事に使ってきた時間を減らしたいのか、今まで以上に使いたいのか、それとも別の仕事へ振り分けたいのかによって、セカンドキャリアの形も変わります。
4. これから仕事を人生の中でどう位置づけたいか
4つ目は、これから自分にとって仕事をどんなものとして持っていたいのかです。
これまでは生活費を稼ぐことや家族を支えることが仕事の中心だった人が、50代以降は仕事にやりがいや自己実現を求めるようになることもあります。
反対に、これまで仕事を自己実現の中心に置いてきた人が、これからは生活や老後資金のための収入源として仕事を位置づけることもあります。
人とのつながりを持つために働きたい人もいれば、社会との接点を残したい人もいます。
仕事そのものより、自由な時間や家族との生活を優先したい人もいるでしょう。
「何の仕事をするか」を決める前に、自分にとって仕事が何のためにあるのかを考えると、同じ仕事内容でも選び方が変わってきます。
仕事だけではなく、これから自分の人生をどう生きたいのかまで含めて考えたい場合は、自分のために生きるとは?意味と自分の人生を取り戻す方法でも、人生の中で何を大切にしたいのかを整理しています。
これまでのキャリアを整理する4つの視点
これからの働き方の基準が見えてきたら、次に整理したいのが、これまでのキャリアの中身です。
長く働いていると、自分のキャリアを会社名や職種名だけで捉えやすくなります。
しかし実際には、同じ職種でもやってきた仕事、身につけた経験、担ってきた役割、働いてきた条件は人によって違います。
今のキャリアをいくつかの要素に分けて見ると、次の仕事にも持っていきたいものと、これから変えたいものが見えやすくなります。
1. 仕事内容
1つ目は、これまで実際にどんな仕事をしてきたのかです。
同じ「営業」でも、新規開拓が中心だった人と既存顧客との関係づくりが中心だった人では経験が違います。
事務職でも、入力作業が中心だったのか、社内調整や業務改善まで担っていたのかによって中身は変わります。
仕事の中には、これからも続けたい部分と、もう続けたくない部分があるかもしれません。
職種名だけで考えず、実際に担当してきた仕事を細かく見ると、次のキャリアへ持っていける部分も見つけやすくなります。
2. 経験やスキル
2つ目は、仕事を通して身につけてきた経験やスキルです。
資格や専門技術だけがスキルではありません。
顧客との調整、人に説明する力、後輩を育てた経験、トラブルへの対応、業務を整理する力など、長く働く中で身につけてきたものもあります。
自分にとって当たり前になっていることほど、本人はスキルとして認識していない場合があります。
同じ会社では普通だった経験が、別の会社や別の仕事では価値を持つこともあります。
新しく何を学ぶかだけではなく、すでに何を持っているのかを見ることも、セカンドキャリアを考える材料になります。
3. 役割や責任
3つ目は、これまでどんな役割や責任を担ってきたのかです。
管理職として人をまとめてきた人もいれば、専門職として特定の分野を支えてきた人もいます。
後輩を育てる役割、顧客との調整役、部署間をつなぐ役割など、肩書きには表れにくい役割を長く担ってきた人もいます。
その中には、これからも続けたい役割もあれば、今後は手放したい役割もあります。
仕事内容は好きでも管理職として大人数を抱える働き方は続けたくないなど、仕事そのものと役割を分けて見ると、変えたい部分がより具体的になります。
4. 働く条件
4つ目は、これまでどんな条件で働いてきたのかです。
勤務時間、勤務日数、通勤、勤務地、雇用形態、収入などもキャリアの一部です。
仕事内容はそのままでも、フルタイムから短時間勤務へ変えたり、通勤中心から在宅勤務を取り入れたりすると、生活との関係は大きく変わります。
反対に、これまでは家庭の都合で短時間勤務だったけれど、これからは仕事の時間を増やしたい人もいます。
仕事そのものと働く条件を分けて見ると、「仕事を変える必要があるのか」「条件を変えればいいのか」も整理しやすくなります。
セカンドキャリアへの移行方法
これからの働き方と、今までのキャリアの中身が見えてくると、次に考えるのが、現在の働き方からどう移行するかです。
セカンドキャリアへの移り方は、現在の仕事を辞めて別の会社へ転職する形だけではありません。
今の会社に残りながら働き方を変える方法もあれば、別の仕事を並行して持つ方法もあります。
どの方法が合うかは、収入や時間、現在の勤務先の制度、これからやりたい仕事によって変わります。
1. 今の会社で働き方を変える
1つ目は、今の会社に在籍しながら働き方を変える方法です。
仕事内容や役割を変えたり、勤務時間や勤務日数を調整したりすることで、今までの経験を残しながら働き方だけを変えられる場合があります。
管理職から別の役割へ移ることや、専門性を活かせる仕事へ比重を移すことも考えられます。
今の会社で働くこと自体には大きな不満がない場合、転職する前に社内でどこまで変えられるかを見るという選択肢もあります。
2. 転職で環境を変える
2つ目は、これまでの経験を活かしながら働く会社や環境を変える方法です。
同じ業界や職種で経験をそのまま使う転職もあれば、これまで身につけたスキルを別の業界で使う転職もあります。
50代の転職では、年齢だけではなく、これまで何をしてきたのか、次の職場で何を提供できるのかによって選択肢が変わります。
今の仕事を辞めるかどうか自体で迷っている場合は、別記事50代で仕事を辞めたい女性へ|辞めどきと次の働き方で、退職するかどうかの判断を整理しています。
3. 副業や兼業を組み合わせる
3つ目は、現在の仕事を続けながら別の仕事を持つ方法です。
今の収入を残したまま、新しい分野を小さく試せるのが副業や兼業の特徴です。
最初は週末や空いている時間だけ別の仕事を始め、続けられそうであれば少しずつ比重を変えていくこともできます。
複数の仕事を並行して持つパラレルキャリアの形なら、1つの仕事だけにキャリアを絞らず、それぞれ違う役割を持つこともできます。
実際に副業や兼業ができるかどうかは、勤務先の就業規則や現在の仕事内容によって異なりますが、今の時代的にも許可されるケースも珍しくないでしょう。
4. 業務委託や独立へ移る
4つ目は、会社との雇用関係ではなく、業務委託や独立という形で仕事を持つ方法です。
これまでの経験や専門性を仕事として提供できる人は、現在の会社員生活と並行しながら少しずつ仕事を受ける形もあります。
最初から会社を辞めて独立する場合もあれば、副業として始めた仕事の比重が徐々に大きくなり、結果として独立へ移る場合もあります。
会社員とは収入の安定性や社会保険、契約の仕組みなどが異なるため、同じ仕事内容でも働き方としては別の選択肢になります。
新しい分野へ進むときの準備
これまでとは違う仕事や分野に興味がある場合、何を準備するかもセカンドキャリアの一部になります。
今持っている経験と新しく身につけるものをどうつなぐかによって、新しい仕事への入り方も変わります。
1. 今ある経験との接点を探す
1つ目は、新しく興味を持っている分野と、これまでの経験との接点を見ることです。
まったく違う仕事に見えても、人と関わる経験、企画、営業、事務、マネジメントなど、共通して使える部分がある場合があります。
たとえば長く接客をしてきた人が別の対人支援の仕事へ進む場合、業界は変わっても、人の話を聞くことや相手に合わせて説明する経験は残ります。
新しい仕事をすべて未経験として見るのではなく、どこまでがすでに持っている経験で、どこからが新しく学ぶ部分なのかを分けて考えると、準備する内容も見えやすくなります。
2. 足りない知識やスキルを学ぶ
2つ目は、新しい分野へ進むために足りない知識やスキルを補うことです。
今はリスキリングという言葉も広く使われるようになり、仕事を続けながら新しい知識や技術を学ぶ選択肢も増えています。
学ぶ内容は、流行している資格やスキルを片端から身につければいいわけではありません。
これまでの経験と、これからやりたい仕事の間に何が足りないのかによって必要な学びは変わります。
同じWebスキルを学ぶ場合でも、転職を目指すのか、今の仕事に活かすのか、副業として使うのかによって必要な範囲は違います。
3. 小さく実務経験をつくる
3つ目は、学んだものを実際の仕事で使う経験をつくることです。
知識として理解していることと、仕事としてできることは同じではありません。
副業や知人の仕事、小さな案件などで実際に試すと、自分に合うかどうかや、どこまで仕事として通用するかが見えてきます。
やってみた結果、興味はあっても仕事としては続けたくないとわかる場合もあります。
反対に、最初は小さく始めた仕事が、自分にとって次のキャリアの中心になる場合もあります。
4. 仕事として続けられるか確かめる
4つ目は、新しく始めたことを仕事として続けられるかを見ることです。
楽しいかどうかだけではなく、収入になるのか、継続して依頼があるのか、必要な時間や負担はどの程度なのかも関係します。
副業としてはちょうどよくても、本業にすると負担が大きい仕事もあります。
反対に、最初は小さな副業だったものが、経験や顧客が増えることで安定した収入源になることもあります。
新しい仕事をどこまで大きくするのかも、セカンドキャリアの組み方によって変わります。
50代だから選べないと思ったときに見直すこと
50代からセカンドキャリアを考えていると、「今さら遅い」「未経験では難しい」「もう選べる仕事が少ない」と感じることもあります。
実際に、希望する職種や条件によっては選択肢が限られる場合もあります。
一方で、どんな働き方を前提にしているかによって、見えている選択肢の範囲も変わります。
1. 正社員転職だけを前提にしていないか
1つ目は、セカンドキャリアを正社員転職だけで考えていないかです。
正社員として別の会社へ転職する場合、求人条件や採用のハードルが大きく影響します。
一方で、今の会社で働き方を変える、副業を持つ、業務委託で仕事を受けるなど、働き方を広げると別の選択肢も入ってきます。
正社員転職が合う人もいますが、それ以外の働き方まで含めるかどうかで、セカンドキャリアの見え方は変わります。
2. 未経験をゼロからと考えていないか
2つ目は、新しい分野へ進むことをすべてゼロからのやり直しとして考えていないかです。
業界や職種が変われば、新しく学ぶことはあります。
それでも、これまで身につけてきた顧客対応、営業、企画、調整、マネジメントなどがそのまま使える場合もあります。
何が未経験なのかを細かく分けると、新しく身につける部分と、すでに使える部分が見えてきます。
3. 年齢だけで選択肢を決めていないか
3つ目は、「50代だから」という理由だけで選択肢を狭めていないかです。
同じ50代でも、これまでの経験、持っているスキル、必要な収入、働ける時間、希望する仕事は違います。
専門性を活かして転職する人もいれば、今の仕事を続けながら別の分野を始める人もいます。
一方で、希望する条件と現在の経験が合わなければ難しい選択肢もあります。
年齢だけではなく、自分がどんな条件で何を目指しているのかまで見ないと、実際の選択肢は判断できません。
4. 1回で次のキャリアを決めようとしていないか
4つ目は、次の働き方を1回の選択ですべて決めようとしていないかです。
50代前半では今の仕事を中心にしながら副業を始め、数年後にはその比重を増やすという移り方もあります。
60代になったら勤務日数を減らし、別の仕事と組み合わせる形もあります。
家族の状況や必要な収入、自分が仕事に求めるものが変われば、働き方も変わります。
セカンドキャリアは、次の1社を決めることだけではなく、何年かかけて働き方の比重を組み替えていく形も含まれます。
50代からのセカンドキャリアを考えるときに
この記事では、50代女性がセカンドキャリアを考えるときの4つの軸や、これまでのキャリアの整理方法、現在の働き方からの移行方法、新しい分野へ進むときの準備について解説してきました。
50代では、これまで積み上げてきた仕事や経験がある一方で、これからの生活や仕事に求めるものが変わっている場合もあります。
何歳までどんな形で働きたいのか、どれくらいの収入を持っていたいのか、仕事にどれくらい時間を使いたいのか、これから仕事を人生の中でどう位置づけたいのかによって、選ぶ働き方は変わります。
同じ50代女性でも条件はそれぞれ違うため、セカンドキャリアの形も1つではありません。
これまでのキャリアとこれからの生活の両方を材料にしながら、「私の場合」の働き方を組み直していくことが、50代からのセカンドキャリアを考える土台になります。