
結婚=幸せと思いたい。
だけど、ネットを見れば「結婚 辛い」の声があふれている。
──どっちが本当なんだろう?
そんな風に思ったことはありませんか?
「結婚したら幸せになれる」と思っているからこそ、私たちは結婚に向けて、いろんな努力を重ねていきます。
- マッチングアプリに登録したり、結婚相談所に通ってみたり。
- プロフィールを整えて、理想の相手を探して、勇気を出して会いに行ったり。
ときに、ちょっと無理をしてでも、頑張ろうとする自分がいる。
でも、もし、そもそも「結婚って辛いもの」だとしたら?
「結婚すれば幸せになれる」という前提が、幻想だったとしたら?
だったら私は今、辛い未来のために、こんなに頑張ってるの?
……そう思うと、なんだかやるせなくなる気持ちも、出てきてしまいますよね。
「結婚って本当に辛いの?それとも幸せなものなの?」
結婚を考え始めた今のあなたと一緒に、静かに見つめてみる──このコラムでは、そんな時間をお届けしていこうと思います。
Contents
結婚は辛い?それとも幸せ? “真実”ってどっちなんだろう?
私の相談現場には、結婚前・婚活中の方からのご相談が多いのですが、数年前はすでに結婚を経験された方からも様々なご相談をいただいていました。
その経験からすると「結婚って幸せなものなんですよ」とも言い切れないし、「結婚なんてやめたほうがいいですよ」とも言う気にはなれません。
ただ、いろんなご相談を受けてきた中で感じるのは──結婚生活が“辛いもの”になってしまう背景には、ある程度の“心理パターン”があるということ。
そして、「辛い」と感じるシチュエーションにも、共通して見えてくる傾向があるということです。
それは、決して特別な誰かにだけ起こる話ではなくて、ちょっとした思い込みや、ささやかな無理が積み重なったときに、誰にでも起こりうることなのかもしれません。
ということで、次の段落からは、実際に寄せられたご相談の中から、「結婚が辛い」と感じるケースに共通するパターンを、いくつかご紹介していきますね。
結婚生活が辛いという相談者さんは、意外とたくさんいる
私の周りの結婚してる友達、みんな幸せそうだけど?
そう感じる方がいる一方で、逆の声もあります。
うちの親はずっと不仲だった
友達が早くに結婚したけど、最近は愚痴ばかり聞いている
なのに、どうして私たちは、そんなふうに揺れながらも、「結婚したい」と思う気持ちをどこかで手放せなかったりするのでしょうか。
それはきっと、“幸せそうかどうか”だけが、理由ではないから。
- 誰かと並びたい気持ち。
- ひとりが怖い気持ち。
- 親や社会に認められたい気持ち。
- マウントを取られたくないという焦り。
いろんな感情が混ざり合って、「結婚」というものに、希望や焦りを重ねてしまうのかもしれません。
でも、いずれにしても──その先で「結婚生活が辛い」と感じてしまう人が、確かにいるということ。
私がこれまで相談の現場で伺ってきたお話には、いくつかの共通点がありました。
ここからは、そんな“結婚のつらさ”を感じた方々のリアルな声を、3つのケースに分けてご紹介していきますね。
結婚がつらい理由①|自分の時間も自由もなくなったと感じる
結婚をすると、“日常を誰かと共有する”ということになります。
それは温かさや安心感をもたらす一方で、自分の時間や選択の自由が減ったように感じる人も少なくありません。
たとえば、こんな声が寄せられています:
- ふらっと一人で出かけることが気軽にできなくなった
- 好きなことに贅沢にお金を使うのをためらうようになった
- 仕事がつらくても「辞めたい」と言い出しにくい(家計への影響が気になる)
- 転職やキャリアチェンジに踏み切れない
- ひとり旅が好きだったけど、夫を家に残して行くのが気まずくなった
- 外食や寝る時間など、生活リズムを自然と合わせている自分に疲れてしまった
ひとつひとつは些細なことかもしれませんが、こうした小さな遠慮や配慮が積み重なっていくうちに
私は、私の人生を自由に選べていないかもしれない」
そんな感覚がじわじわと心を締めつけてしまうこともあるのです。
結婚がつらい理由②|パートナーとの価値観が想像以上に違っていた
結婚は、「違う人間同士が暮らすこと」。
頭ではわかっていても、実際に生活をともにすると、その“違い”のすり合わせに、想像以上のエネルギーが必要になることがあります。
よくある具体例としては:
- 子育ての方針がまったく合わない
- 家事や育児の分担への考え方が違う
- お金に対する価値観がまるで噛み合わない
- どこまで話し合っても「普通こうじゃない?」が通じない
- 相手の“当たり前”が、自分にとっては“無理”に感じる
特に厄介なのは、「これって、普通だよね?」という自分の常識が通じないとき。
何度も話し合い、何度も期待して、すれ違って──その繰り返しが心をすり減らし、「もう、わかりあえないかも…」と感じてしまう。
違うのが当たり前とわかっていても、向き合うには体力も、時間も、覚悟もいる。
そのことに、あとから気づく人は少なくありません。
結婚がつらい理由③|「誰かのために頑張る自分」をやめられなかった
もともと真面目で、頑張り屋で、優しい人ほど──「誰かのために頑張ること」が当たり前になっていることがあります。
- 夫のため、子どものため、家族のために、常に最善を尽くしてきた
- 「ちゃんとした奥さんでいたい」「いい母でいたい」と気を張り続けていた
- 疲れていても、「私さえ我慢すればうまくいく」と思っていた
でも、そうやって“自分を置き去りにした努力”は、ある日ふと
私ってなんだったっけ?
という感覚をもたらします。
特に女性の場合、出産や子育てをきっかけに、“母親”という役割にすべてを捧げてしまうことも少なくありません。
いつのまにか、パートナーの妻でもなく、自分自身でもなく、ただ“家庭を守る存在”として消耗していくような感覚。
「誰かのため」の努力が、「自分をすり減らす努力」になってしまったとき、心と体は、確かに悲鳴をあげはじめるのです。
「結婚すれば幸せになれる」は、もしかしたら幻想かもしれない
ここまでご紹介してきた通り、結婚ってたしかに──社会的にも、文化的にも、“幸せの象徴”として扱われることが多いんですよね。
たとえば私たち、昔からおとぎ話やディズニーのプリンセスストーリーに親しんできました。
王子様と結婚して、めでたしめでたし。
あの美しいエンディングが、どこかで心に焼きついている。
でも、現実には描かれていないこともたくさんあります。
- 「お城にお嫁に行ったシンデレラが、生活環境に馴染めず体調を崩した」
- 「翌日から義理の母にいびられた」
- 「王子様が実はモラハラ気質だった」
そんな“その後”は、誰も教えてくれない。
だからこそ、無意識のうちに「結婚=幸せ」というイメージを持ってしまうのは、ある意味、自然なことなのかもしれません。
でも実際には、結婚生活って、ただの“ゴール”ではないんです。
むしろ、そこからがスタートです。
相手と違う人間であることを受け入れて、すり合わせていくこと。
ぶつかることもあるし、迷うこともある。
結婚には、きれいごとだけでは済まされないのが現実です。
「結婚すれば幸せになれる」というのも幻想かもしれないけれど、「結婚したら不幸になる」というのもまた、幻想。
幸せな結婚にするか、不幸な結婚・辛い結婚にするかは、白か黒かではなく、日々の積み重ねと、意識の向け方次第なのだと思います。
その視点を持ったうえで、これから結婚というテーマに向き合っていけたら。
それだけでも、ずいぶん景色が違ってくるんじゃないかな──と、私は思います。
結婚後につらくなってしまいやすい思考グセとは?
じゃあ、どうして結婚後に苦しくなってしまう人がいるんだろう?
そう思った方へ。実は、これまでの相談を通じて見えてきたのは、結婚後に「辛い」と感じやすくなる思考パターンには、ある程度の傾向があるということです。
だからこそ、もし今あなたが結婚前の段階にいて
この思考、少し持っているかも…?
と感じたものがあれば、今のうちに少しずつ見直しておくことが、未来のあなたを守るヒントになるかもしれません。
①幸せは“誰かにもらうもの”だと思っている
「結婚すれば、相手が私を幸せにしてくれるはず」
──そんなふうに、どこかで信じてしまっている人は少なくありません。
でも実際には、パートナーだって同じように悩み、迷いながら生きている一人の人間。
誰かにすべてを満たしてもらおうとすればするほど、思うようにいかない現実にぶつかって
こんなはずじゃなかったのに!
という不満や失望が積み重なってしまうこともあります。
この思考グセを持っている人は、もしかするとまだ“親との心理的な距離”が取りきれていない場合もあるかもしれません。
「誰かが満たしてくれる前提」が無意識のうちに根強く残っていると、パートナーに“親のような存在”を投影してしまいやすくなるからです。
②自分の気持ちより「こうあるべき」を優先してしまう
「妻なんだからこうするべき」
「いい奥さんってこういう人のことだよね」
──そんなふうに、“社会的に正しそうな姿”をなぞろうとする人も、少なくありません。
特に責任感が強くて、きちんとした人。
人から「ちゃんとしてるよね」と言われてきたタイプほど、この“役割を無意識に演じる癖”を持っていることが多いです。
もちろん、「こうありたい」と願う姿があるのは素敵なこと。
でも、自分の本音を置き去りにして「こうあるべき」を優先し続けていると、やがて「私は本当はどうしたいのか、もうわからない」という状態に陥ってしまうことも。
このタイプの人は、社会性が高いがゆえに、“自分の感情を置き去りにするクセ”が根深くなりやすいのも特徴です。
“責任感”や“理想の自分像”が無意識のうちに暴走していないか、ときどき立ち止まって確認してみることが大切かもしれません。
③相手の期待に応え続けないと愛されないと思っている
「嫌われたくない」「ガッカリさせたくない」
──そんな気持ちが強い人ほど、つい相手に合わせすぎてしまうことがあります。
- 相手の機嫌を優先しすぎて、自分の気持ちが言えなくなる
- 頼まれなくても、先回りして相手のニーズに応えようとする
- 断るのが怖くて、無理なお願いも引き受けてしまう
一見すると、優しさや思いやりに見えるかもしれません。
でも、その根底にあるのが「応えていないと、愛されない」という不安だったとしたら、その優しさは、やがて自分をすり減らすものになってしまいます。
この思考グセは、過去の人間関係の中で「期待に応えることで存在価値を感じていた」人に多い傾向があります。
気づけば、相手との関係性そのものよりも、「自分がどう評価されるか」ばかりに意識が向いてしまう。
パートナーシップは、“応える”ことではなく“ありのままで在る”ことに安心できる関係であっていいはずです。
無意識に「頑張ることでしか愛されない」と思い込んでいたら、そこから少しずつ手放していけるよう意識してみることも、大切な一歩かもしれません。
④問題が起きたとき、白黒はっきりつけようとする
「何が正しいの?」「どっちが悪いの?」
──そんなふうに、何か問題が起きたときに“答え”を出したくなる人も少なくありません。
もちろん、きちんと話し合うこと自体は大切です。
でもときに、「話し合いましょう」と言いながら、本音では“自分の正しさを認めさせたい”という動機が隠れている場合もあります。
- 正論を積み上げて、相手を言い負かそうとしてしまう
- 感情のグラデーションを受け止めるより、白黒ジャッジに持ち込んでしまう
- 「わかってもらえない=負け」のような構図になってしまう
そんなふうに、問題が起きるたびに「裁判」のような構図になってしまうと、家庭の中がいつの間にか“裁判所”みたいな緊張感のある場所になってしまいます。
「これぞ家庭裁判所!」なんて冗談を言える雰囲気ではなくなってしまいます。
人と人との関係には、どうしたってグレーな部分がある。
すぐに答えが出ないからこそ、時間をかけて向き合っていける関係を築いていく。
その柔らかさを大事にすることも、心地よいパートナーシップには欠かせない視点です。
もし今、結婚前のあなたなら──この3つだけは、大切にしてほしい
じゃあ私は、これからどうやって結婚というものと向き合っていけばいいんだろう?
そんなふうに感じた方へ。
これまでの相談現場で見えてきた経験もふまえて、今のうちにそっと持っておいてほしい視点を、3つだけお届けします。
①「自分にとっての幸せ」を、じっくり考えておく
結婚を考えるとき、どうしても
- 「この人は“世間的に見て”いい相手かどうか」
- 「この人となら“理想の結婚像”を叶えられるか」
そんな視点で相手を見てしまいがちです。
でも、世間で語られる「幸せな結婚」と、あなた自身が感じる「ほんとうの幸せ」は、まったく違うかもしれません。
実際、「理想通りの相手と結婚したはずなのに、なぜか幸せじゃない」と感じる人も、少なくないのです。
だからこそ、結婚前の今のうちに、
自分にとっての幸せって、どんな状態だろう?
この人と一緒に育てていけそうだろうか?
そんな問いと、じっくり向き合ってみてほしいのです。
②「境界線を引く力」を持っておく
結婚というのは、“個”だったふたりが“家族”になる関係。
だからこそ、どうしても距離感が曖昧になりやすくなります。
もともと人と自分の境界線を引くのが苦手な人は、
夫婦なんだから。家族だから。
と、あらゆることを共有しようとしてしまい、気づいたら、自分の輪郭ごと、溶けてなくなってしまうような感覚になることも。
逆に、あまりにガチガチに線を引いてしまえば、
それってもう他人と同じじゃない?
という関係にもなってしまう。
“ふたりで生きる”中でも、ちゃんと“自分を感じられる”距離感を保つこと。
それが結婚後の精神的な安定にもつながっていきます。
今のうちから、「私はどこまでOKで、どこからがNG?」といった自分なりの境界感覚を確かめておくことが、あとあと、パートナーとの関係の中で迷子にならないための土台になるのです。
③「罪悪感との付き合い方」を覚えておく
自分だけが幸せになっちゃいけない気がする
相手より目立ったら申し訳ない
そんなふうに、無意識のうちに自分の幸せの“天井”を決めてしまう人がいます。
たとえば以前、「結婚生活をうまくやっていくコツは、“配偶者よりも幸せにならないこと”」という言葉をイェール大学助教授・成田悠輔さんがテレビで紹介して話題になったことがありました。
でも、もしそれが本当だとしたら──
「相手より幸せになってはいけない結婚」って、一体なんのためにするんだろう?
そう思ってしまいますよね。
- 自分の願いを叶えようとしたとき。
- 相手と違う意見を持ったとき。
- 誰かの気持ちよりも、自分を大事にしたいと感じたとき。
そんな瞬間に、「ごめんなさい」と言いたくなってしまうなら、それは、あなたの中にある“罪悪感”という感情との付き合い方のクセ
なのかもしれません。
「幸せになっていい」って、自分に許せること。
それこそが、パートナーと対等に手を取り合っていくための、大切な土台になるのです。
この3つは、「今すぐ完璧にできるようになること」ではありません。
ただ、こういう視点を持って結婚を考えるかどうかで、
きっと未来の景色は、大きく変わっていくはずです。
まとめ|結婚が“辛い”か“幸せ”かは、誰かが決めることじゃない
結婚はつらいもの。
結婚は幸せなもの。
──どちらも、きっと誰かにとっての真実です。
でも、あなたにとってどうかは、これからあなた自身が選び、育てていくもの。
誰かの理想や不安に振り回されるのではなく、
“自分の幸せのかたち”から、結婚というものを見てみる。
その視点を持てるかどうかが、未来の安心をつくる第一歩になるのかもしれません。