「なんであの人ばかりうまくいくの?」
「本当は私の方が成功してしかるべきなのに」
誰かの成功や幸せを見て、素直に祝福できない気持ちになった経験は、きっと多くの人にあるでしょう。
まったく知らない相手なら、「うまくいきやがって」と心の中で悪態をついて終わることもできるでしょう。
しかし、仲のいい友人や身近な人に対する嫉妬心が抑えられないときは、嫉妬そのものに苦しむだけではありません。
「仲のいい友人の成功を喜べないなんて、私は心が狭いのではないか」と罪悪感まで抱き、二重に苦しくなることもあります。
この記事では、そもそも嫉妬とはどのような感情なのかを掘り下げながら、自分を成長させる良性嫉妬と、相手を引きずり下ろして自分まで苦しくする悪性嫉妬の違い、その気持ちとの向き合い方について解説します。
Contents
- 嫉妬とは?
- 嫉妬に関する3つの特徴
- 1. 自分と近しい人ほど嫉妬する
- 2. 自分が欲しいものを持っている人に嫉妬する
- 3. 嫉妬の奥には認めていない願いがある
- 嫉妬には2種類がある
- 1. 良性嫉妬|自分を引き上げるレベリングアップ
- 2. 悪性嫉妬|相手を引き下ろすレベリングダウン
- なぜ悪性嫉妬のレベリングダウンに向かうのか
- 1. 自分には相手のようになれないと思うから
- 2. 相手の成功を不公平だと感じるから
- レベリングダウンから抜け出すために必要なこと
- 1. 相手を下げたくなっている自分に気づく
- 2. 自分には手に入らないと思っていることを見る
- 3. 本当は自分も欲しいと認める
- 4. 自分にも現実を動かせる感覚を取り戻す
- 嫉妬は自分の未来を知るための感情
嫉妬とは?
嫉妬とは、他人と自分を比較したときに、相手が持っているものと自分が持っていないものとの差を意識することで生まれる感情です。
そもそも人間は、社会や集団の中で生きる生き物です。
自分一人だけを見ていても、自分がどの程度できているのか、社会の中でどのような位置にいるのかを正確に知ることはできません。
そのため、周囲の人を基準にしながら、自分の能力や評価、立場を確かめようとする心理的な動きがあります。
たとえば
- 同じ時期に仕事を始めた人が自分より先に評価されたとき
- 同年代の友人が結婚したとき
- 似た活動をしている人が大きな成果を出したとき
こんなとき、私たちは相手と自分の現在地を無意識に比較します。
このような比較そのものは、決して悪いものではありません。
他人を見ることで、自分の成長に気づいたり、これから目指したい方向が見えたりすることもあります。
しかし、自分にとって価値のあるものを相手が持っていて、自分にはないと感じると、その差が痛みとして意識されます。
「羨ましい」という気持ちに加えて、悔しさや焦り、劣等感、「なぜあの人ばかり」という怒りが生まれることもあるでしょう。
つまり嫉妬とは、単に相手が嫌いだから起こる感情ではありません。
他人との比較を通して、自分の現在地や、自分がまだ手に入れられていないものを突きつけられたときに生まれる感情なのです。
嫉妬に関する3つの特徴
嫉妬は、誰に対しても同じように起こるわけではありません。
そこには、いくつか共通する特徴があります。
1. 自分と近しい人ほど嫉妬する
嫉妬は、自分と年齢や立場、環境、能力などが近い人に対して起こりやすい感情です。
世界的に活躍している有名人よりも、同じ職場の同僚や学生時代の友人、同じ分野で活動している人の成功に対して嫉妬する人の方が多いでしょう。
つまり嫉妬とは「精神的なご近所さん」と自分が認識している相手に対して発生します。
自分と距離が近いからこそ、「自分にもできたはず」「なぜ自分ではなく、あの人なのか」と比較が起こりやすくなるのです。
2. 自分が欲しいものを持っている人に嫉妬する
人は、自分がまったく興味を持っていないものに対しては、あまり嫉妬しません。
相手の収入や評価、才能、容姿、恋愛、家庭などに嫉妬するのは、それが自分にとっても価値のあるものだからです。
嫉妬の対象を見ることで、自分が何を大切にしているのか、何を手に入れたいと思っているのかが見えてきます。
3. 嫉妬の奥には認めていない願いがある
嫉妬の奥には、自分でもまだ認めきれていない願いが隠れていることがあります。
「別に成功したいわけではない」「結婚なんて興味がない」と思っていても、それを手に入れた人を見て強く反応するなら、本当は自分も望んでいるのかもしれません。
嫉妬は、普段は見ないようにしている願いや、諦めたことにしている気持ちを表に出す感情でもあるのです。
嫉妬には2種類がある
心理学では、嫉妬は大きく「良性嫉妬」と「悪性嫉妬」の2種類に分けて考えられています。
ここでは自分を成長させる力となる「良性嫉妬」と、自分を苦しめるだけでなく対人関係にヒビを入れかねない「悪性嫉妬」それぞれについて、詳しく見ていきます。
1. 良性嫉妬|自分を引き上げるレベリングアップ
良性嫉妬とは、相手との違いを見たときに、
- 自分もそこに近づきたい
- 自分ももっと成長したい
と、自分を引き上げる方向へ向かう嫉妬です。
相手の成功を見て悔しさや羨ましさを感じても、その感情を努力や行動に変えていきます。
たとえば、相手がどのような努力をしてきたのかを調べたり、自分に足りないものを身につけたりすることで、相手との差を縮めようとします。
このように、自分の位置を上げることで相手との差を埋めようとすることを、レベリングアップといいます。
2. 悪性嫉妬|相手を引き下ろすレベリングダウン
悪性嫉妬とは、自分を引き上げるのではなく、相手を引き下ろすことで差をなくそうとする嫉妬です。
- あの人は運がよかっただけ
- 本当はたいしたことがない
と相手の価値を否定したり、失敗を望んだり、周囲からの評価を落とそうとしたりします。
相手より下にいると感じる苦しさを、自分が成長することで解消するのではなく、相手を自分と同じ位置まで下げることで解消しようとするのです。
このように、相手の位置を下げることで差を埋めようとすることを、レベリングダウンといいます。
なぜ悪性嫉妬のレベリングダウンに向かうのか
嫉妬は、決して心地よい感情ではありませんが、良性嫉妬であれば、その悔しさを自分の成長につなげることができます。
一方で、自分も相手も苦しめてしまう悪性嫉妬から抜け出せない人の心の中では、いったい何が起こっているのでしょうか。
ここでは、悪性嫉妬であるレベリングダウンに陥ってしまう人の心理背景について、代表的な2つの理由を見ていきましょう。
1. 自分には相手のようになれないと思うから
レベリングアップするためには、「今は相手の方が上にいても、自分にも近づける可能性がある」という感覚が必要です。
ところが、相手の才能や成功を見たときに、
- 自分には才能がない
- 今から始めても遅い
- 自分が努力しても、どうせ報われない
と感じると、自分を引き上げる道が最初から閉じてしまいます。
それでも、相手を見るたびに、自分が持っていないものや到達できていない現実は突きつけられます。
その差を受け入れることも、自分で埋めることもできないため、「相手が大した存在ではないことにする」という方法で苦しさを小さくしようとするのです。
- あの人は運がよかっただけ
- 裏ではたいしたことをしていない
- あんな成功には価値がない
と相手を低く評価すれば、自分が負けている現実を認めずに済みます。
つまり、レベリングダウンの奥にあるのは、単なる性格の悪さではありません。
自分には相手のいる場所まで上がれないという無力感と、その現実から自分を守ろうとする心理があるのです。
2. 相手の成功を不公平だと感じるから
相手の成功に対して、「努力した結果なのだろう」「自分には見えていない積み重ねがあるのだろう」と思えれば、悔しさはあっても、その人を目標にすることができます。
一方で、
- あの人は実力がないのに評価されている
- 自分の方が努力してきたのに
- あの人だけ特別扱いされている
と感じると、相手の成功は単なる羨ましい対象ではなく、不正によって得られたものに見えてきます。
すると、自分の嫉妬は「相手を引きずり下ろしたい」という個人的な感情ではなく、「間違った評価を正したい」「不公平をなくしたい」という正義のような形に変わります。
相手の悪口を言うことも、欠点を探すことも、失敗を喜ぶことも、本人の中では攻撃ではなく、正当な行為に感じられるようになります。
実際には、相手が落ちても自分の現実が良くなるわけではありません。
それでも、不当に上にいる人を元の位置へ戻したと思うことで、一時的に自分の価値が回復したように感じられるのです。
レベリングダウンが強くなるのは、嫉妬に不公平感が加わり、相手を攻撃することに自分なりの正当性が与えられたときなのです。
レベリングダウンから抜け出すために必要なこと
レベリングダウンは、「相手を悪く思わないようにしよう」と考えるだけで簡単に変えられるものではありません。
相手を下げたい気持ちの奥には、自分には欲しいものを手に入れられないという諦めや、現実を変えられないという無力感があります。
そのため、相手への敵意だけを抑えようとしても、嫉妬の原因そのものは残り続けます。
悪性嫉妬から抜け出すには、相手に向いている意識を少しずつ自分の内側へ戻し、自分が何を望み、なぜ手に入らないと思っているのかを見ていく必要があります。
1. 相手を下げたくなっている自分に気づく
まず必要なのは、自分が相手の価値を下げようとしていることに気づくことです。
- あの人は運がよかっただけ
- 大した実力はない
- そのうち失敗すると思う
- 周囲が過大評価しているだけ
と考えているとき、その判断が本当に客観的な評価なのか、それとも嫉妬によって相手を低く見ようとしているのかを立ち止まって見る必要があります。
悪性嫉妬は、「自分は嫉妬している」と自覚しているとは限りません。
「事実を指摘しているだけ」「相手の問題点を冷静に見ているだけ」と、自分の中では正当な評価に見えていることもあります。
だからこそ、相手への批判が強くなったときには、その言葉によって自分が何から守られようとしているのかを見ることが最初の一歩になります。
2. 自分には手に入らないと思っていることを見る
相手を引きずり下ろしたくなるのは、自分がその場所まで上がれるとは思えないからです。
本当に欲しいものがあるなら、本来はそれを手に入れる方法を探せばいいはずです。
それでも相手への批判ばかりが強くなるなら、心のどこかで、
- 自分には才能がない
- 自分だけは成功できない
- 努力しても報われない
- 今からでは遅すぎる
と決めている可能性があります。
ここで見るべきなのは、相手がどれほど恵まれているかではなく、自分がどのような理由で「自分には無理」と結論づけているのかです。
その思い込みが変わらない限り、別の誰かが成功するたびに、同じ嫉妬とレベリングダウンが繰り返されます。
3. 本当は自分も欲しいと認める
嫉妬しているものほど、「別に欲しくない」「自分はそんなものに興味がない」と否定したくなることがあります。
欲しいと認めれば、自分がまだ手に入れられていない現実や、諦めてしまった気持ちにも向き合わなければならないからです。
しかし、願いを否定したままでは、その気持ちは相手への批判として表れ続けます。
「あの人の成功には価値がない」と考える代わりに、「本当は自分も評価されたかった」「自分も豊かになりたい」「自分も幸せな関係を築きたい」と、自分の願いとして引き取る必要があります。
嫉妬の対象から目をそらさずに見ることで、自分が本当はどのような未来を望んでいるのかが見えてきます。
4. 自分にも現実を動かせる感覚を取り戻す
レベリングダウンから抜け出すために最も重要なのは、自分にも現実を動かせるという感覚を取り戻すことです。
ただし、「自分にもできる」と言い聞かせるだけでは、この感覚は生まれません。
自分で選んだことを実行し、現実が少しでも変わったという経験を積み重ねる必要があります。
相手と同じ場所まで一気に追いつこうとするのではなく、自分が今できる行動を一つ選び、その結果を確かめていきます。
自分の行動によって現実が動く感覚が育ってくると、他人の成功は、自分には手に入らないものを見せつける脅威ではなく、自分が進む方向を示す情報へと変わっていきます。
レベリングダウンは、相手を好きになれば終わるものではありません。
自分の願いを認め、自分にもその願いを叶える力があると実感できるようになったとき、少しずつ必要がなくなっていくのです。
嫉妬は自分の未来を知るための感情
この記事では、他人と比べて嫉妬する心理について、良性嫉妬と悪性嫉妬という2つの方向性や、悪性嫉妬であるレベリングダウンを緩めていくために必要なことを解説してきました。
嫉妬は、決して心地よい感情ではありません。
できることなら、感じたくないと思う人の方が多いでしょう。
しかし、嫉妬との付き合い方を変えることができれば、その感情は自分をどこまでも成長させる力になります。
嫉妬を嫌って押し込めるのではなく、自分を今より心地よい未来へ導く案内役として捉えられるようになると、嫉妬とも今までより良い距離感で付き合えるようになるでしょう。