「本当はこう思っている」と伝えたいのに、話し始めようとすると涙が出てくる。
悲しい話をしているわけでもないのに、声が震えたり、言葉が詰まったりして、最後までうまく話せない。
そんな経験が続くと、「どうして本音を言うだけで泣いてしまうんだろう」と戸惑うこともあるでしょう。
特に職場などでは、感情をコントロールできない未熟な人だと思われるのではないかと不安になったり、泣きたくない場面で涙が出ること自体に困ったりすることも。
この記事では、本音を言おうとすると涙が出る理由を整理しながら、自分の場合は何が起きているのか、涙が出ても本音をどう伝えていけばいいのかについて解説していきます。
Contents
なぜ本音を話そうとすると涙が出るのか
では、なぜ本音を話そうとすると涙が出るのでしょうか。
まず、涙は悲しいときだけでなく、怖さや悔しさ、強い緊張、安心や喜びなど、感情が大きく動いたときにも現れる身体反応のひとつです。
そのため感情が高まると、自律神経を含む身体の働きにも変化が起こるため、自分では泣くつもりがなくても、声が震えたり涙が出たりします。
私たちは大人になるにつれて、相手やその場に合わせたコミュニケーションを身につけていきます。
「本音と建前」という言葉があるように、思ったことをすべて口にせず、その場に合った振る舞いを選ぶのも社会への適応です。
ただ、それが続くほど、普段外に見せている自分と、本当の気持ちとの距離が大きくなる人も少なくありません。
そんな人にとって、自分の本音に気づいたり、それを誰かに伝えたりすることは、普段よりも感情が大きく動く出来事になります。
本音を言おうとしたとき、その奥ではどんな感情が動いているのでしょうか。
本音を言おうとしたとき涙の奥にある感情
本音を言おうとして涙が出てしまったとき、その奥でどのような感情が動いているのでしょうか。
もちろん人によって異なりますが、中でも代表的な4つの感情について解説します。
1. 相手への恐怖や不安
1つ目は、相手への恐怖や不安が大きくなった結果、涙が溢れてくるケースです。
これまで自分の意見を言えなかった相手に初めて本音を伝えるときには、「言ったらどうなるんだろう」という怖さが強くなります。
「怒られるかもしれない」
「否定されるかもしれない」
「嫌われるかもしれない」
「関係が壊れるかもしれない」
過去にその相手から強く否定されたり、責められたりしてきたなら、以前のやり取りがよみがえり、まだ何も起きていない段階から身体が緊張することもあるでしょう。
その恐怖や不安が大きくなると、声が震えたり、涙が出たりといった反応につながります。
2. 悲しみや寂しさ
2つ目は、悲しみや寂しさに気がついたことで、涙が溢れてくるケースです。
「本当は寂しかった」
「ずっと傷ついていた」
「わかってほしかった」
「もっと大切にしてほしかった」
普段は脇に置いていた気持ちでも、本音として言葉にしようとした瞬間にはっきり見えてくることがあります。
そこで初めて、「私はこんなに寂しかったんだ」「思っていた以上に傷ついていたんだ」と、自分の悲しみの大きさに気づく人もいます。
その気持ちに触れた瞬間、言葉より先に涙が出てくることもあります。
3. 怒りや悔しさ
怒りや悔しさによって、涙が出てくることもあるでしょう。
「どうして私ばかり我慢してきたんだろう」
「本当はずっと嫌だった」
「なんであのとき何も言えなかったんだろう」
本音を口にしようとしたことで、それまで押さえていた怒りや悔しさが急にはっきりする人もいます。
怒っているのに涙が出る。
言い返したいのに声が震える。
涙が出ているからといって、その奥にある感情が悲しみとは限りません。
怒りや悔しさが強く動いた結果として、涙が出る人もいます。
4. 安堵や安心
そして4つ目に、安堵や安心を感じることでも、涙が出てくることは珍しくありません。
ずっと言えなかったことを、ようやく口にできた。
誰にも話せなかった気持ちを、初めて誰かに話せた。
そんなときには、それまで張りつめていた緊張がゆるみ、「やっと言えた」という安心が一気に広がります。
さらに、相手が否定せずに話を聞いてくれたり、自分の気持ちを受け止めてくれたりすれば、ほっとした瞬間に涙があふれることもあります。
怖さや悲しさではなく、安心したからこそ出る涙もあります。
本音を言うと涙が出るのはHSPや病気が原因?
本音を話そうとするたびに涙が出ると、「もしかして私はHSPなのかな」「何か心の病気があるのでは」と気になる人もいるかもしれません。
HSPは、周囲から受ける刺激や感情への反応が強い傾向を表す言葉で、病気や精神疾患の診断名ではありません。
そのため、本音を言おうとすると涙が出るという反応だけで、HSPかどうかを判断することはできません。
反対に、HSPではない人でも、本音を話す場面で感情や緊張が大きく動けば涙が出ることはあります。
病気についても同じです。
「本音を話すときに涙が出る」というひとつの反応だけから、心の病気があるとは判断できません。
ただ
- 本音を話す場面に限らず涙が止まらない状態が続いている
- 強い不安や気分の落ち込みが続く
- 眠れない
- 仕事や人間関係など日常生活にも大きな影響が出ている
という場合は、涙だけではなく心身の状態全体を見る必要があります。
精神的な不調では、ひとつの症状ではなく、症状が続いている期間や日常生活への影響も重要な判断材料になります。
気になる状態が続いているなら、自分だけで原因を決めようとせず、医療機関や専門家へ相談するという選択肢もあります。
本音を言おうとすると涙が出るときはどうすればいい?
本音を言おうとして涙が出ると、うまく話せないこと自体に焦点を当ててしまいがちです。
けれど、その場で大切なのは、最後まできれいに話し切ることではありません。
いったん話を止める、あとから整理して伝える、口頭以外の方法を使うなど、そのときの自分に合った伝え方を選べます。
涙を止めることと、本音を伝えることも別の問題です。
ここでは、涙が出て話しにくくなったときの対処を4つに分けて見ていきます。
1. その場で無理に話し続けない
1つ目は、涙が出て言葉が続かなくなったら、その場で無理に話し切ろうとしなくて大丈夫です。
「ちゃんと説明しなければ」と思うほど、焦りや緊張が強くなり、さらに話しにくくなることがあります。
少し時間を置いたり、「うまく話せないから少し待ってほしい」と伝えたりして、いったん会話を止めるほうが良いでしょう。
まずは、自分が何を言いたかったのかわからなくなるほど無理をしないことが大切です。
2. 落ち着いてから伝えたいことを整理する
2つ目は、その場を離れたあとに、何を伝えたかったのかを整理してみましょう。
涙が出ている最中は、言いたいことが頭の中で混ざりやすくなります。
落ち着いてから、
- 何が嫌だったのか
- 何をわかってほしかったのか
- 相手にどうしてほしいのか
を分けて考えると、本音を言葉にしやすくなります。
感情が少し落ち着いたあとなら、そのとき言えなかった内容も見えやすくなります。
3. 口頭ではなく別の伝え方を選ぶ
3つ目は、話すことにこだわらず、自分が伝えやすい方法を使うこともおすすめです。
対面では涙が出てしまっても、文章なら落ち着いて書ける人もいます。
- LINEやメールで伝える
- 手紙に書く
- 先に文章で伝えたいことをまとめてから、必要な部分だけ口頭で話す
こうした方法でも、本音を伝えることはできます。
大切なのは、対面でうまく話せるかどうかではなく、自分が伝えたい内容を相手に届けられるかどうかです。
4. 涙そのものを抑えたいときは別の対処を使う
4つ目は、本音の伝え方とは別に、涙そのものへの対処が必要な場面もあるということです。
仕事中や人前など、「今はできるだけ泣きたくない」という状況もあります。
その場合は、本音を整理することより先に、呼吸を整える、その場を少し離れるなど、涙や緊張を落ち着かせる方法を使った方が現実的です。
本音を言おうとすると涙が出る理由を考えることと、その場で涙を抑えることは目的が違います。
涙そのものへの対処を知りたい場合は、既存記事の「泣かない方法」で詳しく扱います。
涙は本音とつながれたサインかもしれない
この記事では、本音を言おうとすると涙が出るのはなぜなのか、その理由と本音を伝える方法について解説してきました。
私たちは日々、社会の中でいくつもの役割を担いながら生きています。
職場では社員として振る舞い、家庭では妻や母として振る舞う。
相手やその場に合わせることが増えるほど、自分が本当はどう感じているのかを後回しにする時間も増えていきます。
だからこそ、ずっと心の奥に置いていた本音に触れたときや、それを誰かに伝えようとしたときには、怖さや抵抗を感じたり、声が震えたり、涙が出たりするのも不思議なことではありません。
もし、自分でも気づかないまま置き去りにしていた気持ちに触れたときに涙が出たのなら、「私はこんなふうに感じていたんだ」と自分の本音に気づけた瞬間だった、と捉えることもできます。
涙を止められなかった自分を責めるだけではなく、その涙が出るほど大きく動いた気持ちにも、少し目を向けてみてください。