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完璧主義とは?心理学での意味と特徴を解説

完璧主義とは?心理学での意味と特徴を解説

「もっとちゃんとできたはず」と、終わったことを何度も振り返ってしまう。

十分にできていると言われても、自分では納得できない。

失敗するくらいなら、最初からやらない方がいいと思ってしまう。

こうした状態を見て、「私は完璧主義なのかもしれない」と考える人もいるでしょう。

完璧主義という言葉は日常でもよく使われますが、心理学では単純に「何でも完璧にやろうとする性格」だけを指しているわけではありません。

この記事では、完璧主義の心理学上の意味や特徴、完璧主義に含まれる異なる側面やタイプ、自分の場合はどのように現れているのかについて解説していきます。

Contents

完璧主義とは?その定義を解説

完璧主義とは、非常に高い基準や完全な状態を求め、自分や他人の行動や結果を厳しく評価しやすい傾向を指します。

アメリカ心理学会(APA)の心理学辞典では、状況から求められる以上に、自分や他者へ極めて高い、あるいは欠点のない水準の遂行を要求する傾向として説明されています。

心理学の研究では、完璧主義はひとつの性質だけでできているものではなく、複数の側面を持つ「多次元的な概念」として研究されてきました。

たとえば、高い目標を設定すること、失敗を強く気にすること、自分に完璧さを求めること、他人に完璧さを求めること、周囲から完璧さを求められていると感じることは、すべて同じものではありません。

そのため、「基準が高いから完璧主義」「几帳面だから完璧主義」と行動だけで判断するよりも、その人が何を求め、何を恐れ、達成できなかったときにどう反応するのかまで見る必要があります。

完璧主義を構成する2つの側面

完璧主義についての研究では、さまざまな尺度や分類がありますが、大きく「高い基準を目指す側面」と「不完全さを強く気にする側面」に整理されることがあります。

研究では、それぞれ完璧主義的努力(perfectionistic strivings)と完璧主義的懸念(perfectionistic concerns)と呼ばれています。

ここからは、この2つの側面を分けて見ていきます。

1. 完璧主義的努力

完璧主義的努力とは、高い目標を持ち、「できるだけよいところまでやりたい」と努力する傾向のことです。

たとえば、

  • できるだけ質の高い仕事をしたい
  • 自分が納得できるところまで取り組みたい
  • 高い目標を立てて成長したい
  • 中途半端な状態で終わらせたくない

といった形で現れます。

日本の完全主義研究でも、高い目標を設定して、それを目指そうとする傾向は「高目標設置」と呼ばれ、ミスを強く気にする傾向とは分けて考えられています。

ここで大事なのは、高い基準を持っていること自体が、そのまま苦しさにつながるわけではないということです。

実際に、学習場面を対象にした研究では、高い基準を持って努力することが、学業成績などとプラスに結びつく場合も報告されています。

「もっとよくしたい」という気持ちが、自分を前に進ませる力になることもあるのです。

ただし、高い基準を持つことがいつでも良い方向に働くとは限りません。

その基準に届かなかったとき、自分を必要以上に責めたり、失敗を許せなくなったりすると、同じ「もっとよくしたい」という気持ちでも苦しさにつながっていきます。

2. 完璧主義的懸念

完璧主義的懸念とは、ミスや不完全なところが強く気になり、「ちゃんとできなかったこと」をなかなか受け流せない傾向のことです。

たとえば、

  • 小さなミスでも強く落ち込む
  • 失敗すると自分まで駄目に思える
  • 周囲からの評価が下がったように感じる
  • 十分できていても足りない部分ばかり気になる
  • 目標を達成してもすぐに次の不足を探してしまう

といった形で現れます。

完璧主義の研究では、こちらの傾向が強いほど、不安や落ち込みなどの心理的なつらさと結びつきやすいことが報告されています。

また、成人を対象にした研究では、完璧主義的懸念が強い人ほど、自尊感情が低い傾向も確認されています。

さらに臨床心理学では、ただ高い基準を持っているだけではなく、その基準を達成できたかどうかで自分の評価まで大きく変わってしまう状態が「臨床的完璧主義」として研究されています。

たとえば、うまくできた日は自分を認められるのに、失敗すると「自分は駄目だ」と感じる。

疲れていても基準を下げられず、苦しくなっても頑張り続ける。

このような状態では、高い目標そのものよりも、その目標に届かなかった自分をどれだけ厳しく扱っているかの方が、苦しさに大きく関わってきます。

完璧さを向ける対象で分かれる3つのタイプ

完璧主義には、もうひとつ別の分類があります。

カナダの心理学者ポール・L・ヒューイット(Paul L. Hewitt)とゴードン・L・フレット(Gordon L. Flett)は、完璧さをどこへ向けるのかという観点から、完璧主義を3つの次元に分けました。

3種類の人間に完全に分かれるという意味ではなく、ひとりの中に複数の傾向が存在することもあります。

ここからは、それぞれの違いを見ていきましょう。

1. 自己志向的完璧主義

自己志向的完璧主義とは、自分自身に高い基準や完璧さを求める傾向です。

「もっとできるはず」

「このくらいでは足りない」

「失敗してはいけない」

と、自分自身に厳しい基準を課します。

仕事では人から十分だと言われても修正を続けたり、家事では少しでもできていない部分があると気になったり、自分で決めた理想に届かないことを強く責めたりすることがあります。

自分を成長させようとする力として働く場合もありますが、基準を満たせない自分を認められなくなると、苦しさにつながりやすくなります。

2. 他者志向的完璧主義

他者志向的完璧主義とは、自分ではなく他人に高い基準を求める傾向です。

「普通はこのくらいできるはず」

「きちんとやるなら最後までやってほしい」

「どうしてこんな簡単なことを間違えるのだろう」

と、相手の不完全さやミスが気になりやすくなります。

仕事では同僚や部下の仕事ぶりが気になり、家庭ではパートナーや家族のやり方が許せなくなることもあります。

単に仕事熱心だったり、相手へ期待を持ったりすることと同じではありません。

自分の基準から外れた相手への不満や批判が強くなっているかどうかが、ひとつの違いになります。

3. 社会規定的完璧主義

社会規定的完璧主義とは、周囲の人から自分に完璧さを求められていると感じる傾向です。

「ちゃんとしていなければ認めてもらえない」

「失敗したらがっかりされる」

「期待に応えなければ価値がないと思われる」

といった感覚が強くなります。

実際に周囲から高い期待をかけられている場合もあれば、自分の中で「周りはきっとこう思っている」と感じている場合もあります。

そのため、仕事の評価、親の期待、パートナーからの反応、世間体などを強く意識しながら、自分に高い基準を課すことがあります。

特に「どう見られるか」が大きな負担になっている場合は、完璧主義だけではなく、人の目が気になる心理を分けて考えることで、自分が何を恐れているのかが見えやすくなります。

完璧主義が日常に現れるとき

完璧主義は、「何でも100点を取ろうとする人」のような分かりやすい形だけで現れるわけではありません。

一見すると真面目さや慎重さに見えることもあれば、反対に「行動できない」「先延ばしする」という形で現れることもあります。

ここからは、日常の中で現れやすい4つの状態を見ていきます。

1. ミスを必要以上に気にする

1つ目は、小さなミスでも必要以上に気になってしまう状態です。

仕事で一部分だけ間違えたときに、全体としては問題なくできていても、そのミスだけが頭から離れなくなることがあります。

誰かに注意されたあとも、

  • どうして間違えたのだろう
  • あんな失敗をするなんて恥ずかしい
  • きっと評価が下がった
  • 次は絶対に間違えてはいけない

と何度も振り返ります。

日本の研究でも「ミスへのとらわれ」は、ミスや失敗に対して自己批判する認知として、高い目標を持つこととは別に扱われています。

問題になりやすいのは、ミスそのものよりも、ひとつの失敗から自分全体への評価まで下げてしまうときです。

2. 十分できていても満足できない

2つ目は、一定の成果を出していても、自分ではなかなか満足できない状態です。

周囲から褒められても、

「もっとできた」

「たまたまうまくいっただけ」

「この程度で満足してはいけない」

と感じます。

目標を達成した瞬間に安心するのではなく、すぐ次の高い基準を設定することもあります。

臨床的完璧主義の研究でも、基準を達成できなければ自己批判し、達成できた場合には「その基準は十分に高くなかった」と評価し直す循環が指摘されています。

そのため、実際には多くのことを達成していても、本人の中には「まだ足りない」という感覚だけが残ることがあります。

3. 完璧にできないと動けない

3つ目は、完璧にできない可能性があることで、行動そのものが止まってしまう状態です。

一見すると「完璧主義」と「何もしないこと」は正反対に見えるかもしれません。

しかし、

  • 失敗するくらいなら始めたくない
  • 中途半端になるならやらない方がいい
  • 十分な準備が整ってから始めたい
  • 正解がわかるまで決められない

と考えているうちに、着手できなくなることがあります。

自分では「怠けている」と感じていても、実際には求めている完成度が高すぎることで入口が重くなっている場合があります。

やりたいことなのに止まってしまう場合は、やりたいことができないストレスの正体で、行動を止めている心理をさらに整理しています。

また、義務や仕事を「やらなければ」と思うほど動けなくなる場合は、やらなきゃいけないことができないのはなぜ?も参考になります。

4. 基準を下げられず頑張り続ける

4つ目は、疲れていても自分の基準を下げられず、頑張り続けてしまう状態です。

「今日はここまででいい」

「今回は70点で終わらせよう」

と考えることが難しく、体調や忙しさに関係なく、いつも同じ水準を維持しようとします。

仕事だけではありません。

家事、育児、美容、人間関係、勉強など、自分が「きちんとしたい」と思っている領域で起こることがあります。

高い基準が自分を前へ進めている間は力になりますが、その基準を守るために休めなくなり、生活への負担が大きくなっているのであれば、別の見方が必要になります。

頑張り続けたあとに気力まで失っている場合は、完璧主義だけで説明せず、燃え尽き症候群の症状や回復についても確認してみてください。

完璧主義と似ている心理を切り分ける

完璧主義の周辺には、自己価値、承認欲求、失敗への恐れ、先延ばしなど、よく一緒に現れる心理があります。

これらは互いに影響することがありますが、同じ概念ではありません。

ここからは、特に混同しやすい4つを切り分けていきます。

1. 自己価値との違い

完璧主義が強くなると、「うまくできたかどうか」が、そのまま自分自身の評価につながることがあります。

たとえば、

「結果を出せた私は価値がある」

「失敗した私は駄目だ」

というように、できたことやできなかったことで、自分の価値まで揺れてしまう状態です。

ただ、完璧主義と自己価値は同じものではありません。

完璧主義は、「ここまでできなければ」「この水準には届きたい」と、自分に求める基準に関わるものです。

一方の自己価値は、「自分には価値がある」と自分自身をどう感じているかに関わります。

この2つが強く結びつくと、目標に届かなかっただけなのに、「自分そのものが駄目だ」と感じやすくなります。

臨床的完璧主義でも、厳しい基準を達成できたかどうかによって、自分への評価が大きく左右されることが指摘されています。

「完璧にしたい」と思うことと、「完璧にできなければ自分には価値がない」と感じることは、分けて見ていく必要があります。

2. 承認欲求との違い

「人から認められたいから、ちゃんとしなければ」と頑張る人もいます。

この場合は、完璧主義だけでなく、承認欲求が関係していることがあります。

承認欲求は、周囲から認められたい、評価されたいと思う気持ちです。

ただ、完璧主義の人がみんな、誰かに認めてもらうために頑張っているわけではありません。

誰にも見られていなくても、

「自分が納得できない」

「この程度では終われない」

と、自分自身の基準にこだわる人もいます。

一方で、

「期待に応えなければがっかりされる」

「きちんとできなければ認めてもらえない」

という気持ちが強い場合は、承認を求める気持ちと、周囲から完璧さを求められていると感じる社会規定的完璧主義が重なっていることがあります。

同じように頑張っていても、「自分が納得したい」のか、「人から認められたい」のかでは、その背景は少し違います。

3. 失敗への恐れとの違い

完璧主義が強い人には、「失敗したくない」という気持ちが見られることがあります。

ただ、失敗が怖いからといって、必ずしも完璧主義とは限りません。

失敗したことで仕事やお金に影響が出るのが怖い人もいれば、人前で恥をかくことや、誰かに責められることが怖い人もいます。

完璧主義の場合は、そこに、

「失敗しないところまで準備しなければ」

「間違えない状態にしてから動かなければ」

という高い基準が加わりやすくなります。

そのため、失敗が怖いと感じたときは、「何が怖いのか」だけでなく、「失敗しないために自分へどこまで求めているのか」まで見てみると、完璧主義との関係がわかりやすくなります。

4. 先延ばしとの違い

「完璧主義なのに、なぜか行動できない」ということもあります。

一見すると、完璧を目指すことと先延ばしは正反対に見えます。

でも、

「ちゃんとできる自信がない」

「中途半端なものは出したくない」

「失敗するくらいなら、もう少し準備してからにしたい」

と考えているうちに、なかなか始められなくなることがあります。

研究でも、完璧主義の中でも特に、ミスや不完全さを強く気にする「完璧主義的懸念」は、先延ばしと結びつきやすいことが報告されています。

反対に、高い目標を持って努力する「完璧主義的努力」まで、同じように先延ばしと結びつくわけではありません。

つまり、「先延ばしをしているから完璧主義」ということではありません。

大事なのは、行動できない直前に、

「失敗してはいけない」

「もっと準備しなければ」

「完璧にできる状態になってから始めたい」

という気持ちがあるかどうかです。

先延ばしという行動だけではなく、その手前で何が自分を止めているのかを見ると、完璧主義との関係が見えやすくなります。

自分の完璧主義を見分ける4つの視点

ここまで見てきたように、完璧主義にはさまざまな側面があります。

自分の傾向を知るときは「完璧主義に当てはまるかどうか」だけを判断するより、自分の中でどのように働いているのかを見る方が具体的です。

ここからは、自分の場合を整理する4つの視点を紹介します。

1. 何を完璧にしようとしているか

まず見てみたいのは、自分が何に対して完璧さを求めているのかです。

完璧主義は、人生のすべてに同じ強さで現れるとは限りません。

  • 仕事だけは絶対にミスしたくない
  • 家だけはいつもきれいにしておきたい
  • 子育てでは理想の母親でいたい
  • 人前では弱みを見せたくない
  • 外見だけは崩したくない
  • 恋愛では良いパートナーでいなければならない

というように、特定の領域だけで基準が高くなることもあります。

臨床的完璧主義の定義でも、少なくとも本人にとって重要なひとつの領域で、厳しい基準の追求に自己評価が依存することが想定されています。

「私は完璧主義か」と大きく考えるより、「私は何について完璧でいようとしているのか」と考えると、自分のパターンを見つけやすくなります。

2. 誰の基準を満たそうとしているか

次に見たいのが、その基準は誰のものなのかということです。

  • 自分自身が本当に求めている基準なのか
  • 職場や社会から求められている基準なのか
  • 親やパートナーの期待を基準にしているのか

それとも、実際には誰にも言われていないけれど「きっとここまで求められている」と感じているのか。

ここを分けることで、自己志向的な完璧主義なのか、社会規定的な完璧主義が強いのかも見えやすくなります。

同じように頑張っている人でも、「自分がここまでやりたい」と思っている人と、「ここまでやらなければ失望される」と感じている人では、内側で起きていることが違います。

3. ミスや不完全さをどこまで許せるか

3つ目は、ミスや不完全さが起きたときの自分の反応を見ることです。

高い基準を持っている人でも、失敗したあとに、

「今回はうまくいかなかった」

「次はここを直そう」

と考えて再び動けるのであれば、その基準が自分を支えていることがあります。

一方で、

「こんなミスをする自分は駄目だ」

「もう信用できない」

「失敗する自分には任せられない」

と、自分自身との関係まで壊れていく場合があります。

失敗したあとに自分をどう扱うかというテーマは、完璧主義だけではなく自己信頼にも関係します。

自己信頼感とは?では、「絶対に失敗しない自分を信じること」と「失敗しても自分を見捨てないこと」の違いについて詳しく解説しています。

4. 高い基準が行動を支えているか止めているか

最後に見たいのは、その基準によって自分がどう動けているかです。

高い基準が、

「もっと工夫してみよう」

「ここまでできるようになりたい」

と自分を前へ進めていることもあります。

反対に、

「完璧にできないから始められない」

「失敗したくないから挑戦できない」

「まだ足りないから終われない」

「休んだら駄目だから止まれない」

と、自分の行動を狭めていることもあります。

同じ高い基準でも、自分を支えている基準と、自分を追い詰めている基準では働き方が違います。

完璧主義を見るときに大切なのは、基準を持っているかどうかだけではありません。

「私は何を完璧にしようとしているのか」

「誰の基準を守ろうとしているのか」

「できなかった自分をどう扱っているのか」

「その基準によって私は動きやすくなっているのか」

と分けて見ていくことで、「完璧主義」というひとつの言葉だけでは見えなかった、自分の場合の苦しさや力の使い方が見えてきます。

完璧主義は基準との付き合い方まで見て考える

この記事では完璧主義について解説してきました。

完璧主義というと、「何でも完璧にやろうとする人」というイメージを持たれやすいですが、実際にはそれだけではありません。

高い目標に向かって努力することが自分の力になる場合もあれば、ミスや不完全さを許せず、自分を追い込む形で現れることもあります。

大切なのは、「自分は完璧主義なのか」と決めることよりも、何に完璧さを求めているのか、誰の基準を満たそうとしているのか、その基準が自分を支えているのか苦しめているのかを見ていくことです。

同じ「ちゃんとしたい」という気持ちでも、その奥にあるものは人によって違います。

自分の場合はどんなときに完璧さを求めやすいのかを振り返ることで、自分なりの完璧主義との付き合い方も見つけやすくなるでしょう。