
楽しそうな誰かを見たとき、 予定がないことに気づいた休日の朝、 静けさと一緒に私だけが取り残された感じがする。
スマホを見れば誰かの幸せそうな投稿が並び、 「みんな誰かと過ごしてる」「私だけ、ひとり?」と 心がチクっとする。
そんな瞬間、ありませんか?
このコラムでは、そんな“消えない孤独感”を 根本から癒していくための視点をお届けします。
Contents
一人で寂しいと感じやすい5つのタイミング
私は女性の恋愛・結婚・パートナーシップ・人間関係の相談をメインに、広くいえば人生相談を10年以上受けてきました。
その中でいつも感じるのは、悩みの表面にはいろんな出来事や関係性があるけれど、深く掘っていくと、根っこにあるのは「一人で寂しい」とか「孤独感がつらい」といった感覚であるということ。
人はそもそも“社会的な動物”なので、「孤独感」は、自分の社会的な存在が消えてしまうような恐怖とつながっていて、それはもう、本能的に怖くて当然なんです。
じゃあ実際に、どんなときに「一人で寂しい」と感じやすいのか?
私がこれまで多くのご相談を受けてきた中でも特に多かったシチュエーションを、ここに5つ紹介します。
もしかしたら、あなたにも似たようなタイミングがあるかもしれません。
① SNSで誰かの“幸せ報告”を見たとき
友達の結婚報告、赤ちゃんが生まれた、誰かが夢を叶えたという投稿。
仲のいい友達だからこそ、心から「おめでとう」と言ってあげたい気持ちがあるのに、素直にそう思えない自分がいる。
私自身も過去、正体の掴めない寂しさを毎日感じていた頃に、SNSを通して幸せそうな友人の近況を見ては、祝ってあげたい気持ちと同時に、「なんであの子はうまくいくのに、私だけ…?」という黒い感情が湧いてきてしまうことがありました。
会いたいけれど、会いたくない。
祝福したいけれど、素直になれない。
そんな矛盾した気持ちを抱えながら、今まで自分と同じ場所にいたはずの人たちが、どんどん遠くに行ってしまうような寂しさに飲み込まれていく。
あの“取り残される感覚”が、一人でいる時間の寂しさを、より濃く、より深くしてしまうことって──ありますよね。
② イベントごと(誕生日・年末年始・連休)のあと
たとえば、誕生日やクリスマスといったイベントは、恋人や家族と過ごすものだという空気がありますよね。
「そんなのは世間の決めた風潮だし、あまり振り回されるのもどうかと思う」と感じる部分もあるかもしれません。
イベントごとに踊らされるのはちょっとダサい
そんなクールな気持ちも、きっと本音でしょう。
でも、やっぱり街が浮かれていたり、誰かがプレゼントやケーキを受け取っているのを見ると、胸の奥がキュッと痛くなることもあります。
「イベントに乗らない」と自分で決めたのではなくて、最初から乗る権利が与えられていない気がする。
そう感じてしまうとき、孤独感は一気に色濃くなってしまうのです。
本来なら楽しいはずの季節が、「私は選ばれていないのかもしれない」という感覚を強く突きつけてくる──そんな風に感じることも、ありますよね。
③ 周りにカップルや家族連れが増えてきたとき
街を歩けば手をつなぐ恋人たち、ベビーカーを押す家族連れ。誰かにとっては当たり前の日常風景が、自分の中の“空白”を鮮やかに照らしてしまうことがあります。
それは、ただ通り過ぎる風景なのに、自分だけが取り残されているような感覚につながっていく。
特に、自分と同じように一人時間を楽しんでいた友人たちが、パートナーを持ち、家族を持ち、週末や連休を“自分ではない誰か”と過ごすようになっていくと、ふとした瞬間に、まるでひとりだけ時間からこぼれ落ちたような気持ちになることがあるんです。
私もいつか、あっち側に行けるのかな
このままずっと一人だったらどうしよう
そんな声が、静かに、でも確かに心に響く。
それが、日常の中でじわじわと押し寄せてくる、言葉にしづらい寂しさの正体かもしれません。
④ 気分が落ち込んでいるとき・体調が悪いとき
風邪をひいて寝込んでいる夜や、なんとなく元気が出ない日の午後。
「誰かに看病してほしい」とまでは思わなくても、そっと隣に座ってくれる誰かの存在が恋しくなるときもありますよね。
調子が悪いと、心も弱りやすくて、ひとりでいることの重さが、ずしんと身体にのしかかります。
そんなときの孤独感って、いつもより深く染み込んでくるものです。
⑤ することがなくてヒマなとき
何も予定がない休日、誰とも連絡を取っていない一日。
時間はあるのに、誰にも会わず、話さず、ただぼーっと過ごしてしまうとき、 人は“空虚さ”という孤独に包まれます。
誰かと一緒にいなくても平気なつもりだったのに、「誰かに必要とされたい」という気持ちが、静かな部屋の空気に浮かび上がってくるのです。
一人で寂しい時にみんながしてること
一人で寂しいときって、みんなどうしてるんだろう?
相談を受ける中で、こんな問いを投げかけられることがよくあります。
実際に、相談者さんたちが「こんなふうにして寂しさをやり過ごしている」と教えてくださることも多いです。
あなたにも、もしかしたら似たような経験や、すでにやってみたことがあるものがあるかもしれません。
- 趣味や仕事に打ち込んでみる
- 推し活やエンタメで気分を上げる
- 美味しいものを食べる/カフェに行く
- 一人旅をする/自然に触れる
- マッチングアプリに登録してみる
- 家族や友達に会う/連絡を取る
- 映画や本の世界に没入する
- 運動やストレッチでリフレッシュ
- 動物とふれあう
確かに、どれも素敵なことだし、寂しさの気分をやわらげるにはとても良い方法です。
ただ、それは“解消”というより、“紛らわせる”という方向に近いのかもしれません。
だからこそ、いろいろ試してきたけど、それでもどこかに残ってしまう“消えない寂しさ”に困って、あなたはこうして、この記事をここまで読み進めてくださっているのではないでしょうか。
ではここから「一人で寂しい」という気持ちが発生する、根本的な理由について深く入っていきましょう。
何をしても「一人で寂しい」が消えない本当の理由
「寂しい」と感じるのは、近くに誰もいないからなのだろう。
そう思われがちですが、実は“自分が自分の心を無視しているとき”に、一番強くなる感情なのです。
「一人でいるときの孤独感よりも、二人でいるときの孤独感の方がつらい」といった言葉を聞いたことはありませんか?
まさにそれが、寂しさの本質を表しています。
人がそばにいても寂しいと感じてしまうのは、 “誰かとの距離”ではなく、“自分との距離”が遠ざかっているから。
つまり、「物理的に一人でいるかどうか」と「寂しさを感じるかどうか」は、まったく別の話なのです。
自分の気持ちに目を向けていない限り、どれだけ周囲に人がいても、心の奥にある孤独感は消えてはくれません。
一人で寂しい時、心から届いているメッセージ
ここでは少しイメージしやすくするために、 あなたが普段意識している“表の自分”を「私」、そして、奥深くにいる“ほんとうの自分”を、ひらがなで「“わたし”」と呼んでみますね。
この「“わたし”」が、寂しさという感情を通して、あなたに伝えようとしていることがあります。
自分の中に“わたし”という別人格がいる──
この考え方は、インナーチャイルドや潜在意識のワークではよく用いられますが、日常では少しなじみが薄いかもしれません。
でも、たとえばサッカーの本田圭佑選手が、ACミランへの移籍を決めた際に
「心の中のリトルホンダに聞いたら『ミランだ』と言った」
と語ったように、誰の中にも“心の奥の小さな声”があるものです。
それは、理屈や正しさではなく、もっと静かで、本質的な感覚。
「“わたし”」は、まさにそんな存在です。
ここから先は、あなたの中にいる“わたし”の通訳として──その声にそっと耳を傾けてみてください。
① “わたし”に気づいてほしい
私たちの中には、ずっと前から存在している「もう一人の自分」がいます。
でも忙しい日々や外側への意識の中で、その存在に気づかずに過ごしてしまうことも少なくありません。
寂しさという感情は、その「ほんとうの自分」からのサイン。
「私はここにいるよ」と、無意識の奥から気づきを促してくれているのです。
② “わたし”を見てほしい
本当の自分の気持ちや声を、私たちはつい無視してしまいがちです。
こんな感情、見たくない。
こんな自分、認めたくない。
と感じるときほど、心の奥ではその存在が静かに助けを求めています。
ちゃんと目を向けてもらえないまま、自分の一部が小さく、弱くなっていく。
でも、その“わたし”は今もちゃんと存在していて、あなたの視線を待ち続けています。
③ “わたし”の言葉を聞いてほしい
本音を言えずに我慢してきたこと、傷ついたまま放置されてきた気持ち。
誰かに話すのは勇気がいることでも、自分の心の中でなら、まずは聞いてあげることができます。
どう感じていたの?
何がつらかったの?
と静かに耳を傾けることで、心の奥の“わたし”がようやく言葉を持ちはじめます。
④ “わたし”のそばにいてほしい
寂しさを埋めるために、誰かにそばにいてほしいと思うのは自然なことです。
でもその前に、自分自身が“わたし”のそばにいてあげることが、心の土台になります。
どんな自分でも受け止めてあげる。
私はここにいるよ。
と自分自身に伝えていくことで、安心感が少しずつ戻ってくるのです。
⑤ “わたし”を抱きしめてほしい
つらいことも、悲しいこともたくさん経験してきた“わたし”に、「よくここまで頑張ってきたね」と声をかけてあげる時間を持ってみてください。
感情をなかったことにせず、自分の気持ちを抱きしめることで、寂しさの正体だった「無視された自分」が、ようやく癒されていきます。
寂しさを根本から癒す“自分とのつながり”3ステップ
「一人で寂しい」という感情は、多くの場合「物理的にひとりでいるから寂しい」と思われがちです。
でも実は、からだが一人でいることよりも深いところで──
自分の中の“わたし”(=リトル本田)が、“私”(=本田選手)に気づいてほしくて送っているSOSが、寂しさの正体なのです。
この“わたし”の声を無視し続けている限り、どれだけ人に囲まれていても、どんなに優しいパートナーがいても、なぜか埋まらない「孤独感」や「むなしさ」が残ります。
でも逆に、この“わたし”との関係が修復されていくと、現実の状況が何も変わっていないのに、不思議と心があたたかくなることがあります。
そしてもっと不思議なのは──“わたし”が癒されていくにつれて、現実のほうも変わり始めるのです。
これは「意識の世界」ならではの面白さであり、頭で理解するより、ぜひあなた自身の感覚で味わってみてほしい変化です。
ここからは、そんな“わたし”とのつながりを回復していくための、3つのステップをご紹介します。
ステップ①|「いま、どんな気持ち?」と話しかけてみる(自己対話)
まずは、自分に「いま、どんな気持ち?」と聞いてみることから始めてみましょう。
ノートに書いてもいいし、歩きながらつぶやいてもいい。
最近では、ChatGPTのようなAIに話しかけてみるのもひとつの方法かもしれません。
やり方は自由です。
大切なのは、「自分の中にいる“わたし”に問いかけてみる」ということ。
──とはいえ、こう思う方も多いはずです。
聞いてみたけど、何も返ってきません
これ、本当に意味あるんですか?
でもそれって、むしろ当然なんです。
たとえるなら、あなたがこれまでずっと無視してきた相手に、いきなり「元気?」と話しかけるようなもの。
ずっと無視されていた“わたし”の側からすれば、「は?今さら?」という気持ちもあるかもしれません。
ACミランに移籍した本田選手が、「自分の中のリトルホンダに聞いた」と話していたように、心の中にいる“もうひとりの自分”がすぐに答えてくれる人もいるかもしれません。
でも、それはすでに信頼関係ができているからこそ。
あなたと“わたし”の関係は、まだそこまで育っていないかもしれない。
だから、反応が返ってこないのは当たり前だと思ってくださいね。
これは、「これから関係をつくっていく」ための第一歩なんです。
最初は何も返ってこなくても大丈夫。
「寂しい」「わかってほしい」──そんな気持ちを抱えていた“わたし”に、ようやくあなたが声をかけ始めた。
それだけでも、関係修復のプロセスはもう動き出しています。
ステップ②|「誰に何を求めてる?」と聞いてみる(ニーズの自己確認)
「寂しい」と感じるとき、心の奥では「本当は、誰に、何を求めているのか?」というニーズが隠れていることがあります。
- 「本当はあの人に“そばにいて”って言いたかった」
- 「誰かに“わかるよ”って寄り添ってほしかった」
- 「ぎゅっと抱きしめてほしかった」
そうやって心の中の“わたし”が、ずっと抱えてきた願い。
それを、まず自分が受け取ってあげることができたなら、他人からの埋め合わせではなく、自分との信頼関係が少しずつ築かれていきます。
もちろん、誰かに頼ることや助けを求めることも大切です。
でも、「まずは私が、私の気持ちに寄り添ってあげる」ことが、他者との関係に依存しすぎない“心の土台”をつくってくれます。
「この気持ち、誰に届けたかった?」と問いかけてみて、出てきた願いや想いを、自分がほんの少しでも叶えてあげてくださいね。
ステップ③|“あたたまる習慣”を持っておく(自己安心の仕組みづくり)
人肌のぬくもりはないけれど、心がじんわりと温まる…そんな“あたたまる習慣”を、自分のために用意しておくのも、ひとつの優しい手です。
たとえば、
- お気に入りの香りを焚く
- 静かな音楽を流す
- 優しい明かりに包まれる部屋で、紅茶を飲む
- ふかふかの毛布を用意しておく
- 未来の自分に手紙を書く
こういった時間は、「一人きり」の瞬間を、“私の味方”に変えてくれる小さな魔法。
寂しさを感じたとき、「いつもの安心ルーティン」にすっと戻れるようにしておくだけでも、“わたし”との関係は、どんどん育っていきます。
これがあるから大丈夫
そう思える、自分だけの安心スポットをつくっておきましょう。
一人で寂しい時間は、“満たされた時間”に変わっていく
一人で寂しいという気持ちや、どうしようもない孤独感は「わたしのほうを見て」という“わたし”からの呼びかけかもしれない、という視点をご紹介しました。
その寂しさを解消するために、外側の現実を変えることも悪くはありません。
ですが、それらは根本解決というよりも、対処法という位置付けに当たります。
外の誰かを求めてさまよう前に、まずは、自分の中にいる“わたし”にやさしく目を向けてみること。
そのまなざしこそが、寂しさや孤独感を根っこから変えていく、はじまりになります。
ぜひ、ひとりの時間を、寂しさに耐える時間ではなく、“自分自身のことを知ってあげる、あたたかい時間”へと変えてみてください。
その先には“本当の意味で誰かとつながれる未来”がちゃんと待っています。