
恋愛というをしているのに、
「本当に好きなのかわからない」
「結婚したいのか迷ってしまう」
そんなふうに立ち止まることは珍しくありません。
それは心の感度が鈍っているサインでもあり、放っておくと不安や迷いが大きくなることがあります。
ただ、原因を整理し、気持ちを確かめる方法を知れば、少しずつ輪郭が見えてきます。
この記事では、原因・具体例・解決法の順にわかりやすくまとめます。
Contents
なぜ恋愛で「自分の気持ちがわからない」となるのか
恋は「突然落ちるもの」なんて言われたりもしますが、初恋のように寝ても覚めてもその人のことばかり考えてしまう──そんな状態なら、気持ちはシンプルで分かりやすいでしょう。
でも大人になると事情が変わってきます。
好きだとは思うけれど
「本当に恋なのか?」
「このまま結婚していいのか?
と迷うことも増えてきます。
たとえば、婚活を始めていろんな人と出会ったのに、会うほどに気持ちがモヤモヤしてくる。
結婚したいと思って行動したはずなのに、「そもそも自分は何を望んでいるの?」と分からなくなる。
私が運営する脳トレカレッジ(自己対話の学校)でも、こうしたご相談はとても多く、人生の岐路で自分の気持ちをはっきりさせたいと考えて来られる方が多いです。
では、どうして恋愛中に自分の気持ちが分からなくなってしまうのでしょうか。 その背景には、大きく分けて次のような要因があります。
- 現代的要因:情報過多・タイパ志向・SNS疲れ
- 心理的要因:過去のトラウマ・感情の抑圧・条件重視
- 恋愛特有の要因:依存・期待・将来不安
よくある具体的なシチュエーション
恋愛の場面で「自分の気持ちがわからない」となるのは、実際にはとてもよくあることです。
ここからは、実際にご相談を受ける中で特に多いシチュエーションを3つに分けてご紹介します。
1. 片思い編
「気になるけど恋か分からない」
たとえば、取引先の人に「なんとなくいいな」と思う気持ちが芽生えた。
でも名前と顔しか知らず、連絡先もない。情報が少なすぎて、これが本当に恋なのか、ただの憧れなのか、自分でも判断できない。
蛙化現象
いいなと思っていた人とデートをした瞬間に、なぜか気持ち悪さを感じてしまった。
あんなに楽しみにしていたのに、なぜ自分は冷めてしまったのか…と悩むケース。
芸能人や手の届かない人への恋
舞台俳優やYouTuber、VTuberなど、以前よりも身近に感じやすくなった存在に惹かれる。
インタビュー記事を読んだりSNSを追うほど気持ちが募るけれど
これは恋なのか?ただのファン心理なのか?
と混乱してしまう。
2. 交際中編
本音を出せない
彼と付き合っているのに、心の奥で思っていることを言えない。
「もっと近づきたい」と思っても、相手は仕事や友人付き合いに忙しくて、そこまで恋愛に積極的ではない。
気持ちを出せないまま過ごしているうちに、「私は本当に彼が好きなのかな?」とわからなくなってしまう。
会わなくても平気
彼からは毎日のように会いたいと言われるけれど、自分はそうでもない。
好きなはずなのに「会わなくても平気」と思う自分に戸惑い、「これはもう冷めているのでは?」と不安になる。
愛情か依存かの迷い
彼とずっと一緒にいたい気持ちを友人に話したら「それは依存じゃない?」と言われた。
愛情だと思っていた気持ちが、他人の言葉で揺らぎ
本当に好きなのか、ただ依存しているだけなのか
とわからなくなる。
結婚の話を避けたくなる
将来を考えて結婚したい気持ちはあるのに、彼から結婚のニュアンスを匂わされると、なぜか逃げたくなる。
好きなはずなのに「結婚を避ける自分」に気づいて、「もしかして私は彼を好きじゃないの?」と混乱してしまう。
喧嘩が増えて気持ちが揺らぐ
付き合い始めは仲良しだったのに、最近は小さなことで言い合いばかり。
結婚を考えたとき「この先ずっと喧嘩だらけだったら辛い」と不安がよぎり、
好きだったら喧嘩しないんじゃないの?
と、自分の気持ちを疑ってしまう。
3. お別れ後編
復縁したいのか執着なのか
別れた相手を忘れられず「やり直したい」と思うけれど、復縁に関する本や記事では「それは執着です」と書かれていることも多く、気持ちが揺らぐ。
私はまだ彼のことが好きなのか、それとも執着しているだけなのか
好きと執着の境目が分からなくなってしまう。
寂しさを埋めたいだけなのか
一人になった寂しさや不安を埋めたいだけで「復縁したい」と考えているのではないか、と迷う人も多い。
愛情なのか、孤独感から来るものなのか、気持ちの正体を見極めるのは難しい。
思い出や比較で揺れる気持ち
別れた直後は嫌だった部分を覚えていたのに、時間が経つと楽しかった日々ばかりが浮かぶ。
さらに新しい人と出会っても「元彼の方が…」と比べてしまい、どちらが本当の気持ちなのか分からなくなる。
「自分の気持ちがわからない」と悩む人の特徴
恋愛中に「自分の気持ちがわからない」と立ち止まる人には、ある程度共通する傾向があります。
それは個人の性格というより、これまでの経験や環境、そして社会的な背景から育まれた「心の癖」によるものです。
ここでは代表的な特徴を3つに整理し、それぞれにどんな心理的なメカニズムが働いているのかを見ていきましょう。
1. 過去のトラウマがある
過去の恋愛で傷ついた経験があると、「好き」という感情にブレーキがかかりやすくなります。
たとえば、
- 気持ちを打ち明けたのに笑われた
- 付き合った相手に裏切られた
こうした体験は無意識のうちに「自分の気持ちを出すと傷つく」という思い込みを作ります。
心理学でも、トラウマは「感情を鈍らせる作用」を持つことが知られています。
感情を守るために心が働き、好きかどうかのサインを感じ取れなくなってしまうのです。
2. 打算的・条件重視になりがち
婚活や結婚を意識した恋愛では「条件」に目が行きやすくなります。
- 年収
- 職業
- 住む場所
- 家族の事情
未来のライフスタイルを考えるほどに、「この条件なら安心」という理性が先に立ちます。
もちろん条件を重視すること自体は悪くありません。
ですが条件ばかりを見ていると、相手と一緒にいて心が動くのかどうかが後回しになり、「好きなのかどうか分からない」という感覚に陥りやすくなります。
心理学的には、打算的に選んだ関係は「内発的動機(心からの欲求)」よりも「外発的動機(損得・安心のため)」が強くなり、感情が不明瞭になりやすいとされています。
3. 感情を抑える癖がある
育った環境やこれまでの経験から、感情を抑え込むことが当たり前になっている人もいます。
泣いたらダメ
弱音を吐いたら笑われる
と教えられてきたり、競争の激しい環境で感情より成果を優先してきたり──そうした積み重ねで「感じること」自体が苦手になるケースです。
心理学では、感情を言葉にできない状態を「アレキシサイミア(感情鈍麻)」と呼びます。
感情を感じにくい人は、恋愛に限らず「自分がどう思っているのか」が分からなくなりやすいのです。
自分の気持ちを整理する5つの方法
自分の気持ちが分からなくなるとき、大事なのは「頭で正解を決めようとすること」ではありません。
むしろ一度立ち止まり、心が持つ本来のセンサーを錆び落とすように整えていくことが必要です。
気持ちは思考でラベルを貼るものではなく、感じ取るもの。
その「感じる力」を取り戻すためのアプローチを、ここでは5つの方法として紹介します。
どれも特別なテクニックではなく、日常の中で少しずつ実践できるものです。
1. 人生のペースを落とす ─ 生き急ぎが心を鈍らせる
忙しさに追われていると、心の声はかき消されてしまいます。
次はこれをしなきゃ
と常に先へ進もうとするほど、今の気持ちに立ち止まる余白がなくなるのです。
特に婚活の場面では、年齢や将来への焦りと重なって「とにかく前へ進まなきゃ」という意識が強まりがちです。
お見合いを“アポ”と呼んでTo-Doリストを消化するようにこなしたり、出会った相手を条件で“評価”してしまったり…。
そんな風に効率優先で進めてしまうと、肝心の感情はますます置き去りになります。
あえて生活や活動のペースを落とし、休息や余白を取り入れることで、鈍っていた感覚が少しずつ戻ってきます。
2. 感情豊かな人と過ごす ─ 他者の感情表現から学ぶ
自分の感情が分からないときは、感情を素直に表現できる人と一緒に過ごすのも効果的です。
嬉しいときに笑い、悲しいときに涙を見せる──そうした自然な反応に触れることで、自分の内側にも同じ感覚があることに気づきやすくなります。
その意味では、小さな子どもと過ごす時間はとても良いきっかけになります。
まだ言葉を十分に扱えない分、泣いたり笑ったりと感情そのものを全身で表現しているからです。
もし子どもと接するのが難しければ、犬や猫などの動物と過ごすのもおすすめです。
言葉を介さずに感情がダイレクトに伝わる存在と触れ合うと、自分の感情も呼び覚まされやすくなります。
植物も少し違った形ではありますが、日々の変化や反応を感じ取ることで「感性を育てる相手」として良い役割を果たしてくれるでしょう。
3. 聞き上手に話を聞いてもらう ─ 自分の感情を言語化できる
気持ちを整理するためには、安心して話せる相手の存在が欠かせません。
ただ共感しながら耳を傾けてくれる人がいれば、心の中のもやもやが自然とことばになり、自分の感情が整理されていきます。
恋愛中の感情は、必ずしもスムーズに言語化できるものではありません。
胸の奥で確かに動いているのに、うまく言葉に乗せられない。
恋愛ソングが「言葉にならない想い」を繰り返し描くのは、それだけ多くの人が経験しているからでしょう。
それでも、自分の中にある衝動や気持ちに言葉を与えようと試みること自体が大切です。
完璧に表現できなくても、「うまく言えないけど、こう感じる」という形にしていく過程が、感情を取り戻す一歩になります。
心理学でも「言語化は感情の整理につながる」とされており、信頼できる相手との対話は自己理解を深める大きな助けになるのです。
4. 恋愛について考えるのを休む ─ 強制的に「距離」を取る
どうしても「自分の気持ちがわからない」となると、その答えを出そうとして同じことばかり考え続けてしまいがちです。
けれど感情というのは「感じるもの」であって、「考えて分かるもの」ではありません。
だからこそ、一度恋愛から意識を外し、別の「感じる活動」に没頭してみるのが効果的です。
- アートに触れて心を動かす
- 音楽を奏でて感覚を解き放つ
- スポーツや運動で反射神経を使って体を動かす
こうした行為は頭で考えるよりも先に「感覚」が働きます。
神経をそちらに振り切ることで、停滞していた心が自然にほどけ、ふとした瞬間に
あ、これが自分の気持ちかもしれない
とクリアに見えることがあります。
考え続けるよりも、感じる場に身を置く。
その切り替えが、意外なほど気持ちを整理してくれるのです。
5. 一人で内観する ─ 五感を使って心の声を聴く
状況が許すなら、一人で静かに自分の内側に向き合う時間もとても有効です。
マインドフルネスや瞑想の効果は今や多くの研究でも裏付けられており、実際に成功者ほど実践しているとも言われます。
ただ、座禅を組んで数十分間黙想するのは、初心者にはハードルが高く感じられることもあります。
その場合は、自然の中を散歩する、音楽を聴きながらゆっくり過ごすといった「動きながらの瞑想状態」を取り入れてみると良いでしょう。
さらに取り入れやすい方法として、マッサージや岩盤浴、温泉に浸かるといった身体をゆるめる行為も効果的です。
水に浮かんで全身を解放する時間は、まるで心が素の状態に戻っていくような感覚をもたらしてくれます。
五感を丁寧に働かせながら「私は今、どう感じているのか」に意識を向けていくと、本当の気持ちが少しずつ姿を現してくるのです。
心理学から見る「気持ちがわからない」状態
ここまで、実際の相談事例をもとに「なぜ自分の気持ちがわからなくなるのか」「どう整理していけばいいのか」を見てきました。
では、心理学の分野ではこの状態をどのように説明しているのでしょうか。
たとえば、以下のような観点があります。
- 依存と自立の揺れ
恋愛における依存と、自分らしく生きたいという自立心のバランスが崩れると「これは愛情なのか依存なのか」と迷いやすい。 - 投影や蛙化現象
相手に理想像を重ね合わせていると、それが崩れた瞬間に急激に気持ちが冷めるなど、自分の感情を見失うことがある。 - 感情を感じにくくなる状態(アレキシサイミア)
感情はあるのに自覚や言語化が難しくなり、「自分が何を感じているのか分からない」となりやすい。
心理学的な研究でも、自分の気持ちが分からない状態は「特別なことではなく、誰にでも起こりうるもの」とされています。
大切なのは、それを責めたり否定したりせず、「整理していけるもの」と捉えることです。
まとめ|恋愛に迷うのは「心の感度」を取り戻すチャンス
「自分の気持ちがわからない」と悩むのは、決して悪いことではありません。
それは心が「少し休ませて」「もっと感じて」とサインを送っている証拠です。
焦って答えを出そうとするよりも、感情をキャッチするセンサーを少しずつ取り戻していくことが大切です。
ペースを落とし、感情豊かな人や存在と触れ合い、時には恋愛から距離を置いてみる──その一つひとつが、自分の本当の気持ちに近づくプロセスになります。
迷うこと自体が、あなたの心が動いている証。 その時間を通じて、自分の気持ちはより確かな形で見えてくるはずです。