学生の頃は、特別に「友達を作ろう」と考えなくても、いつの間にか仲のいい人ができていた。
それなのに大人になると、新しい友達を作ることが急に難しく感じるようになった人も多いのではないでしょうか?
職場では普通に話せる。
初対面の人とも会話はできる。
人間関係で大きな問題があるわけでもない。
それでも、休日に会ったり、個人的なことを話したりする友達はいない。
この記事では、大人になると友達ができにくくなる理由と、友達が生まれる条件を整理しながら、自分の場合はどこから関係を作っていけばいいのかを解説していきます。
Contents
- なぜ大人になると友達が自然にできにくいのか
- 友達ができるために必要なものは何か
- 1. 人と出会う接点がある
- 2. 同じ人と繰り返し関わる
- 3. 共通点や似ている部分がある
- 4. 一緒に何かを経験する
- 5. 少しずつ自分のことを見せる
- 6. 相手も関係を返してくれる
- 学生時代はなぜ自然に友達ができたのか
- 1. 学校が出会いと反復接触を用意していた
- 2. 授業や行事が共通体験を作っていた
- 3. お互いの格好悪いところまで自然に見えていた
- 4. その中から相互性のある相手が残っていった
- 自分にはどの条件が足りていない?
- 1. 新しい人とほとんど会わない|接点の不足
- 2. 人とは話せるけれど会いたい人がいない|相性の不足
- 3. 気が合う人には会うけれど一度で終わる|反復接触の不足
- 4. 知り合いは多いけれど深くならない|自己開示の不足
- 5. 自分からばかり誘っている|相互性の不足
- 大人は友達ができる条件をどう作ればいい?
- 1. 出会える場所より何度も会える場所を選ぶ
- 2. 共通の話題や作業が生まれる場所を選ぶ
- 3. 最初から親友を探さず二回目を作る
- 4. 自分のことも少しずつ話す
- 5. 相手から返ってくる関係を育てる
- 友達ができないときにコミュ力だけを疑わない
- 大人の友達作りは条件を一つずつ作っていく
なぜ大人になると友達が自然にできにくいのか
大人になって友達を作るのが難しくなる大きな理由は、性格が変わったからでも、コミュニケーション能力が落ちたからでもなく、人と親しくなるための環境が変わるからです。
学生時代を思い出してみると、自分から誰かを探しに行かなくても、毎日同じ学校へ行けば同年代の人がいました。
クラスメイトとは翌日も会います。
部活の仲間とは放課後も一緒です。
授業、休み時間、試験、体育祭、文化祭など、同じ出来事を経験する中で、相手の性格を知り、自分のことも知られていきます。
ところが大人になると、この環境がほとんどなくなります。
職場で毎日会う人はいても、仕事上の役割を離れて一緒に過ごすとは限りません。
イベントで気の合う人に出会っても、その日を最後に二度と会わないこともあります。
趣味や価値観が合う人がどこにいるのかも、自分で探さなければなりません。
つまり大人になると、学生時代には環境が用意してくれていた
出会う
**
→ 関わる**
**
→ また会う**
**
→ 少しずつ知る**
**
→ 関係を続ける**
という流れを、自分で作る必要が出てきます。
ここが、大人の友達作りを考えるうえでの出発点です。
友達ができるために必要なものは何か
友情についての研究を見ると、誰かと友達になるまでには、いくつかの要素が関わっています。
ここで紹介する6つは、「友情には必ずこの6条件が必要」という正式な心理学理論ではありません。
近接性、接触時間、共有活動、類似性、自己開示、相手からの応答など、友情や親密さの研究で繰り返し確認されている要素を、友達ができる過程として整理したものです。
1. 人と出会う接点がある
最初に必要なのは、当然ながら人と接する機会です。
しかも、誰かと一度すれ違うだけではなく、関係が始まる可能性のある距離にいることが重要になります。
学校で座席が近い子どもほど、その後友人関係が生まれやすかったことを示した研究もあります。
友達を作りたいと思っていても、
- 仕事はほぼ一人でする
- 休日も一人で過ごす
- 新しい人と会う場所へほとんど行かない
という生活なら、友達作りの最初の条件である「接点」がそもそも発生しません。
これは話し上手かどうか以前の問題です。
2. 同じ人と繰り返し関わる
一度会った人と、もう一度会う。さらにまた会う。
この反復も、友人関係が生まれる重要な土台です。
アメリカのコミュニケーション研究者ジェフリー・A・ホール(Jeffrey A. Hall)の研究では、新しく知り合った相手と一緒に過ごした時間が長いほど、関係がより親しい段階へ進むことが示されています。
単に「知り合ってから何か月経ったか」よりも、実際に一緒に過ごした時間が関係していました。
だから、イベントで一度すごく話が合ったとしても、それだけで友情が育つとは限らず、「また会う」が起きる環境が必要になります。
3. 共通点や似ている部分がある
人はまったくランダムに友達を選んでいるわけではありません。
興味、考え方、生活背景、行動など、何らかの似た部分を持つ人同士が友人になりやすい傾向は、ホモフィリーと呼ばれています。
共通点は、何も「人生観が完全に一致する」という大きなものでなくて構いません。
- 同じ漫画が好き
- 犬を飼っている
- 同じ仕事をしている
- 子育て中である
- 旅行が好き
- 最近同じことに悩んでいる
そうした小さな共通点から、話す理由が生まれます。
4. 一緒に何かを経験する
友達になるには、ただ同じ空間にいるだけでなく、一緒に何かをすることも大事な要素になります。
ホールの研究でも、仕事や授業として同席する時間より、遊んだり、くつろいだりする時間の方が友情の近さと結びついていました。
一緒に旅行するような大きなイベントでなくても
- 一緒に料理を習う
- スポーツをする
- 作品を作る
- ゲームをする
- イベントの準備をする
- 終わったあとにお茶をする
何かを共有すると、その出来事について話すことができますから、会話の材料を毎回ゼロから作らなくていいことも、関係を続けやすくします。
5. 少しずつ自分のことを見せる
知り合いと友達の違いを考えると、相手について知っている情報の深さも変わってきます。
研究では、自分について話す自己開示と、相手への好意や親密さとの間に関連があることが確認されています。
最初から深い悩みを話さずとも
「最近これにハマっている」
「実はこういうの苦手なんだ」
「この前こんな失敗をした」
「仕事でちょっと落ち込んでいて」
そんな小さな自己開示が積み重なることで、表面的な情報だけでは分からなかったその人らしさが見えてきます。
そして自分について話すだけでなく、相手について知ることも増えていきます。
6. 相手も関係を返してくれる
最後に重要なのが、相互性です。
- こちらが話したときに相手も話してくれる
- 誘ったら次は相手から声をかけてくれる
- 自分の話を覚えていてくれる
- 気持ちを伝えたときに受け止めてもらえる
親密さの研究では、自己開示だけではなく、相手から理解された、受け止められたと感じることが親密さに関係することが示されています。
こちらがどれだけ努力しても、相手に関係を深める意思がなければ、その関係は知り合いのままです。
友達作りでは、「自分がうまくやれているか」だけでなく、相手からも関係が返ってきているかを見ることが大切になります。
学生時代はなぜ自然に友達ができたのか
ここまでの6つを、学生時代の生活に重ねてみると面白いことが分かります。
自分では「昔は自然に友達ができた」と感じていたかもしれません。
けれど実際には、友達ができるための条件を、学校という環境がかなりのところまで用意してくれていました。
1. 学校が出会いと反復接触を用意していた
まず学校へ行くだけで、何十人もの同年代と接点ができます。
しかも一度きりではありません。
月曜日に会った人と火曜日にも会う。
次の週も会う。
数か月後も同じ教室にいる。
自分から「次いつ会いませんか」と誘わなくても、翌日になればまた会えます。
大人になると、誰かと知り合っても、次の予定を作らなければそこで関係が止まります。
学生時代には、その「次」を学校が自動的に作ってくれていたのです。
2. 授業や行事が共通体験を作っていた
学校では、話題になる出来事も次々に起こります。
授業、部活、定期試験、遠足、修学旅行、体育祭、文化祭、委員会、掃除。
文化祭なら、何週間も一緒に準備することがあります。
部活なら、試合に向かって一緒に練習します。
ときには、先生にクラス全員で怒られることもあります。
楽しかったことだけではなく、
「あのとき大変だったよね」
「あれ本当に嫌だったよね」
と後から笑えるような経験まで共有します。
「何を話そう」と考えなくても、共通体験そのものが会話の材料になります。
3. お互いの格好悪いところまで自然に見えていた
学生時代には、自分から意識して自己開示しなくても、その人のいろいろな面が見えます。
- テストで悪い点を取る
- 体育で失敗する
- 先生に怒られる
- 部活で泣く
- 友達と喧嘩する
- 好きな人がばれる
そして、仲良くなってくると恋バナをしたり、親の話をしたり、将来への不安を話したりする。
友情が深くなる時期には、個人的な考えや感情を共有することも増えていきます。
自己開示と親密さには関連があり、特に感情についての開示は親密さとの関連が強いことが報告されています。
学校という長時間一緒にいる環境では、「いつも感じのいい自分」だけを見せ続けること自体が難しかったとも言えます。
4. その中から相互性のある相手が残っていった
同じクラスに30人いたとしても、30人全員と親友になるわけではありません。
たくさん接するうちに、
- この子とは話が合う
- この子とは笑うところが似ている
- この子には相談できる
- この子も自分に話してくれる
という相手が少しずつ分かってきます
つまり学校生活では、
出会う
**
→ 何度も会う**
**
→ 一緒に経験する**
**
→ お互いを知る**
**
→ 気の合う人とさらに関わる**
という選別まで、長い時間をかけて自然に起こっていました。
学生時代に友達作りが簡単だったように感じるのは、自分の能力だけではなく、友情が育つ条件が日常の中に大量に組み込まれていたからとも考えられます。
自分にはどの条件が足りていない?
大人になって友達ができないとき、すぐに「自分は人付き合いが苦手だから」と考える必要はありません。
まず、自分はどこで止まっているのかを分けて考えてみます。
1. 新しい人とほとんど会わない|接点の不足
仕事と家の往復が中心で、新しい人と会う機会がほとんどない。
この場合は、関係の作り方より先に接点が不足しています。
会話力を磨くより、人と自然に顔を合わせる生活動線を少し増やす方が先です。
2. 人とは話せるけれど会いたい人がいない|相性の不足
職場でも普通に話せるし、初対面でも困らない。
周囲から嫌われているわけでもない。
でも、プライベートでまで会いたいと思う人はいない。
この場合、「関係を作る能力がない」とは言えません。
単に、興味や価値観が合う人との接点が少ない可能性があります。
仕事上うまく付き合える相手と、休日にも一緒にいたい相手は同じとは限りません。
3. 気が合う人には会うけれど一度で終わる|反復接触の不足
イベントや旅行先で、「この人とは気が合いそう」と感じることはある。
それでも友達にならない。
この場合は、相性より「次に会う仕組み」がありません。
単発イベントばかりに参加しているなら、同じ人が継続的に参加する場所へ変えるだけでも条件は変わります。
4. 知り合いは多いけれど深くならない|自己開示の不足
知り合いは多い。
雑談もできる。
飲み会にも参加する。
でも、自分のことはほとんど話さない。
この場合は、接点や反復接触は十分でも、お互いを知るところで止まっている可能性があります。
もちろん、無理に秘密や悩みを話す必要はありません。
まずは「自分はこういうものが好き」「最近こんなことを考えている」という小さな情報からでも、表面的な関係は少しずつ変わります。
5. 自分からばかり誘っている|相互性の不足
自分から連絡すれば会える。
でも、こちらから連絡しないと相手からは何も来ないと言った関係もあります。
この場合は、自分の誘い方が悪いと決めつけるより、相手がどの程度その関係を求めているのかを見る必要があります。
友達になりたい気持ちは、一人で成立させるものではありません。
自分だけで関係を引っ張り続けているなら、別の人との関係に時間を使うという選択もあります。
大人は友達ができる条件をどう作ればいい?
大人の友達作りでは、「とにかくたくさんの人に会う」よりも、先ほどの条件が起こりやすい環境を選ぶことが大切です。
1. 出会える場所より何度も会える場所を選ぶ
友達を作る場所というと、
- 習い事
- 社会人サークル
- 趣味のコミュニティ
- ボランティア
- オンラインコミュニティ
- イベント
などがよく挙げられます。
どれが一番いいかは、人によって違います。
ただ、一つ見るなら、
同じ人とまた会えるか
です。
毎回参加者が入れ替わる大規模イベントより、少人数で定期的に集まる場所の方が、繰り返し接触する条件は作りやすくなります。
2. 共通の話題や作業が生まれる場所を選ぶ
「友達を作るためだけに知らない人と会う」と、会話そのものが目的になります。
一方で、
- 料理を習う
- 本について話す
- スポーツをする
- 何かを制作する
- 地域の活動をする
といった場では、最初から話す材料があります。
人見知りだったり、雑談が得意ではなかったりする人ほど、会話以外の共通目的がある場所の方が関係を作りやすいことがあります。
3. 最初から親友を探さず二回目を作る
初対面で「この人とは親友になれそう」と感じる相手は、それほど頻繁には現れません。
友達になるかどうかは、何度か会ってから分かることも多いものです。
最初の目標を「友達を作る」にすると重くなります。
「この人とはもう一度話してみたい」と思えたら、
- 次回も同じ活動に参加する
- 帰りに少しお茶をする
- おすすめされたものを試して次に感想を伝える
そんな小さな二回目を作る方が、関係は育ちやすくなります。
4. 自分のことも少しずつ話す
質問だけを続ければ、会話は成立します。
でも、相手だけを知って自分をほとんど見せなければ、関係は深まりにくくなります。
- 好きなこと
- 苦手なこと
- 最近考えていること
- 小さな失敗
- うれしかったこと
相手との距離を見ながら、少しずつ自分の情報も返していきます。
大切なのは、いきなり深い自己開示をすることではなく、相手とのやり取りに合わせて少しずつ情報の深さを変えていくことです。
5. 相手から返ってくる関係を育てる
友達作りでは、自分から動くことも必要です。
ただし、ずっと自分だけが頑張る必要はありません。
こちらが話せば相手も話す。
こちらが誘えば相手も次の提案をする。
久しぶりになれば相手から連絡が来る。
そんな小さな相互性がある相手に時間を使っていく方が、無理なく関係を育てられます。
逆に、何度働きかけても関係が返ってこないなら、それは「友達作りが下手だった」というより、その相手との組み合わせでは関係が育たなかったということでもあります。
友達ができないときにコミュ力だけを疑わない
大人になって友達ができないと、
「もっと積極的にならなきゃ」
「会話が下手だからだ」
「自分に魅力がないのかもしれない」
と、自分の能力の問題にしたくなることがあります。
けれども、ここまで見てきたように、友達ができるためには人と話せること以外にも多くの条件があります。
- 人に会っているか
- 気の合う人と出会っているか
- 繰り返し会えているか
- 一緒に過ごす時間があるか
- 自分のことを少しずつ見せているか
- 相手からも関係が返ってきているか
このどこが欠けても、友達になる前に関係は止まります。
たとえば職場で誰とでも円滑に付き合える人なら、人間関係を作る力そのものはすでに持っています。
それでもプライベートの友達がいないなら、
「人と関係を作れない」のではなく、「友達に発展する条件が生活の中に少ない」
という可能性も考えられます。
また、大人になってある程度の年数が経過した40代・50代は、「友達ができない」の他に「今までの友達が目減りしてきた」という悩みお抱えやすいです。
そのようなケースでは「40代・50代で友達がいない・減った理由と向き合い方」もあわせて読むと整理しやすくなります。
また、友達はいるものの以前のように合わなくなったと感じている場合は、友達とうまくいかない理由|合わなくなった友達との関係を見直すヒントで、今ある友達関係の見直し方を扱っています。
大人の友達作りは条件を一つずつ作っていく
この記事では、大人になると友達ができにくくなる理由と、友達が生まれるための条件について解説してきました。
学生時代には、学校へ行くだけで人に出会い、毎日同じ人と会い、授業や行事を一緒に経験し、ときには失敗や悩みまで見せながら、お互いを知ることができました。
大人になると、その環境は自動では用意されませんから「どうして私は友達ができないんだろう」と自分全体を否定するよりも、何が原因で友達ができないのかを分けて見ていくことが大事でしょう。
寂しさそのものが強い場合は、一人で寂しいとき、消えない孤独感を根本解消する方法も参考になります。
大人の友達作りは、学生時代と同じように自然発生を待つのではなく、自分に足りない条件を知り、その条件が生まれやすい生活を少しずつ作っていくことから始まります。