言いたいことがあるのに言えない。
そんなもどかしさを感じる場面は、仕事でも友人関係でも恋愛でも、日常のさまざまなところにあります。
ラブソングでは「言葉にできない想い」がよく歌われますが、言いたいことをうまく伝えられないのは恋愛に限った話ではありません。
人と人とのコミュニケーションの中では、自分の考えをうまく言えなかったり、誤解が生まれたりすることも珍しくありません。
この記事では、言いたいことが言えない理由と、自分の意見や本音を伝えるための考え方について解説していきます。
Contents
- 「言いたいことが言えない」3つのパターン
- 1. 自分の気持ちが分からない
- 2. 気持ちはあるが言葉にできない
- 3. 言葉にはできるが口に出せない
- 言いたいことを言えない理由
- 1. 否定されたり嫌われたりするのが怖い
- 2. 相手の気持ちや空気を優先してしまう
- 3. 自分の考えに自信を持てない
- 4. 不満や希望を伝えることに抵抗がある
- 自分が言えなくなる場面を振り返る
- 1. 誰を前にすると言えなくなるか
- 2. 何を伝えようとすると言えなくなるか
- 3. どんな場面で言えなくなるか
- 言いたいことを伝える方法
- 1. 伝えたいことを先に整理する
- 2. 自分の気持ちや希望として伝える
- 3. 伝える内容を絞る
- 4. 口で言いにくいときは書いて伝える
- 自分の気持ちを置き去りにしないために
「言いたいことが言えない」3つのパターン
「言いたいことが言えない」と一言でいっても、その背景にある状態は同じではありません。
まずは、言いたいことが言えないときに何が起きているのかを、3つのパターンに分けて整理してみましょう。
1. 自分の気持ちが分からない
1つ目は、自分が何を感じているのか、何を言いたいのかがまだ分からない状態です。
相手に何かを言われて違和感は残っている。
なんとなく嫌だった気もする。
けれど「何が嫌だったのか」「本当はどうしてほしかったのか」と聞かれると、自分でもよく分かりません。
この場合は、言いたいことがあるのに発言できないというより、その前の段階である自分の気持ちをつかむところで止まっています。
たとえば、
- 本当は嫌なのか悲しいのか分からない
- 相手に何を求めているのか分からない
- 自分の意見を聞かれても何も浮かばない
- あとになってから「あれは嫌だったんだ」と気づく
といった形で現れることがあります。
普段から相手の気持ちや周囲の状況を優先することが多いと、自分がどう感じているのかを確認する前に、その場に合わせてしまうこともあります。
この状態では、まず「どう伝えるか」を考えるよりも、自分が何を感じているのかを知ることが先になります。
自分の気持ちが分からない状態については、別の記事で詳しく扱っています。
2. 気持ちはあるが言葉にできない
2つ目は、自分の中には確かに気持ちがあるものの、それをうまく言葉にできない状態です。
外国語を学んでいるとき、日本語では言いたいことが分かっていても、それをどう表現すればいいのか分からないというのは、経験がある人も多いでしょう。
それと似たことは、同じ日本語を使っているときにも起こります。
「なんか嫌だった」
「うまく説明できないけれど引っかかる」
「言いたいことはあるのに、ちょうどいい言葉が見つからない」
そんな状態です。
ここには、大きく2つのことが関係しています。
- 自分の考えを整理して言葉にする経験や語彙がまだ足りない
- そもそも自分の感覚にぴったり当てはまる言葉が見つからない
前者は、いわゆる言語化のスキルに近いものです。
頭の中にある感覚を整理し、順序をつけて言葉にすることに慣れていなければ、気持ちがあってもうまく説明できないことがあります。
一方で、どれだけ言葉を知っていても、自分の感覚にぴったり重なる表現が見つからないこともあります。
日本語の「わびさび」が、その意味を完全に置き換えられる英単語を持たず、そのまま海外でも使われることがあるように、人の内側にある感覚も、必ずしも既存の言葉にきれいに収まるとは限りません。
この場合は「何も感じていない」のではなく、感じているものにまだ名前がついていない状態です。
3. 言葉にはできるが口に出せない
3つ目は、自分の気持ちも言いたいことも分かっているのに、実際に相手へ伝えるところで止まってしまう状態です。
「本当は嫌だった」
「今回は断りたい」
「その言い方は傷ついた」
「私はこうしたい」
こうした言葉は頭の中に浮かんでいて、文章にすることもできます。
それでも相手を前にすると、「これは言わない方がいい気がする」「こんなことを言ってはいけない」と強い抵抗を感じ、口にチャックをするように言葉を止めてしまいます。
この状態では、言葉が見つからないことよりも、言ったあとの相手の反応や関係の変化が気になっています。
この記事では、このように言いたいことは分かっているのに、人に伝えるところでブレーキがかかる状態を中心に見ていきます。
言いたいことを言えない理由
ではここからは、先ほど整理した3つの状態のうち「言葉にはできるが口に出せない」というパターンについて、もう少し深く見ていきます。
言いたいことが言葉になっているのに口に出せないとき、その背景には「言ったらどうなるだろう」という予測があります。
言葉そのものが出てこないのではなく、伝えたあとの相手の反応や関係の変化を考えることで、発言にブレーキがかかっている状態です。
ここでは、言いたいことを言えなくなる代表的な理由を見ていきます。
1. 否定されたり嫌われたりするのが怖い
1つ目は、自分の意見を言ったことで否定されたり、嫌われたりすることへの怖さです。
自分の本音を伝えるということは、自分の内側にある考えや希望を相手に見せることでもあります。
そのため、
- そんなことを考えているのかと思われたくない
- わがままだと思われたくない
- 否定されたら傷つく
- 嫌われて関係が悪くなるのが怖い
と感じると、本音を言うことそのものが危険に感じられることがあります。
特に、これまで自分の意見を否定された経験が多かったり、何かを言うたびに責められたりしてきた人は、「言わない方が安全」という感覚を持ちやすくなります。
すると、実際には相手が否定するかどうか分からなくても、言葉を出す前に自分で止めてしまいます。
2. 相手の気持ちや空気を優先してしまう
2つ目は、自分の気持ちよりも相手の気持ちやその場の空気を優先してしまうことです。
「今これを言ったら場の雰囲気が悪くなる」
「相手も大変そうだから言わない方がいい」
「みんな賛成しているのに自分だけ違うことを言いにくい」
こうして相手や周囲のことを先に考えることで、自分の意見や本音を引っ込めてしまいます。
その場では何も言わずに済ませても、あとになってから、
「本当は嫌だった」
「また言えなかった」
「どうして私ばかり我慢しているんだろう」
とモヤモヤが残ることも多いでしょう。
3. 自分の考えに自信を持てない
3つ目は、自分の考えに自信が持てず、口に出す前に引っ込めてしまうことです。
「私の考え方がおかしいかもしれない」
「もっと詳しい人がいるから黙っていた方がいい」
「こんなことを言ったら浅いと思われそう」
このように、自分の意見そのものよりも「間違っていないか」「どう評価されるか」が気になると、言いたいことがあっても発言しにくくなります。
頭の中では意見がまとまっていても、それを口に出せるほどの確信が持てず、そのまま言わずに終わってしまうことがあります。
4. 不満や希望を伝えることに抵抗がある
4つ目は、不満や希望を人に伝えることそのものに抵抗があることです。
「こうしてほしい」
「それは嫌だ」
「今回はできない」
「私は別の方がいい」
こうしたことを伝えようとすると、「わがままだと思われそう」「相手を困らせそう」と感じて、言葉を引っ込めてしまうことがあります。
自分が我慢すればその場が収まるという経験が続いていると、断りたい場面でも引き受けたり、嫌だったことをそのまま流したりしやすくなります。
このパターンでは、言いたい内容が分からないのではなく、自分の希望や拒否を相手に示すこと自体に抵抗があるのが特徴です。
自分が言えなくなる場面を振り返る
ではここから、どんなときに言いたいことが言えなくなるのかを振り返ってみましょう。
自分が言えなくなる条件を整理すると、どこで発言にブレーキがかかりやすいのかが見えやすくなります。
そのパターンが分かると、自分に必要な対処も考えやすくなります。
1. 誰を前にすると言えなくなるか
1つ目は、誰を前にすると言いたいことが言えなくなるのかを見ることです。
同じ内容でも、相手によって言いやすさが変わることの方が多いでしょう。
- 上司や先輩など自分より立場が上の人
- 親や家族など昔から関係が続いている人
- 恋人や配偶者など嫌われたくない相手
- 怒りやすい人や反応が強い人
特定の相手にだけ言えなくなるのであれば、その相手との関係性の中で何を気にしているのかが見えてきます。
「反論されたくない」「失望されたくない」「関係を悪くしたくない」など、相手によって発言を止める理由も変わります。
2. 何を伝えようとすると言えなくなるか
2つ目は、どんな内容を伝えようとすると言えなくなるのかを見ることです。
雑談や仕事上の報告は普通にできても、自分の希望や不満になると急に言えなくなることがあります。
- 断りたいこと
- 嫌だったこと
- 相手に直してほしいこと
- 自分の希望や要望
- 相手と違う意見
言えなくなる内容に共通点があると、自分が何を口にすることに抵抗を感じているのかが分かりやすくなります。
特に、不満や拒否だけ言えないのか、それとも自分の希望を伝えること全般に抵抗があるのかでも、引っかかっている部分は変わります。
3. どんな場面で言えなくなるか
3つ目は、どんな場面になると言葉が止まりやすいのかを見てみると、自分の中の思い込みに気がつくことも多いです。
相手や内容が同じでも、状況によって言えるときと言えないときがあります。
- 大勢の前で発言するとき
- 急に意見を求められたとき
- 相手が怒っているとき
- 話し合いが険悪になっているとき
- その場ですぐに返事を求められたとき
人前に出ると止まるのか、時間がないと止まるのか、相手の感情が強くなると止まるのかによって、発言にブレーキがかかる条件も変わります。
どんな場面で言えなくなるのかまで振り返ると、「自分は言いたいことが言えない人」とひとまとめにせず、言えなくなる条件を具体的に捉えやすくなります。
言いたいことを伝える方法
ではここからは、これまで整理してきた「言えなくなる理由」と「言えなくなる条件」を踏まえて、実際に相手へ伝える方法を見ていきます。
言いたいことを伝えるときは、自分の中にある考えをそのまま出すだけでなく、できるだけ誤解なく相手に届く形に整えることも必要です。
ここでは、言いたいことを伝えやすくする4つのコツを紹介します。
1. 伝えたいことを先に整理する
1つ目は、相手に話す前に、自分が何を伝えたいのかを整理しておくことです。
言いたいことがいくつも頭に浮かんでいる状態では、話している途中で論点がずれたり、本当に伝えたかったことが分からなくなったりすることがあります。
まずは、
- 何があったのか
- 自分はどう感じたのか
- 相手に何を伝えたいのか
- どうしてほしいのか
を分けて考えてみると、話す内容を整理しやすくなります。
頭の中だけではまとまらないときは、メモに書き出してから話す内容を決めてもいいでしょう。
伝えたいことが整理されていると、相手を前にしたときにも言葉を選びやすくなります。
2. 自分の気持ちや希望として伝える
2つ目は、自分の気持ちや希望として言葉にすることです。
たとえば、「あなたはいつも勝手に決める」と言うよりも、「私は先に相談してもらえると助かる」と伝えた方が、自分が何を感じていて何を望んでいるのかが伝わりやすくなります。
同じように、
「普通はこうするでしょう」
ではなく、
「私はこうしてほしい」
「私はこう感じた」
「今回はこうしたい」
という形にすると、自分の意見として言葉にしやすくなります。
相手を評価する言葉よりも、自分の気持ちや希望を主語にすると、伝えたい内容がぶれにくくなります。
3. 伝える内容を絞る
3つ目は、一度に伝える内容を絞ることです。
言えなかったことがたまっていると、この機会に全部話したくなることがあります。
過去の出来事や別の不満まで一度に持ち出すと、話の中心が分かりにくくなり、自分自身も何を一番伝えたかったのか見失いやすくなります。
まずは、その場で一番伝えたいことを1つ決めます。
たとえば、「今回は断りたい」という話をするのであれば、過去に何度も頼まれたことや別の不満まで同時に持ち出さず、まず今回の返事に絞って話します。
伝える内容を小さくすると、話し始めるまでの抵抗も下がりやすくなります。
4. 口で言いにくいときは書いて伝える
4つ目は、口で伝えることに強い抵抗があるときは、文章で伝える方法を使うことです。
対面では相手の表情や反応がすぐに返ってくるため、それが気になって言葉が止まることがあります。
メッセージやメールであれば、自分の考えを整理してから送ることができ、伝えたい内容を途中で引っ込めにくくなります。
特に、
- 緊張すると頭が真っ白になる
- 相手に遮られると何も言えなくなる
- 話しているうちに言いたいことがずれる
- その場では言えずあとから言葉が浮かぶ
という場合は、書いて伝える方が合うこともあります。
口で話すことだけが伝える方法ではありません。
自分が言葉を出しやすい方法を使うことで、伝えたい内容を相手に届けやすくなります。
自分の気持ちを置き去りにしないために
この記事では、言いたいことが言えない理由と、自分の意見や本音を伝える方法について解説してきました。
言いたいことが言えない背景には、相手との関係や自分の中にある抵抗感など、さまざまな要因があります。
自分がどんなときに言えなくなるのか、そのパターンを知っておくことで、相手とのコミュニケーションはもちろん、自分自身との関係性もより深くなっていくでしょう。