
潜在意識を恋愛で使って特定の相手との関係を叶えたいと願うとき、必ず耳にするのが「それはできない」という言葉です。
人の気持ちは変えられないから…
それはコントロールになるから…
潜在意識は主語を認識できないから…
よく挙げられる理由はこうしたものです。
けれど、これらの理由をひとつひとつ見直してみると、必ずしも「できない」と断定できるものではありません。
この記事では、それぞれの前提を整理しながら、潜在意識で関係性を変えることが可能かどうかを考えていきます。
Contents
潜在意識で特定の相手が叶わないと言われる3つの理由
潜在意識を使えば「どんな願いも叶う」と言われる一方で、こと恋愛において「特定の相手を望むことはできない」と語られるケースは少なくありません。
そのときに挙げられる根拠は、おおむね次の3つに集約されます。
1.人の気持ちは変えられないから
最も多く聞かれるのは「人の気持ちは他人が操作できるものではない」という理由です。
潜在意識の力はあくまで「自分の意識の状態を整える」ことで働くのであって、相手を直接コントロールすることはできない。
だから「彼の気持ちを変えたい」と願うこと自体が前提から外れている──このように説明されます。
2.相手をコントロールすることになるから
二つ目の理由は倫理的な観点から語られるものです。
特定の人を望むのは、自分のエゴで相手をコントロールしようとしていることになる
他人を意図で縛ることは正しくない
こうした道徳的なスタンスから、「特定の相手を叶えようとするのは望ましくない」と結論づけられるのです。
3.潜在意識は主語を認識できないから
三つ目は、潜在意識の仕組みに関する説明です。
潜在意識は「彼」「彼女」といった主語を認識できず、「状態」しか読み取らないと言われています。
たとえば「あの人から連絡が欲しい」と願っても、「誰から」という部分は伝わらず、単に「連絡が欲しい」という現実だけを引き寄せてしまう。
そのため「特定の相手を指定することはできない」と解釈されるのです。
理由1「人の気持ちは変えられない」の再検討
人の気持ちは変えられないから、特定の相手との恋愛は潜在意識では叶わない
そう語られることは少なくありません。
一見もっともらしく聞こえますが、本当にそうでしょうか。
関係性は日々変化している事実
人間関係は固定されたものではなく、常に変化し続けています。
昨日まで同僚としてしか見ていなかった相手を、ふとしたきっかけで魅力的に感じることもある。
友人関係だった相手に、ある瞬間から恋愛感情を抱くこともある。
特に好きではなかったけど、アプローチされているうちに好きになった
これは誰もが知っている、ありふれたストーリーです。
つまり、気持ちは確かに変わるし、関係性も日常的に揺れ動いているのです。
自分の変化が相手の態度に反映される
さらに、自分が変わることで相手の態度が変わるケースも数えきれないほどあります。
例えば、自分が以前より明るくなった、前向きになった、魅力的に見えるようになった。
その変化が相手の目に映り、「なんだか気になる存在」に変わっていく。
これは「相手を無理に変えた」わけではなく、自分の変化をきっかけに、相手の心が動いたという自然な現象です。
“変えられない”より“変わり方を選べる”が近い
「人の気持ちは変えられない」という言葉は、半分正しくて半分誤解です。
確かに、相手の意識を力づくで書き換えることはできません。
ですが、関係性の変化という枠組みで見れば、人の気持ちは日常的に変わっています。
潜在意識の力を使うというのは、「相手を操作する」ことではなく、自分がどの関係性を選ぶかということに近いのです。
「変えられない」ではなく「変わり方を選べる」という方が、実態に即しているといえるでしょう。
理由②「相手をコントロールすることになる」の再検討
潜在意識を使って特定の相手との恋愛を叶えることは「相手をコントロールすることになるから良くない」と言われることがあります。
心理学やスピリチュアルの文脈でも、
- コントロールは愛ではない
- 他人を意図で縛るのはNG
と強調されてきました。
けれど、この主張を冷静に見直してみると、「コントロールだから不可能」という結論には無理があります。
道徳的フィルターとしての側面
まず、この言葉は純粋な理論というより「道徳的なフィルター」として広まってきた背景があります。
潜在意識を「相手を変える手段」として誤用すれば、依存や執着が強まり、現実生活を壊す人も出てしまう。
それを避けるために、あえて「コントロールはNG」という禁止ルールを作り、強調してきたにすぎません。
つまり「できない」と言われるのは、実際に不可能だからではなく、安全策としての建前なのです。
深い領域では相手の同意が前提
さらに、潜在意識の作用は「一方的な支配」とは異なります。
人の心や関係性は、表層では別々に見えていても、深層では必ず相互作用しています。
変化が起こるときには、相手も深い領域で合意していなければ成立しません。
この前提に立つと、「強制的に相手を動かすコントロール」というイメージそのものが成立しないことが分かります。
コントロールではなく関係性の共同変化
潜在意識での願いが現実化するとき、それは「相手を操作した結果」ではなく、関係性が自然に変化した結果です。
自分の意識状態が整い、そこに呼応するように相手も変わる。
この流れは一方的な支配ではなく、双方の意識が重なって関係性が変わる「共同変化」と言った方が正確です。
したがって、「潜在意識で特定の相手を願う=コントロールだから不可能」という主張は、冷静に考えると根拠がありません。
それはただの表層的なレッテルにすぎず、実際の現象を正しく説明してはいないのです。
理由③「主語を認識できない」の再検討
潜在意識は「彼」「彼女」といった主語を認識できない──だから特定の相手を指定することはできない、と説明されることがあります。
一見もっともらしいですが、これは潜在意識の仕組みを正しく表しているとは言えません。
潜在意識は“状態”を認識する
潜在意識は「誰が」という主語ではなく、「どんな状態か」を映し取ります。
たとえば「彼から連絡が欲しい」と願ってもうまくいかないのは、主語を理解できないからではなく、 「連絡が来ない」という不足の状態に意識がフォーカスされてしまっているからです。
潜在意識は「○○から」ではなく「連絡がある状態」そのものを認識して現実に反映させます。
状態を選ぶことで特定の人が登場する
「潜在意識は特定の相手を指定できない」と言われると、あたかも別の人が代わりに現れるかのように思われがちです。
しかし実際には「自分が嬉しい状態にふさわしい相手」が自然にピックアップされます。
たとえば「特定の彼から連絡が来たら嬉しい」という感覚がある場合
誰でもいいから連絡が来たら嬉しい
のではなく、その“嬉しい状態”を作れる相手はその彼に限られているわけです。
だからこそ、潜在意識は「嬉しい私」という状態を反映する過程で、必然的にその彼を登場人物として選びます。
わざわざ「彼」と細かく指定しなくても、「その人でなければ成立しない嬉しさ」が基準になっているからです。
認識できないのではなく比喩表現の誤解
「潜在意識は主語を認識できない」という言葉は、もともと「言葉そのものではなく、感情や状態を優先する」という比喩的な説明にすぎません。
ところが、それが拡大解釈されて「特定の人は不可能」という断定にすり替わってしまったのです。
正しく理解すれば、潜在意識は主語を識別できないのではなく、状態を通じて結果的に人物を伴わせると考える方が自然です。
なぜ「できない」と言われ続けてきたのか
私はこれまで10年ほど、脳トレカレッジ(自己対話の学校)を通して女性たちの相談に向き合いながら、潜在意識を使って現実を変えるプロセスを見てきました。
その中には「常識的には無理だろう」と思える恋愛や環境を実際に叶えた人も数多くいます。
ですから「潜在意識で特定の相手との恋愛は叶わない」という言葉に、私は一貫して違和感を抱いてきました。
けれど同時に、なぜ「できない」と強調され続けてきたのかも理解できます。
そこには、潜在意識そのものの限界ではなく、学ぶ人を守るための意図や事情があったと考えています。
1.執着や依存を避けるための安全装置
特定の相手に強く執着しているとき、人は冷静な判断を失いやすくなります。
「潜在意識で必ず叶うはず」と思い込むあまり、現実の相手にしがみつき、逆に関係をこじらせてしまうこともあります。
そのような暴走を防ぐために、あえて
潜在意識を使っても、特定の相手との恋愛は叶えられない
と否定するルールが、安全装置として設けられてきたのではないでしょうか。
2.技術不足の段階で暴走を防ぐため
潜在意識の活用には段階があります。
自分の意図や感情を整える力が育っていない状態で「相手を変えたい」と願ってしまうと、不安や不足感ばかりが意図され、望むのとは逆の現実を引き寄せてしまいます。
この点は、パルクールや体操選手の比喩が分かりやすいでしょう。
彼らは高いビルの間を飛び移り、ムーンサルトを軽々とこなしますが、それは長年の訓練の結果です。
準備のない素人が同じことを試せば、確実に大怪我をするでしょう。
潜在意識も同じで、技術的には「特定の相手との関係を変える」ことは可能です。
しかし段階を踏まなければ、依存や執着に溺れ、自分を壊してしまう危険性があります。
だからこそ「できない」と言い切ってしまう方が、未熟な段階での暴走を防ぐ効果があることは間違い無いでしょう。
3.「まず自分を整えよ」という教育的メッセージ
「人を変えようとするのではなく、自分を整えなさい」というのは、潜在意識を学ぶ際の基本姿勢です。
禁止論は、この基本姿勢を浸透させるための教育的メッセージでもありました。
つまり「できない」と言われるのは、実際に不可能だからではなく、学ぶ人を安全に導くための道筋としての側面が大きいのです。
要するに、潜在意識の力は「物理的にはできる」領域にあります。
しかし、それを活用するには段階を踏んだトレーニングや自己整えが欠かせません。
ここを理解せずに飛び込むと危険であり、逆に理解して少しずつ実践を積み上げれば、関係性を大きく動かす可能性が十分にあるのです。
潜在意識で特定の相手と恋愛を叶えるために必要な視点
ここまで見てきたように、潜在意識を使って特定の相手との関係を変えることは、理論的にも経験的にも可能です。
ただし、それは「誰でもすぐにできる」という意味ではありません。
活用には段階があり、前提条件があり、そしてリスクを避けるための姿勢も必要です。
以下の視点を押さえておくことが、潜在意識を健全に扱いながら恋愛に活かしていくための大切なポイントになります。
1.技術的には可能、ただし段階がある
ここまでパルクールや体操選手の例で触れたように、潜在意識を使って特定の相手との関係を変えることは技術的には可能です。
ただし、それは「誰でも今すぐにできる」という意味ではありません。
体操を始めて1か月の人がムーンサルトを成功させるのが難しいように、潜在意識の扱いを学び始めたばかりの段階で、いきなり特定の相手との恋愛を叶えるのは現実的にはハードルが高いでしょう。
「できること」と「自分が今すぐできること」は別物だという視点を持っておくことが大切です。
ドライに聞こえるかもしれませんが、この前提を踏まえれば、潜在意識を使った恋愛成就は十分に可能です。
諦める必要はありませんし、段階を踏みながらチャレンジしてみる価値はあります。
2.自分を整えることが前提条件
潜在意識に届くのは「言葉」ではなく「感情を伴った状態」です。
たとえば「彼と仲良くなりたい」と願っていても、心の内側が不安や焦りでいっぱいなら、潜在意識に入力されるのは「不足感」や「叶わない」という感覚になります。
その結果、願いとは逆方向の現実を引き寄せてしまうこともあるのです。
だからこそ、まずは自分の心を整えることが前提条件になります。
安心しているとき、リラックスしているときに届く意図の方が、潜在意識にとってはクリアで力を持ちます。
自分を落ち着けることは、特定の相手との関係性を変える前に必要な「土台づくり」と言えるでしょう。
3.関係性を変えるのは自然なプロセス
「人の気持ちは変えられない」とよく言われますが、実際には人の感情や態度は日々変化しています。
昨日までは素っ気なかった人が、今日は優しく接してくれる。
自分の態度や雰囲気が変わると、相手の対応も不思議と変わっていく。
そんな経験は誰にでもあるはずです。
つまり、関係性を変えることは不自然なことではなく、もともと日常的に起こっているプロセスです。
潜在意識を使うとは、その自然な変化の流れを少し意図的に選ぶようなもの。
「変えられない」ではなく「変わり方を選べる」と捉える方が、現実に即しています。
まとめ|「できない」という言葉を超えて
「潜在意識では特定の相手との恋愛は叶わない」と言われてきたのは、潜在意識そのものの限界ではありません。
執着や依存を防ぎ、未熟な段階での暴走を抑えるために設けられた、安全装置としての側面が大きいのです。
つまり「できない」という言葉は、絶対的な禁止ルールではなく、あくまで利用者を守るためのガイドラインにすぎません。
正しく理解し、自分を整えながら段階を踏めば、関係性を変えることは十分に可能です。
潜在意識の活用は魔法ではありませんが、現実を動かす力を持っています。
「できない」という言葉の手前で立ち止まるのではなく、その奥にある可能性を見つめていくこと。
それが、望む恋愛を叶えていくために必要な視点です。