長期休みや年末年始が近づくと、親から「次の休みは帰ってくるの?」と連絡が来たり、連絡がなくても「そろそろ実家に帰らなきゃいけないかな」と考えたりして、その度に憂鬱になる人もいるでしょう。
親や実家との関係が良好な友人の話を聞くと、実家をストレスに感じている自分に罪悪感まで湧いてくることはないでしょうか。
この記事では、実家に帰りたくないと感じる理由やそのとき自分の中で起きていることについて解説していきます。
Contents
- 実家に帰ると疲れる理由
- 1. 干渉や詮索をされる
- 2. 比較や否定をされる
- 3. 家族から期待や役割を求められる
- 4. 自分の時間やプライバシーを保ちにくい
- 実家に帰ると自分の中で何が起きるのか
- 1. 昔の子ども役に戻ったように感じる
- 2. 親の顔色をうかがってしまう
- 3. 自分の気持ちや判断を抑えてしまう
- 4. 今の自分でいられない感覚になる
- 帰省したくないと思うと罪悪感があるのはなぜ?
- 1. 親から帰省を期待されているから
- 2. 帰省が当然という空気があるから
- 3. 世間の家族像と自分を比べてしまうから
- 4. 親の期待に応えなければと思っているから
- 5. 帰省しない=親不孝だと考えているから
- 帰らないだけではない距離の取り方
- 1. 今回は帰省しない
- 2. 日帰りや短時間の滞在にする
- 3. 実家には泊まらない
- 4. 実家以外の場所で会う
- 5. 帰省の頻度を減らす
- 帰りたくないと感じる自分を間違いにしなくていい
実家に帰ると疲れる理由
親元を離れて暮らしていると、一人暮らしであれ、結婚して自分の家庭を持っている場合であれ、定期的に実家へ帰省する機会もあるでしょう。
結婚して義理の家族のもとへ行ったり、自分の実家に夫や子どもを連れて帰ったりする場合には、何かと気を遣うことも想像しやすいですが、自分一人で実家へ帰るだけでも疲れてしまう人も珍しくありません。
それでは、実家に帰ると疲れる理由について4つに分けて見ていきましょう。
1. 干渉や詮索をされる
まず考えられるのが、親からの干渉や詮索です。
実家に帰ると、普段は自分だけで決めていることについて細かく聞かれることがあります。
たとえば、
- 仕事はどうなのか
- 結婚はどうするのか
- 夫婦関係はうまくいっているのか
- 子どもの予定はないのか
- お金はちゃんと貯めているのか
など、本人としては話したいと思っていないことまで聞かれるケースもあるでしょう。
親にとっては心配や関心から聞いていることでも、聞かれる側にとっては、自分の生活に踏み込まれているように感じることがあります。
こうした「どこまでが自分の領域で、どこからが相手の領域なのか」という感覚は、境界線(バウンダリー)という考え方から整理することもできます。
さらに、「その仕事はいつまで続けるの?」「もっとこうした方がいいんじゃない?」など、自分の選択にまで口を出されると、実家に帰るたびに自分の生活を説明したり、理解してもらったりしなければならない感覚になっていきます。
そのたびに説明する、かわす、反論しないように気を遣うといったことを繰り返していれば、短い滞在でも疲れやすくなります。
2. 比較や否定をされる
2つ目は、親から比較や否定をされることです。
「〇〇ちゃんは結婚したらしいよ」「同級生の〇〇くんは立派な会社に勤めているみたい」と誰かと比べられたり、自分の仕事や暮らし方について否定的なことを言われたりすることもあるでしょう。
たとえば、
- もっと安定した仕事に就いた方がいい
- そろそろ結婚した方がいい
- そんな生活をいつまで続けるのか
- もう少しちゃんとした格好をした方がいい
など、親としては「ただ自分の意見を言った」認識でも、子供側からすれば自分なりに選んできた生き方を否定されるように感じることもあるものです。
普段は自分の判断で生活していても、実家へ帰ると急に「親から評価される側」に戻ったように感じることが続けば、「また何か言われるかもしれない」と思うのも無理はありません。
3. 家族から期待や役割を求められる
3つ目は、家族の中で決まった役割を求められることです。
家族には、長く一緒に暮らしてきた中で自然にできあがった役割があります。
たとえば、
- 長女だからしっかりする
- 弟や妹の面倒を見る
- 親の話を聞く
- 家族の予定に合わせる
- 場の空気を悪くしない
など、自分でも気づかないうちに担ってきた役割があるかもしれません。
実家を離れている間は、その役割から離れて生活できていても、帰省すると再び昔と同じ立場をお互い無意識でこなしてしまうことも珍しくありません。
親の相談を聞くことが当然になっていたり、家族の予定を優先することを期待されたりすると、自分の都合や気持ちよりも家族の中での役割を優先しやすくなります。
帰省するたびに何かを担わなければならない状態になっていれば、実家は休める場所ではなく、むしろ気を張る場所になっていきます。
4. 自分の時間やプライバシーを保ちにくい
4つ目は、自分の時間やプライバシーを保ちにくいことです。
親元を離れて暮らしていると、寝る時間や食事の時間、休日の過ごし方など、自分なりの生活のペースができています。
ところが実家へ帰ると、
- 食事の時間を家族に合わせる
- 出かける予定を細かく聞かれる
- 一人でいると「何してるの?」と声をかけられる
- 自分の部屋がなく一人になれる場所が少ない
といったことが起こる場合があります。
1つ1つは些細なことに見えても、自分のタイミングで動けない状態が続くと気持ちは休まりません。
「実家だからゆっくりできる」とは限らず、普段より自分のペースを保ちにくいからこそ疲れてしまう人もいます。
実家に帰ると自分の中で何が起きるのか
ここまで見てきたのは、親から何をされるのか、実家でどのようなことが起きるのかという外側の出来事です。
一方で、実家という場所に戻ることで、自分自身の感じ方や振る舞いまで普段とは変わることがあります。
ここからは、実家に帰ったときに自分の中で起こりやすいことを4つに分けて見ていきましょう。
1. 昔の子ども役に戻ったように感じる
1つ目に、実家に帰ることで、良くも悪くも昔の子ども役に戻ったように感じることも多いです。
親元を離れてから何年も経ち、仕事をしたり、家庭を持ったり、自分で生活を組み立てたりしていても、実家に戻ると親子関係の空気は昔のまま残っていることがあります。
普段なら自分で決めていることに口を出されると、反論するより「わかった」と答えてしまう。
親から何か言われると、大人同士の意見の違いとして受け取るより、叱られた子どものような気持ちになる。
このように、実家へ戻った途端に昔と同じ反応をしてしまうことがあります。
今はもう大人として自分の生活を築いているのに、実家では昔の自分に引き戻される。
その感覚そのものが、帰省を重たく感じる理由になることがあります。
2. 親の顔色をうかがってしまう
2つ目は、親の顔色をうかがってしまうことです。
実家にいると、
- 機嫌を損ねないように話題を選ぶ
- 言いたいことがあっても飲み込む
- 頼まれたことを断れない
- 相手が不機嫌になる前に自分が合わせる
といった行動が増えることがあります。
「これを言ったら嫌な顔をされそう」「断ったら機嫌が悪くなりそう」と考えていると、実際に何か言われている時間だけではなく、何も起きていない時間にも相手の反応を気にし続けることになります。
普段の生活ではそれほど人の顔色を気にしない人でも、親の前では昔からの反応が出ることがあります。
実家から帰ったあとにどっと疲れるなら、滞在中ずっと周囲の空気を読みながら過ごしていたことが影響しているかもしれません。
3. 自分の気持ちや判断を抑えてしまう
3つ目は、自分の気持ちや判断を抑えてしまうことです。
- 本当は出かけたくなくても家族の予定に合わせる
- 仕事や結婚について何か言われて嫌だと感じても、その場では笑って流す
- 一人で過ごしたいと思っても、家族に悪い気がして一緒に過ごす
こうした小さな我慢が重なると、自分がどうしたいのかよりも「家族がどう思うか」を優先する状態になっていきます。
実家にいる数日間だけだからと合わせていても、自分の気持ちを何度も後回しにすれば、その分だけ負担はたまります。
帰省そのものが嫌というよりも、実家に帰ったときの「自分を抑えている状態」がしんどいという人もいるでしょう。
4. 今の自分でいられない感覚になる
4つ目は、今の自分でいられない感覚になることです。
実家を離れてから、自分なりの価値観や生活の仕方、人との付き合い方を作ってきた人も多いでしょう。
ところが実家では、今の自分よりも「昔から知っている娘」「この家で育った子ども」として扱われることがあります。
自分自身も家族の空気に合わせているうちに、
- 普段なら言えることを言えなくなる
- 普段なら断れることを断れなくなる
- 自分の考えより親の考えを優先する
- 自分らしい振る舞いがしにくくなる
といった変化が起こることがあります。
実家を出たあとに「家にいるときの自分は、普段の自分とは少し違う」と感じるなら、そのズレが帰省への抵抗感につながっているのかもしれません。
帰省したくないと思うと罪悪感があるのはなぜ?
実家に帰ると疲れると分かっていても、「だから帰らない」と簡単には決められないことがあります。
帰りたくない気持ちとは別に、帰省しないことへの罪悪感が湧いてくるからです。
そもそも罪悪感とは、自分が何か悪いことをしたように感じたり、自分を責めたりするときに生まれる感情です。
ここでは、帰省したくないと思ったときに罪悪感が生まれる背景を5つに分けて見ていきましょう。
1. 親から帰省を期待されているから
1つ目は、シンプルに親から実際に帰省を期待されているからです。
「次はいつ帰ってくるの?」「お正月くらいは帰ってきなさい」「みんな待っているよ」と言われれば、帰省は自分だけの予定ではなくなります。
親が楽しみにしていることが分かっているほど、自分は帰りたくないという気持ちを出しにくくなることもあります。
「帰らなければ寂しい思いをさせるのではないか」「せっかく待っているのだから応えた方がいいのではないか」と考えれば、自分の気持ちだけで決めることが難しくなります。
自分は帰りたくない。
けれど親は帰ってきてほしい。
その2つが反対方向を向いているからこそ、罪悪感が生まれやすくなります。
2. 帰省が当然という空気があるから
2つ目は、家族の中に「休みになったら帰省するもの」という空気がある場合です。
毎年お盆や年末年始に帰ることが習慣になっている家庭では、「帰るかどうか」を毎回選んでいる感覚がないこともあります。
帰ることが最初から予定に組み込まれているため、「今年は帰らない」と決めると、
- 家族の恒例行事から自分だけ抜ける
- これまで続いてきた習慣を自分が崩す
- 家族をないがしろにする
といった感覚を持ちやすくなります。
誰かから強く責められていなくても、「帰るのが普通」という空気があるだけで、帰らない選択には重さが生まれます。
3. 世間の家族像と自分を比べてしまうから
3つ目は、周囲の家族と自分を比べてしまうことから生まれる罪悪感です。
友人が「実家に帰るのが楽しみ」と話していたり、長期休みに家族で帰省している人を見たりすると、自分との違いが目につくことがあります。
SNSなどでも、
- 親子で旅行をする
- 実家でのんびり過ごす
- 孫を連れて帰省する
- 家族みんなで食卓を囲む
といった光景を目にすることがあります。
そうした家族の姿が身近にあるほど、「実家は安心できる場所」「家族なら会いたいと思うもの」というイメージが強くなることがあります。
そのイメージと自分の実感が違うと、「どうして私は実家に帰りたいと思えないんだろう」と自分の方に問題があるように感じやすくなります。
実家をストレスに感じていることに加えて、周囲と違うことへの戸惑いまで重なることで、罪悪感が強くなることがあります。
4. 親の期待に応えなければと思っているから
4つ目は、親の期待には応えなければならないと思っているケースです。
親から直接「帰ってきてほしい」と言われていなくても、
- 本当は帰ってきてほしいはず
- 帰らなかったらがっかりするはず
- 親を寂しがらせてはいけない
- 自分が我慢すれば済む
と考えることがあります。
これまで親を喜ばせることや、期待に応えることを大切にしてきた人ほど、自分がどうしたいかより先に親の気持ちを考えやすくなります。
すると、帰省するかどうかが単なる予定の問題ではなく、「親の期待に応えられる人間かどうか」という話にまで広がっていきます。
特に、親の期待に応えられないと強い罪悪感を抱いてしまう人は、自分の希望よりも親の期待を優先することが長く続いている場合があります。
そのため、帰らないという選択を考えただけでも罪悪感が湧いてきます。
5. 帰省しない=親不孝だと考えているから
5つ目は、帰省しないことと親不孝を結びつけて考えているからです。
「親が元気なうちに会っておいた方がいい」「親を大事にするなら顔を見せるべき」といった考えに触れる機会は少なくありません。
そうした価値観を自分の中にも持っていると、帰省したくないという気持ちと「親を大事にしたい」という気持ちがぶつかります。
実家へ帰ることがつらくても、
「帰りたくないと思う自分は冷たいのではないか」
「これくらい我慢できない自分がおかしいのではないか」
と、自分を責める方向へ向かいやすくなります。
親を大切にしたいという気持ちと、実家に帰ることがしんどいという感覚は、同時に存在することがあります。
帰省したくないと感じることだけで、親を大切に思っていないと決まるわけではありません。
帰らないだけではない距離の取り方
実家に帰ることが負担だと分かったとき、選択肢は「これまで通り帰る」か「もう帰らない」かの2つだけではありません。
親との関係を続けながら、帰省の仕方や会い方を変えることもできます。
ここからは、実家との距離を調整する方法を5つ見ていきましょう。
1. 今回は帰省しない
1つ目は、今回は帰省しないという選択です。
毎回帰省してきた人にとっては、1度帰らないだけでも大きな決断に感じるかもしれません。
けれど、「今回は帰らない」と決めることと、「もう二度と帰らない」と決めることは同じではありません。
仕事が忙しい時期や、自分の生活に余裕がない時期もあります。
実家に帰ることを考えるだけで強く気が重くなるときには、今回は帰らずに自分の生活を優先するという距離の取り方もあります。
そのときの自分の状態を見ながら、今回どうするかを決めてみても良いでしょう。
2. 日帰りや短時間の滞在にする
2つ目は、実家にいる時間を短くする方法です。
数日間泊まると疲れてしまうのであれば、
- 日帰りにする
- 数時間だけ顔を出す
- 食事だけ一緒にする
など、滞在する時間そのものを短くすることができます。
短い時間なら穏やかに過ごせても、長く一緒にいると干渉や衝突が増える関係もあります。
自分が無理なく過ごせる時間に合わせて滞在時間を決めることも、距離を調整する方法の1つです。
3. 実家には泊まらない
3つ目は、帰省しても実家には泊まらない方法です。
実家に泊まると、朝から夜まで家族と同じ空間で過ごすことになります。
一人になる時間がほとんどなかったり、生活のペースを家族に合わせ続けたりすることが負担なのであれば、宿泊場所を分けることで距離を保ちやすくなります。
たとえば近くのホテルなどに泊まれば、
- 家族と会う時間
- 一人で休む時間
を分けることができます。
実家の近くまで行くことと、実家で寝泊まりすることは別です。
会うことはできても泊まることがつらいのであれば、宿泊だけ切り離すという方法もあります。
4. 実家以外の場所で会う
4つ目は、親と会う場所を実家以外に変える方法です。
親と話すことそのものより、実家という場所に入ったときに昔の役割へ戻ってしまう感覚が強い人もいます。
その場合には、
- レストランで食事をする
- カフェで会う
- 一緒に出かける
- 旅行先で合流する
など、実家以外の場所で会う方法もあります。
家の中では親と子どもという関係が強く出やすくても、外では大人同士として話しやすくなることがあります。
「親に会うこと」と「実家に帰ること」を分けて考えることで、自分に合った会い方が見つかることもあります。
5. 帰省の頻度を減らす
5つ目は、帰省する頻度を減らすことです。
これまで毎回の長期休みに帰っていたのであれば、すべての休みに帰る必要はありません。
たとえば、
- 年に数回から年に1回へ減らす
- 年末年始とお盆のどちらかだけ帰る
- 毎年ではなく自分の状況に合わせて帰る
という調整もできます。
帰省するたびに大きく疲れ、その後しばらく回復に時間がかかるのであれば、今の頻度が自分に合っているのかを見直してみてもいいでしょう。
少し間隔を空けた方が、お互いに穏やかに接しやすくなる関係もあります。
自分が無理なく続けられる頻度を探すことも、親との距離を保つ方法の1つです。
帰りたくないと感じる自分を間違いにしなくていい
この記事では、実家に帰りたくないと感じる理由や、実家へ帰ったときに自分の中で起きていること、帰省したくないと思うと罪悪感が生まれる背景について解説してきました。
実家へ帰ると、親から干渉されたり、昔の家族関係の中に戻ったり、自分の気持ちより家族を優先したりすることがあります。
そこに「帰省するのが普通」「親の期待には応えたい」「帰らないのは親不孝かもしれない」という思いが重なると、帰りたくないという自分の感覚まで否定したくなることがあります。
けれど、実家に帰りたくないと感じるのであれば、その感覚が生まれている背景があります。
親を大切に思う気持ちと、実家に帰ることがしんどいという気持ちは、どちらか1つしか持てないものではありません。
帰るか帰らないかだけで考えず、滞在時間を短くする、泊まらない、実家以外で会う、頻度を減らすなど、自分が無理なく保てる距離を選ぶこともできます。
周囲の家族と同じ距離で親と関わる必要はありません。
帰りたくないという自分の感覚も、自分にとってちょうどいい親との距離を知るための1つの手がかりとして受け取ってみてください。