ずっと望んでいた結婚が叶ったのに、思っていたほど幸せを感じられない。
結婚生活に期待していた愛情や安心が得られずにショックを受けている人もいれば、望んでいたものは手に入ったのに、なぜか物足りなさを感じている人もいるでしょう。
この記事では、結婚できたのに思ったほど幸せを感じられない背景と、結婚に託していた期待について解説していきます。
Contents
人は物事そのものとイメージをセットで捉えている
私たちは、物事そのものと、そこから連想するイメージや価値を自然に結びつけて捉えています。
たとえば
- マイホーム=家族団らん
- お金=自由
- 筋肉=強さ
といったイメージが浮かぶように、物や出来事には、それが象徴する意味が結びついています。
もちろん、何を連想するかは文化や時代、個人の価値観によって異なりますが、こうした結びつきは私たちの身近なところに数多く存在しています。
特に結婚には、愛されていることや誰かに選ばれたことの証明、安心できる家庭、人生の安定など、さまざまな意味が重ねられています。
かつては「女性の幸せといえば結婚」という価値観も強く、時代が変わった現在でも、結婚は幸せな人生の象徴として捉えられやすいものです。
ここで少し厄介なのが、「幸せ」という言葉の中身は人によってまったく違うということです。
何があれば幸せなのか、どんな毎日を送りたいのかは本来それぞれ異なるはずなのに、結婚には「幸せ」という大きなイメージがひとまとめにして結びついています。
そのため、自分にとっての幸せが具体的に何なのかを意識していなくても、結婚さえすれば、自分が求めている幸せまで手に入るような気がしてしまう。
まるで結婚と幸せがセット商品になっていて、結婚を手に入れれば、その人が望む幸せも自動的についてくるような感覚です。
「結婚」という事象と「事象にくっついてくると認識していたものや感覚」この2つが一致していないと、ずっと望んでいた結婚が叶ったのに、思っていたほど幸せではないという違和感が生まれるのです。
結婚に求める6つの幸せ
では、結婚という幸せの象徴には、具体的にどのような期待が結びついているのでしょうか。
幸せのイメージは、人によって少しずつ異なりますが、ここでは結婚に結びつけられやすい幸せを6つに分けて紹介します。
1. 愛されている実感
1つ目は、誰かから愛されている実感です。
結婚するということは、相手がこれからの人生を自分と共に生きると決めてくれたということでもあります。
その選択に、自分が深く愛されている証拠を見いだす人もいるでしょう。
特に、これまで恋愛で傷ついた経験があったり、自分が本当に愛されるのか不安を抱えていたりすると、結婚に特別な意味が生まれやすくなります。
「私を選んでくれる人がいた」「この人は私とずっと一緒にいたいと思ってくれている」という実感を、結婚という形に期待しているのです。
2. 安心できる居場所
2つ目は、自分が安心して帰れる居場所を持つことです。
仕事で疲れて帰ったときに、家に誰かがいる。
何か特別なことをしなくても、自然体で過ごせる場所があり、そこで自分を受け入れてもらえる。
そんな温かい家庭を築くことに、幸せを感じる人も多いでしょう。
結婚によって、日々の暮らしの中に自分が安心して過ごせる居場所ができることを期待しているのです。
3. 絶対的な味方の存在
3つ目は、何があっても自分の味方でいてくれる人がいるという安心感です。
仕事で失敗したときや、人間関係で悩んだとき、たとえ周囲に理解してもらえなくても、この人だけは自分の味方でいてくれる。
そんな存在が人生にいることを、結婚に期待している人もいます。
恋人同士の関係から夫婦になり、人生を共にするパートナーができることで、「これからは何が起きても1人で抱えなくていい」という心強さを感じられるのでしょう。
4. 将来の安定
4つ目は、これから先の人生に対する安心感です。
独身時代には、老後の生活や経済的なこと、病気になったときのことなど、将来を1人で考える不安を抱えていた人もいるでしょう。
結婚すれば生活を支え合う相手ができ、将来についても2人で考えられるようになります。
経済的な安定だけでなく、これから先の人生を誰かと共有できること自体に、安心を感じる人もいます。
結婚に求めているのは、目先の楽しさだけでなく、長い人生を共に歩める相手がいるという安定感なのです。
5. 人生が順調に進む感覚
5つ目は、自分の人生が着実に前へ進んでいるという感覚です。
結婚や家庭を持つことを人生の大きな目標にしてきた人にとって、結婚は人生の新しいステージに進む節目になります。
ずっと望んでいた結婚を実現し、これからは夫婦として新しい生活を築いていく。
そんな変化に、自分の人生が着実に前進しているという達成感や充実感を覚える人もいるでしょう。
この場合、結婚には愛情や家庭を得ることに加えて、自分が思い描いていた人生を実現できたという意味も含まれています。
6. 人並みであることの安心感
6つ目は、自分も人並みの人生を歩めているという安心感です。
周囲の友人が次々と結婚して家庭を持つようになると、自分だけが取り残されているように感じる人もいます。
特に、結婚することを当たり前の人生の流れとして捉えている人にとっては、結婚していない自分が、周囲より劣っているように感じられるのかもしれません。
「みんなが普通にできていることを、自分だけできていない」という焦りや劣等感を抱えていた人なら、結婚によって、ようやく自分も周囲と同じところに立てたように感じるでしょう。
そこには、特別に幸せになりたいという願いだけでなく、「自分も普通の人生を送れている」「少なくとも人並みの人生を歩めている」という安堵感があります。
つまり、結婚が自分の社会的な立ち位置や価値を確認する手段にもなっているのです。
思ったほど幸せじゃない2つのケース
結婚に期待していた幸せの中身を考えると、結婚後に物足りなさを感じる理由にも違いが見えてきます。
大きく分けると、期待していた幸せが実際には手に入らなかったケースと、期待していたものは手に入ったのに、なぜか満たされないケースです。
この2つでは、結婚に対して感じている違和感の性質が異なります。
1. 期待した幸せが手に入らなかった
1つ目は、結婚すれば得られると思っていた幸せが、現実には得られなかったケースです。
たとえば、結婚すればいつでも自分の味方でいてくれる人ができると思っていたのに、実際には夫が自分の気持ちを理解してくれない。
温かい家庭を築けると思っていたのに、すれ違いが多く、家にいても寂しさを感じる。
こうしたケースは、結婚後の不満や失望がどこから生まれているのかを、比較的つかみやすいのが特徴です。
「結婚したら何が手に入ると思っていたのか」「そのうち何が実際には得られていないのか」と自分に問いかけることで、期待と現実のずれが具体的に見えてきます。
結婚という願いは叶ったものの、その先に期待していた愛情や安心が十分に得られていない。
そのため、思ったほど幸せではないと感じているのだと、自分でも理由を整理しやすいケースです。
2. 期待した幸せは手に入ったのに物足りない
2つ目は、結婚に期待していたものが実際に手に入っているにもかかわらず、どこか物足りなさを感じるケースです。
夫は優しく、自分を大切にしてくれている。
家に帰れば安心できるし、休日には2人で出かけたり、一緒に食事をしたりするのも楽しい。
結婚生活そのものに大きな不満はなく、独身時代に思い描いていた幸せな家庭も、それなりに実現している。
それなのに、人生全体を見渡してみると、期待していたほどの幸福感がない。
不幸せというわけではないけれど、漠然とした物足りなさや「何かが違う」という感覚が残っているのです。
このケースが厄介なのは、先ほどのケースと違って、何が不満なのか、なぜ満たされないのかを自分でもつかみにくいことです。
結婚前に望んでいたものは手に入っているため、何が足りないのかがわからず、何をどう変えれば満足できるのかも見えてきません。
そのため、「結婚できて幸せなはずなのに、どうしてこんな気持ちになるんだろう」と、自分でも説明のつかない違和感に戸惑ってしまうのです。
結婚に限らない心が満たされない理由については、別の記事で詳しく解説しています。
結婚生活が幸せなのに物足りないのはなぜ?
先ほど紹介した6つは、愛情や安心など、結婚によって「何を手に入れたいか」という具体的な期待でした。
しかし、それらを手に入れても物足りなさが残るときには、さらにその奥にある「結婚したら自分の気持ちや人生はどう変わるのか」という、心の深い部分にある無自覚の期待が関係しているのかもしれません。
ここでは、結婚によって得られる幸せそのものよりも、その幸せが自分にどのような変化をもたらすと思っていたのか、3つの期待を見ていきます。
1. 胸が高鳴る毎日が続くと思っていた
1つ目は、結婚によって得られる高揚感が、いつまでも続くと思っていたケースです。
たとえば、独身時代の生活にあまり楽しみがなく、毎日が同じことの繰り返しで、どこか退屈に感じていた人にとって、結婚は日常に大きな変化をもたらす出来事です。
ずっと望んでいた結婚が叶い、好きな人と一緒に暮らし始める。
新しい家での生活や、夫婦として過ごす休日など、何もかもが新鮮で、これから始まる生活を想像するだけでも胸が高鳴るでしょう。
ところが、半年、1年と時間が経つにつれて、結婚生活は次第に日常になっていきます。
一緒に食事をすることも、同じ家に帰ることも当たり前になり、新婚当初のような興奮やワクワクする気持ちは落ち着いていきます。
夫への愛情がなくなったわけでも、結婚生活が楽しくなくなったわけでもないけれど、以前ほど気持ちが高ぶる瞬間がなくなってしまったのです。
もともと結婚に期待していたものが、愛情や安心だけでなく、退屈な毎日を忘れさせてくれるような刺激や高揚感だったとしたら、穏やかで安定した結婚生活に物足りなさを感じるのも不思議ではありません。
結婚によって求めていた高揚感は確かに得られたものの、それが長続きするものだと思っていたために、期待と現実の間にずれが生まれているケースです。
2. 結婚の幸せでほかの不満も帳消しになると思っていた
2つ目は、結婚によって得られる大きな幸せが、それまで抱えていた不満や悩みまで埋めてくれると期待していたケースです。
たとえば、仕事がつまらなかったり、職場の人間関係にストレスを感じていたりしても、結婚して幸せになれば、そんなことは大して気にならなくなると思っていた。
実際に結婚すると、夫と過ごす時間は楽しいし、家庭には安心できる居場所もあります。
それでも、翌朝会社に行けば仕事は相変わらずつまらないし、苦手な上司との関係も変わっていません。
結婚によって人生に大きなプラスが加われば、それまでのマイナスは帳消しになると思っていたのに、実際には両方がそのまま存在している。
つまり、結婚生活への不満というより、結婚の幸せが人生のほかの不満まで解消してくれると思っていたことが、物足りなさにつながっているのかもしれません。
3. 結婚すれば人生そのものが変わると思っていた
3つ目は、結婚によって、それまでとはまったく違う人生が始まると期待していたケースです。
特に、結婚前の生活や自分自身に満足できなかった人にとって、結婚は今までの人生から抜け出し、別の幸せな世界へ行くための切符のように思えたのかもしれません。
ところが、実際に結婚してみると、夫との新しい生活が始まっても、自分自身は結婚前と地続きです。
以前と同じようなことに悩み、同じような不安を感じ、結婚前と変わらない自分として毎日を過ごしています。
「結婚したら、もう以前の自分とは違うはずだったのに」
結婚前の自分や人生を過去のものにしたかった人にとって、以前と変わらない自分が今も続いているという現実は、思いのほかショックなものです。
結婚という切符を手に入れたのに、期待していたほど世界も自分も変わっていない。
その落差が、幸せな結婚生活の中にも、説明しにくい失望や物足りなさを生んでいます。
結婚を叶えた今から自分の幸せを見直す
この記事では、結婚できたのに思ったほど幸せを感じられない背景と、結婚に託していた期待について解説してきました。
結婚は、愛情や安心、家庭を持つ喜びなど、さまざまな幸せを象徴する出来事です。
しかし、その象徴を手に入れることと、自分が求めていた幸せのすべてが満たされることは、必ずしも一致しません。
結婚前には、結婚することが幸せになるための大きな目標だったとしても、実際に結婚してみると、それだけでは満たされない部分が見えてくる人もいます。
結婚生活は幸せなのに、人生全体には物足りなさが残っている。
その違和感の背景には、結婚という形に、自分の人生そのものが変わるという期待まで重ねていた可能性があります。
ずっと望んでいた結婚を叶えた今だからこそ、以前は結婚という大きな目標の陰に隠れていた、自分自身の望みも見えてきます。
自分の望みを整理する自己対話のやり方については、別の記事で詳しく紹介しています。
結婚を手に入れたことと、自分が本当に欲しかった幸せの中身。
その2つを分けて考えることが、結婚後の物足りなさを理解する入口になるのです。