
なりたい自分が分からないとき、いきなり「明確な目標」を立てようとしても難しいものです。
理由はシンプルで、今の自分の経験や環境の中だけでは、イメージできる未来が限られてしまうからです。
そこでこの記事では、「なりたい自分」を探すための5つの視点を紹介します。
どれもシンプルな問いかけや小さなワーク形式で実践できるので、診断のように試しながら読み進めてみてください。
どのパターンから入っても構いません。
大切なのは「答えを一つに決めること」ではなく、自分の中に眠っている可能性を少しずつ照らし出していくことです。
Contents
「なりたい自分」が見つからない理由
「なりたい自分が分からない」と感じる背景には、共通するパターンがあります。
ここでは代表的な4つの理由を整理します。
自分がどこに当てはまるかを確認することで、次の「見つけ方」を取り入れる準備がしやすくなります。
1. 情報の洪水に振り回される
SNSや雑誌、YouTubeなどを眺めていると、さまざまな「理想像」が次々と目に入ってきます。
- モデルのような生活
- 影響力のある発信者
- 効率的に成果を出すビジネスパーソン
どれも魅力的に見える一方で、あまりに多くの情報が入ってくると、自分の軸が分からなくなってしまいます。
特にSNSでは「その人の一番輝いている瞬間」ばかりが切り取られているため、見れば見るほど「自分はダメだ」「あんな風にならなきゃ」と焦りやすくなります。
その結果、本当に望んでいる姿ではなく、流行や他人の価値観に流されてしまうのです。
2. 自己否定や親子関係の影響
「なりたい自分」を考えるとき、無意識のうちに「でも私には無理」とブレーキをかけてしまう人は少なくありません。
その背景には、幼いころに親や周囲からかけられた言葉が残っていることがあります。
そんなことできるはずない。現実を見なさい。
と言われ続けてきた経験があると、自分の願いを素直に認められなくなります。
挑戦する前に諦めてしまうクセがついているため、なりたい姿を描くこと自体に抵抗を感じてしまうのです。
これは単なる性格ではなく、心の深い部分にある思い込みの影響でもあります。
3. ネガティブな動機からのスタート
今の仕事が嫌だから
このままの自分は情けないから
といったネガティブな気持ちから「なりたい自分」を探そうとすると、方向性が歪みやすくなります。
スタート地点が「逃げたい」「消したい」といった発想なので、本当に望む未来ではなく「苦しみの反対側」を選んでしまうのです。
もちろん不満やモヤモヤをきっかけにすること自体は悪くありません。
ただし、その気持ちだけで突き進むと「理想」というより「代替案」に近い姿を選んでしまうことが多く、しっくりこない結果につながります。
4. 「別人になろう」としてしまう勘違い
「なりたい自分」という言葉を「今の自分を否定して、まったく別の存在に変わらなきゃ」と誤解してしまうケースもあります。
すると、理想像は現実離れした“別人像”になり、追いかければ追いかけるほど苦しくなります。
本来の「なりたい自分」とは、ゼロから作り直す存在ではありません。
すでに自分の中にある資質や感性を伸ばしたり、眠っていた部分を呼び起こしたりするプロセスです。
にもかかわらず「全然違う自分」を目指そうとすると、頑張っても手が届かない錯覚に陥り、やる気そのものを失ってしまいます。
こうして見てみると、「なりたい自分」が見つからないのは、決して能力不足や意志の弱さのせいではありません。
情報の多さや、これまでの経験、心のクセが影響しているだけなのです。
では、そこからどうやって一歩を踏み出せばいいのでしょうか。
次に紹介するのは、「なりたい自分」を探すための5つのパターンです。
それぞれのパターンには、実際に試せる小さなワークやステップが用意されています。
診断のようにチェックしていく感覚で取り組むと、自分に合ったヒントが見つかりやすくなるはずです。
なりたい自分の見つけ方|5つのパターン
なりたい自分がわからないときに役立つのは、さまざまな視点から自分を照らしてみることです。ここでは代表的な5つのパターンを紹介します。自分に合ったやり方を試してみてください。
1. 憧れの人から探すパターン
最も取り組みやすい方法は「素敵だな」と思える人をヒントにすることです。
推しの芸能人や漫画のキャラクターでも、歴史上の偉人でも構いません。
Step1:素材を集める…「素敵だ」と思える人を1〜3人(推し・芸能人・二次元もOK)挙げる。
Step2:変換する…それぞれの“素敵ポイント”を箇条書き→共通項を見つける。
Step3:要素を言語化する…共通項を3〜5語に絞って「私は○○な人でありたい」と短句化。
共通して惹かれる要素が、あなたの「なりたい自分像」を形づくるヒントになります。
2. 嫌いな人から逆算するパターン
ポジティブな気持ちだけでなく、「嫌だな」「不快だな」と思う相手も手がかりになります。
人間は本能的に、快や心地よさよりも不快やネガティブな感情に強く意識が向きやすい性質があります。
そのため「憧れる人が思い浮かばない」という場合は、むしろこちらの方法のほうが取り組みやすいでしょう。
Step1:素材を集める…「嫌い/不快」と感じる人を1〜3人挙げ、その嫌な要素を書き出す。
Step2:変換する…嫌な要素を反対語にひっくり返す(例:悪口が多い→「悪口を言わない」)。
Step3:要素を言語化する…反転した語を3〜5語に絞って自分の美学として短句化。
例:人の悪口ばかり言う → 「悪口を言わない」
こうして反対の要素を整理すると、望む姿の“裏返し”が浮かび上がってきます。
出てきた単語をまとめると、それは「自分が大切にしたい美学」を言語化したものになり、あなたのなりたい自分像の輪郭を明確にしてくれるのです。
3. 幼少期から導き出すパターン
物心つく前の幼少期の自分は、最も「素のまま」に近い存在です。
当時の姿を手がかりにすると、本来のなりたい自分が見えてきます。
Step1:素材を集める…幼い頃の自分の様子・エピソードを思い出し、必要なら親や幼なじみにも聞く。
Step2:変換する…いじめや挫折がなかったとしてストレートに育った未来像を短く描写する。
Step3:要素を言語化する…その未来像から特徴を3〜5語に抽出し、「本来のなりたい姿」の要素として短句化。
この方法が特に有効なのは、家庭環境や親子関係にトラウマがあった人や、成長の過程で「素のままの自分」をねじ曲げてきた自覚がある人です。
幼少期から導き出すことで、まずは育つ過程でくっついてしまった“余分な汚れ”を落とし、その奥にある本来の姿を取り戻すきっかけになります。
4. 対話のプロに引き出してもらうパターン
カウンセラーやコーチなど、人の可能性を引き出す感性を持った人との対話も効果的です。
すべての専門家ができるわけではありませんが、相性の良い人に出会えれば、自分では気づけない魅力や個性を言葉にしてもらえることがあります。
Step1:素材を集める 自分が気になっていることや将来のイメージ、普段の生活で感じていることを相手に率直に伝える。
Step2:変換する 相手からのフィードバックや「あなたのこういう部分が魅力的だ」という提案を受け取り、客観的な視点として整理する。
Step3:要素を言語化する 提案や気づきをまとめ、3〜5語に絞って「自分が持っている/伸ばしたい要素」として短句化する。
この方法は、信頼できる相手や感性の合う人と出会えたときに特に効果的です。
第三者から言葉にしてもらうことで、自分では曖昧にしか捉えられなかった「なりたい姿」が具体的な形に見えてきます。
5. 発見型パターン
「なりたい自分が見つからない」と悩むときは、とにかく動いてみるのも一つの方法です。
ここで大事なのは、今のあなたの生活圏にないからといって「なりたい姿」が存在しないわけではないということ。
まだ出会っていないだけで、行動を通じて新しい世界に触れれば、見つかる可能性は十分にあります。
Step1:素材を集める 興味があることを半日でもいいので試してみる。今まで縁がなかった分野にあえて手を伸ばすと、自分の世界が広がる。
Step2:変換する やってみた経験に対して「もっと続けたいか/もうやめたいか」を観察し、感情の動きを手がかりにする。
Step3:要素を言語化する 「これは心地よかった」「これにはワクワクした」と思えた要素を3〜5語にまとめる。これらが次の方向性のヒントになる。
定職や適職も「見つけるものではなく、動く中で呼ばれていく」と言われるように、行動を重ねることで方向性は自然と絞られていきます。
なりたい自分がわからない時に注意したいこと3つ
「なりたい自分」を探そうとすると、つい真面目に考えすぎて、自分を追い詰めてしまう人もいます。ここでは、取り組む際に覚えておきたい3つの視点を紹介します。
1. 「完璧な理想像」を作ろうとしなくていい
理想像を描こうとすると、多くの人は「すべてにおいて完璧な自分」を思い浮かべてしまいます。
ですが、実際にそんな人物はいません。
完璧さを目指すほど、現実とのギャップに苦しくなるだけです。
大切なのは「少しでも心が動く方向」を見つけること。
理想像は最初から完成された像でなく、ラフスケッチのようなものから始めて構いません。
2. 一度決めた理想像は変わってもOK
「一度決めたら最後まで貫かないといけない」と思う必要はありません。
むしろ、経験や環境が変われば「なりたい自分」も自然と変わっていくものです。
今の段階での答えは、あくまで“仮の姿”。
歩きながら修正していけばいいと考える方が、柔軟に自分を育てていけます。
3. 今の自分を否定しないこと
なりたい姿を描くときに「今の自分はダメだ」と否定してしまうと、モチベーションが持続しません。
スタート地点はあくまで「今の自分」です。
理想は「別人に変わること」ではなく、「自分の中にある可能性を伸ばすこと」です。
否定ではなく、現状を受け止めつつ一歩ずつ重ねていく姿勢が、結果的に最も遠くまで進める方法です。
内側から見つける方法もある
ここまで紹介してきた5つのパターンは、外の人や環境との関わりを通して「なりたい自分」を見つける方法です。
一方で、外に目を向けるエネルギーが出ないときには、自己対話が大きな助けになります。
自分の内側を深めると、ジョハリの窓でいう「未知の窓」に眠っていた可能性や才能が見えてくることがあります。
また、世の中には「マンダラチャート」「ライフラインチャート」「バリューカード」など、自己理解を助けるフレームワークも多く存在します。
これらをきっかけに自己対話を始めると、自分でも意識していなかった方向性に出会えることがあります。
なりたい自分は探すのではなく、自分との対話の中で少しずつ「出会っていくもの」。
そう考えると、迷うこと自体も大切なプロセスだと感じられるはずです。
まとめ|「なりたい自分」はプロセスの中で見つかる
「なりたい自分」は、頭で必死に探すものではなく、日々の体験や選択のなかで少しずつ出会っていくものです。
最初から完璧な理想像を描く必要はありません。
今回紹介した5つのパターンの中から、気になったもの・やりやすそうなものを一つ選んで取り入れてみてください。
小さな行動や問いかけの積み重ねが、やがて「これが私の進みたい方向かもしれない」という感覚につながっていきます。
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