もう逃げたい。
仕事も、人間関係も、家のことも、将来のことも、自分自身のことも、全部投げ出したい。
そんなふうに感じるときは、心がかなり追い詰められている状態です。
この記事では、全てから逃げたいと感じる理由や、何から逃げたいのかを整理する方法、逃げたいときの対処法について解説します。
Contents
逃げたいと感じるのは心の防衛反応
逃げたいと感じるとき、表面的には「もう無理」「全部投げ出したい」「どこかへ消えたい」という気持ちが強く出てきます。
でも、その奥にはたいてい、長く続いた緊張や我慢、安心感のなさがあります。
- 本当は休みたかった
- 本当は嫌だった
- 本当はもう続けたくなかった
- 本当は誰かに助けてほしかった
そうした気持ちを後回しにし続けると、心は「つらい」と細かく訴える余裕を失っていきます。
そして最終的には「逃げたい」という、全部をひっくるめた強い衝動として出てくることがあります。
逃げたいという気持ちは、一見すると甘えのように感じられることもありますが、実際は今の環境、人間関係、役割、責任、考え方から、これ以上自分を守れないと感じている防衛反応でもあります。
まず必要なのは、「逃げたいなんてダメだ」と責めることではありません。
自分は今、何から離れたがっているのかを丁寧に見ていくことです。
何から逃げたいのかを分ける
「もう逃げたい」と感じるときは、いろいろな苦しさが一つにまとまっています。
でも、丁寧に分けてみると、人生全部から逃げたいのではなく、特定のものに強く追い詰められていることがあります。
ここでは、逃げたいと感じる代表的な対象を5つ見ていきます。
1. 仕事から逃げたい
1つ目は、仕事から逃げたいと感じているケースです。
「とにかく逃げたい」と感じている人の中で、最も多い理由が仕事からの逃避願望でしょう。
仕事から逃げたいと感じる背景には、単純な忙しさだけでなく、いくつかの負担が重なっていることがあります。
- 業務量が多すぎる
- 職場の人間関係がつらい
- 上司や同僚に気を使いすぎている
- 責任だけが増えている
- 評価されていないと感じる
- 仕事に意味を感じられない
仕事は生活と結びついているため、簡単にはやめられないことも多いです。
近年は社会的にも、企業の従業員に対するメンタルヘルスケアへの取り組みが行われていますが、心を病む人の数は増加の一途を辿っています。
2. 家族や人間関係から逃げたい
2つ目は、家族や人間関係から逃げたいと感じている場合です。
人間関係は、近い関係ほど逃げにくくなります。
家族、親、パートナー、友人、職場の人、近所の人、関係が近いほど、「嫌だから距離を取る」ことは簡単にはできません。
- 気を使い続けている
- 期待に応えようとしている
- 愚痴や不満を受け止め続けている
- 自分の本音を言えない
- 会うだけで疲れる
- 連絡が来るだけでしんどい
こうした状態が続くと、人と関わることそのものが重くなっていきます。
本当はその人が嫌いなのではなく、その関係の中で自分を押し殺していることでの疲労が多いのですが、なかなかそこまで自分の心を自分で分析できる人はいません。
そのため本来は「その人と一緒にいるときに自分を押し殺してしまう」ことが辛いのに、「とりあえずその人から、その関係から逃げたい」といった心境として感じられてしまうのです。
3. 役割や責任から逃げたい
3つ目は、役割や責任から逃げたいと感じているケースも多いでしょう。
人は、年齢を重ねるほど、いろいろな役割を背負いやすくなります。
- 仕事での役割
- 家庭での役割
- 親としての役割
- 子どもとしての役割
- 周りから期待されるキャラクター
役割をあくまで「ここでの仮の姿」と割り切れる人はいいのですが、いつしか役割とアイデンティティが同一化してしまうと、自分という輪郭がどんどん役割に溶けてしまいます。
こうした状態が続くと、自分の人生なのに、自分のために生きている感じが薄くなっていきます。
逃げたいのは人生そのものではなく、「もうその役割を続けるのが苦しい」というサインかもしれません。
4. お金や将来不安から逃げたい
4つ目は、お金や将来不安から逃げたいと感じている場合です。
お金の不安や将来の不安は、目に見えないまま心を圧迫します。
- 今月の支払い
- 生活費
- 借金
- 仕事の不安定さ
- 老後の不安
- この先どうなるかわからない怖さ
こうした不安が続くと、何か大きな問題が起きていなくても、頭の中では常に不安が回り続けます。
すると、現実そのものから逃げたい気持ちになっていきます。
5. 自分自身から逃げたい
5つ目は、とてもわかりにくいですが、自分自身から逃げたいと感じている場合です。
環境や人間関係から逃げたいだけでなく、自分の性格、自分の過去、自分の考え方、自分の人生そのものから逃げたくなるという、かなり苦しいケースです。
- 自分のことが嫌い
- 自分の感情から逃げたい
- 自分の人生を放棄したい
- 自分という存在に価値を感じられない
- 自分でいることに疲れている
このような状態が続くと、一時的な気分の落ち込みではなく、専門的な治療が必要な精神状態にもなりかねません。
逃げたいときの対処法
では「人生から逃げ出したい」と感じるほど追い詰められているとき、どんな対処をする必要があるのでしょうか。
ここでは、5つの視点から対処法を整理します。
1. まず休んで判断力を戻す
1つ目は、まず休んで判断力を戻すことです。
「逃げたい」という心境にまで追い詰められる人は、そもそも休むのが苦手な傾向があります。
そんな時は「逃げる体力を確保するために、まず休む」といった考え方もいいでしょう。
本当は少し休めば見え方が変わることでも、疲れ切っていると「全部終わらせるしかない」と感じてしまうことがあります。
まずは、できるだけ刺激を減らしてください。
- 寝る
- 食べる
- スマホから離れる
- 予定を減らす
- 人と話さない時間を作る
逃げるかどうかを決める前に、判断できる状態まで自分を戻すことが先です。
2. 今すぐ距離を取れるものを探す
2つ目は、今すぐ距離を取れるものを探してみましょう。
逃げたいと感じるとき、いきなり人生全体を変えようとすると大きすぎます。
まずは「逃げたい」という感覚のトリガーになる対象のうち、距離を取れるものを探してみてください。
- 通知を切る
- 苦手な人への返信を遅らせる
- 予定を1つ減らす
- SNSを見ない時間を作る
- 家事を一部やめる
- 仕事の相談をする
- 一人になる時間を作る
全部から逃げなくても、少し距離を取るだけで呼吸が戻ることがあります。
逃げたいときほど、「全部かゼロか」になりやすいです。
でも実際には、少し離れる、小さくやめる、一時的に休むという選択肢もあります。
3. 逃げる前に小さく離れる
3つ目は、逃げる前に小さく離れることです。
逃げたい気持ちが強いときは、今あるものを一気に捨てたくなることがあります。
- 仕事を辞める
- 人間関係を切る
- 住む場所を変える
- 連絡先を消す
- 何もかもリセットする
もちろん、しのごの言わずにすぐ離れた方がいい場所もあります。
ただ、勢いで全部を変える前に、まずは小さく離れてみる方が良いでしょう。
退職の前に休む。縁を切る前に連絡頻度を減らす。引っ越す前に一時的に場所を変える。全部やめる前に一部だけ手放す。
小さく離れることで、自分が本当に何から逃げたいのかが見えやすくなります。
4. 本当に危険な場所からは離れる
4つ目は、本当に危険な場所からは離れることです。
逃げたい気持ちは、いつも悪いものではありません。
むしろ、本当に危険な場所にいるときは、逃げることが自分を守る行動になります。
- 暴言や暴力がある
- 心身が壊れそうになっている
- 眠れない、食べられない状態が続いている
- 強い恐怖や支配を感じている
- このままだと自分が危ないと感じている
こうした場合は、「逃げていいのか」と考えすぎるより、安全を優先してください。
5. 一人で抱えきれないときは相談する
5つ目は、一人で抱えきれないときは相談することです。
逃げたい気持ちが強いときは、自分の中だけで考えるほど苦しくなることも多いです。
そのため、誰か安心して話ができる人に相談することで、かなり気持ちが楽になるでしょう。
ただし、相談相手は厳密に選ぶ必要があります。
- 正論を言われる
- 軽く流される
- 「考えすぎ」と言われる
- 無理に励まされる
そういう反応で、さらに傷つくこともあります。
信頼できる人、専門家、相談窓口など、自分を追い込まない相手に話してください。
一人で抱えきれないものを、一人で抱え続ける必要はありません。
逃げたいときにやらない方がいいこと
では「すべて投げ出して逃げたい!」という心境になったときに、やらない方がいいことについて3つ整理します。
1. 勢いで全部壊す
1つ目は、勢いで全部壊すことは避けた方がいいでしょう。
逃げたいときは、リセット症候群のように今あるものを全部消したくなることがあります。
- 仕事も辞めたい
- 人間関係も切りたい
- 住む場所も変えたい
- 連絡先も消したい
- これまで積み上げたものも全部捨てたい
このように、とりあえず全てのものを消したい気分に駆られることも珍しくありません。
ただ、勢いで全部壊すと、本当は残したかったものまで失うことがあります。
衝動のまま壊すのではなく、まずは一休みする方向に持っていけるのが最適です。
2. 自分を責めて動けなくなる
2つ目は、自分を責めて動けなくなることです。
「自分は弱い」「逃げたいなんて甘い」「もっと頑張らなきゃ」「みんなはちゃんとやっているのに」
逃げたいと感じるほど追い詰められているときに、自分を責めても回復はしません。
自分が何から逃げたいのか、なぜそこまで苦しくなっているのかを見ていくことです。
3. 誰にも言わずに一人で抱え込む
3つ目は、誰にも言わずに一人で抱え込むことです。
逃げたい気持ちは、人に言いにくいものです。
- 弱いと思われそう
- 迷惑をかけそう
- 理解されなさそう
- 大げさだと思われそう
そう考えて、一人で抱え込んでしまう人もいます。
もちろん相談相手は吟味する必要がありますが、一人で抱え込んで良い結果になることも少ないので、信頼できる人に話す方が良いでしょう。
逃げたい気持ちは人生を立て直すサイン
この記事では、もう逃げたい、全てから逃げたいと感じる理由や、逃げたいときの対処法について解説してきました。
逃げたいという気持ちは、今の環境や役割や生き方が、もう自分にとって苦しくなっていることを知らせるサインです。
逃げたい気持ちを丁寧に見ていくと、自分が本当はどんな場所で、どんなふうに生きたいのかが少しずつ見えてきます。
その気づきが、人生を立て直す入口になります。