
全部うまくいかない…そんなとき、心の中で何が起きているのか?
もう何もかもダメかもしれない
仕事も、恋愛も、体調も、全部がうまくいかない──
そんなふうに感じてしまう時期、誰にでもあるかもしれません。
でも、いざその渦中にいるときは、「一生このままかも」というくらい、真っ暗に感じるものですよね。
この記事では、「全部うまくいかない」と感じるときに、私たちの中で起きていることをやさしくひもときながら、そこからほんの少しでも抜け出すための視点やヒントをお届けします。
あなたが今どんな状態でここにたどり着いたとしても、読んでいる間だけでも、少し肩の力が抜けるような時間になりますように。
Contents
「全部うまくいかない」と感じる心の構造
女性のライフキャリアやパートナーシップ、人生全体に関するご相談を受けていると
もう、何もかもがダメになってしまった気がする…
と、四方八方が詰まってしまったような状態で来られる方に出会うことがあります。
まるで、部屋中がぐちゃぐちゃになっていて、何から手をつけていいかわからない──そんな心の状態。
カウンセリングを検討する人の中には、「辛い気持ちを聞いてほしい」という人もいれば、「とにかく、このぐちゃぐちゃな状態をどうにかしたい」という人もいます。
後者のような方は、実は“何が問題なのかさえ見えなくなってしまっている”状態。
自分でも整理がつかないし、どこから手をつければいいかも分からない。
でも、放っておくとどんどん混乱が広がっていく。
そういうとき、心の中で本当は何が起きているかというと──“全部”がぐちゃぐちゃになっているわけではなくて、最初は一つの領域に原因があることが多いのです。
たとえば、恋愛で大きく傷ついたあとに、仕事での集中力が落ちてミスが続いたり、あるいは職場で人間関係に悩んでいたのに、プライベートにも余裕がなくなって体調まで崩したり。
そうやって、本来は別々のジャンルだった問題が、次第に混ざり合って絡まり始める。
心の“部屋”が散らかっていくように、一つのきっかけが他の領域まで波及してしまい、最終的に「もう全部ダメだ」と感じてしまう──それが、「全部うまくいかない」の正体のひとつです。
「全部うまくいかない」と感じる方に共通する、5つの“心のねじれ”
「もう、全部ダメかもしれない」──そう感じてしまうとき、実際には人生のすべてが一斉に崩れてしまったわけではないことも多いものです。
その背景には、「本当はこうありたかった」という願いと、現実との間に生まれた心のねじれが存在しています。
ここでは、そうした“全部がうまくいかない”と感じる状態に至るまでの、相談現場でよく見られるケースを元に、5つの内面的な構造についてご紹介しますね。
① 「がんばること」が、かえって願いを遠ざけてしまうとき
周囲の期待に応え、誰かの役に立つことを大切にしてきた方ほど、頼られたり感謝されたりすることには慣れているかもしれません。
けれどもその結果、本来の望みだったはずのものが遠ざかってしまったと感じることがあります。
たとえば、穏やかな家庭、安心できるパートナー、夜は静かに休める日常──そういった願いが、「がんばる自分」であり続けるうちに、選びにくくなってしまうのです。
必要とされることが増えるほど、自分自身の“望み”がわからなくなっていく。
それが、心の深いところにあるねじれのひとつです。
② 「ちゃんと考えて動いているのに、伝わらない」苦しさに直面するとき
まわりの人や環境をよくしようと考えて行動してきた方ほど、その意図がうまく伝わらないときに強い孤独感を抱えてしまうことがあります。
「面倒くさい人」「空気が読めない」といったレッテルを貼られてしまったとき、それが自分の本意ではないとわかっていても、心は深く傷ついてしまいます。
本来は貢献したい、よくしたいという思いが、伝わらなかった体験の積み重ねによって“報われなさ”に変わってしまう構造。
その状態が続くと、「何のために考えているのだろう」と、自分を疑う方向に向かってしまいます。
③ 「順調だった私」が崩れ落ちたあとの空白に立ち尽くすとき
恋愛、仕事、ライフスタイル。どれもが順調に進んでいたときほど、そのすべてが突然崩れてしまったときの衝撃は大きなものになります。
理想の人との別れや、予期しない退職・異動、思いがけないライフステージの変化などが重なったとき、「私はいったい何者だったのだろう」と、過去と現在の自分の落差に苦しむ構造が生まれます。
それまで積み上げてきた自己認識や生き方が崩れ、新しい軸を見つけられないまま、ただ“空白”を抱えて立ち止まってしまう。
そのとき、人は強い喪失感と混乱の中に置かれることになります。
④ 「成果」と「満たされなさ」がかみ合わなくなったとき
外側の成果、収入や実績はしっかり出ているのに、なぜか内側では「満たされていない」「搾取されている」と感じてしまう。
このズレが長く続くと、「私がどれだけ働いても、私の心は報われないのではないか」という疑いが生まれます。
やりがいが感じられず、頑張っても空虚。また本気を出してしまうと、前のように壊れてしまうかもしれないという怖さ。
こうした状態は、“成功しているはずなのに、自分を好きになれない”という深い分離感につながっていきます。
⑤ 「喜びの場」を喪失し、日常の意味を見失ってしまうとき
信頼していたパートナーや、やりがいのあった仕事、安心できた居場所。
そのすべてを一度に失ってしまったとき、人は日常の中に喜びを感じる余白をなくしてしまいます。
新しい職場や人間関係に馴染めないまま、かつての自分と比べて「何もできていない」「誰にも必要とされていない」と感じてしまう。
こうした構造の中では、人生を“喜びを感じるもの”としてではなく、“ただやりすごすもの”として受け止めてしまう感覚が強くなります。
そのとき、私たちは生きているはずなのに、どこかに“生きている実感”を置き去りにしてしまうのです。
「全部うまくいってる私」を求めすぎると、今の自分がもっと苦しくなる理由
仕事も恋愛も、健康も人間関係も……全部ダメ
そんなふうに感じているとき、人はつい、“全部うまくいっている自分”を望みます。
素敵なパートナーがいて、仕事もうまくいっていて、時間もお金もあって、周囲からも愛されている──そんな“理想の完成形”が頭に浮かぶのは、心がマイナスに振り切れているときほど自然なことです。
たとえば、今が−100の状態なら、「+100の世界に行きたい」と思うのは、ある意味で健全な欲求。
でもそのプラスを遠くに設定すればするほど、今の自分との距離もまた大きくなってしまうのです。
ただでさえ落ち込んでいるのに、そこに「なんで私は、あそこに行けないんだろう」という比較の刃が加わって、さらに自分を傷つけてしまう──それが、“全部うまくいってる私”という幻想に引っ張られるときの、心の落とし穴です。
だからこそ、ここで視点を変えてみてほしいのです。
人生は、電気のスイッチのように“オン”か“オフ”かで切り替えられるものではありません。
真っ暗な部屋を一気に照らすのではなく、少しずつ光を調節するように、「今よりもほんの少しだけ明るい場所」を目指してみる。
そのほうが、心にも現実にも、ちゃんと馴染んでいきます。
人生が全部うまくいかないように感じるとき、その状態から抜け出していくために
もう、何もかもダメ。仕事も恋愛も、人間関係も、お金も体調も…全部がうまくいっていない気がする
そんなふうに感じてしまうとき、私たちは“これからどうすればいいか”さえ見えなくなってしまいます。
でも本当は、そんな状態にもゆるやかに抜け出していくための入り口があります。
ここでは、「全部がうまくいかない」という気持ちに飲み込まれそうなときに、そこから少しずつ抜け出していくための3つのステップをご紹介します。
Step 1|まずは、感情に飲み込まれないようにする
「もう無理」「絶望しかない」
そう感じるとき、私たちの心は“今この瞬間の感情”に強く支配されています。
怒り、悲しみ、悔しさ、不安……それらの感情が一気に押し寄せてくると、視界が狭くなり、冷静さを保つことがとても難しくなってしまいます。
感情に圧倒されている状態では、ふだんならしないような選択をしてしまったり、必要以上に自分を責めたり、未来をすべて諦めたくなったりするものです。
だからまずは、感情と“少し距離を取る”ことが大切です。
- 「私は今、◯◯を感じているな」と、名前をつけてみる
- 泣く、書く、声に出すなど、自分なりの方法で少し感情を放出する
- 眠れなかったら、眠れない自分を責めるのではなく、「今は眠れない時間」としてそっと過ごす
感情を排除しようとするのではなく、“いまはこういう状態なんだ”と認めることで、少しずつ落ち着きが戻ってきます。
Step 2|「本当に“全部”がダメなのか」を、フラットに見直してみる
「全部うまくいかない」と感じているときほど、視野は極端に狭くなっています。
それはまるで、子どもが「みんな持ってるから僕もほしい」と言ったときに、“みんなって、誰のこと?”と聞いてみると、実は2〜3人だった──そんなイメージに近いかもしれません。
恋愛と仕事とお金が同時に崩れたとしても、人生のすべてが終わったわけではありません。
でも、「うまくいってないこと」ばかりに意識が向いていると、残りのジャンルにも“ダメ”という色が染み込んでしまうのです。
一度フラットな視点で、自分の今を見直してみてください。
- たしかに恋愛とお金は厳しいけど、健康は守られているかもしれない
- 仕事はきついけれど、信頼できる友達はいるかもしれない
- 外では笑えないけど、この文章を読もうと思える気力は残っている
「本当に全部なの?」と問い直してみると、全部ではないと気づけることがあります。
Step 3|「まだマシ」な部分に意識を向けて、そこを“とっかかり”にしていく
もし、いまの自分の人生に「完璧にうまくいっている場所」が見つからなくても、「まだマシな部分」なら、どこかにあるかもしれません。
- 恋愛も仕事もお金も混乱してるけど、体調だけは元気
- 人間関係はうまくいってないけど、ひとり時間は安心できる
- 目立った成果は出ていないけど、諦めてはいない自分がいる
そうした「ちょっとだけマシなところ」を、満足の材料にするためではなく、意識の“とっかかり”として使っていくのです。
私たちの心は、不思議なことに、意識を向けたものを拡大していく性質を持っています。
「ここはまだ大丈夫」と思えた部分に丁寧に光を当てることで、次第に“マシ”と感じられる領域が少しずつ増えていくのです。
オセロをひとつずつ裏返すように、“全部がうまくいっていない”という盤面も、ゆっくりと、確実に、塗り替えていくことができるはずです。
まとめ|“全部うまくいかない”と思えるあなたは、まだ生きてる証
人生がうまくいかないと感じるときは、四方八方ふさがって、どこにも出口がないように思えるかもしれません。
でも案外、見落としていた足元に、ぽっかりと抜け穴が空いていることもあるものです。
今見えている範囲がすべてだと思うと、打つ手なしに感じてしまいますが、現実の突破口は、意外なところにあることも多い。
それは「心の動き」や「思い込みの枠」を見直すことだったり、今日一日をどう過ごすかという小さな選択の中にあったりします。
全部がうまくいかないときこそ、全部を一度に解決しようとせず、一つひとつ、少しずつ、抜け道を探していけばいい。
そこから、全体がゆっくり動き始めることもあります。
慌てず、焦らず。けれど、あきらめずに。変化は、思っているよりもずっと静かに始まっています。