より良い人生を生きたいと思って、心理学やコーチングについて学び始めると、「自分を好きになろう」「自分を好きになって、もっと人生を楽しもう」というメッセージに出会うことがあります。
たしかに、自分のことを嫌いでいるより、自分のことを好きでいられた方が、人生を楽しみやすくなることはイメージしやすいでしょう。
でも、「それができたら苦労しないんだよ」と、逆に気持ちが塞いでしまう人もいるのではないでしょうか。
自分を好きになるというのは、シンプルそうに見えて、意外と難しいものです。
この記事では、そもそも自分を好きになるとはどういうことなのか、なぜ私たちは自分を好きになれないのか、そして自分のことを昨日より少し好きになるための具体的なステップについて解説します。
Contents
- 自分を好きになるとは?
- 自分が嫌いだと起こりやすい悩み
- 1. 人と関わるのが怖くなる
- 2. 人と関わった後に自己嫌悪が強くなる
- 3. 自分を好きな人を疑ってしまう
- 4. 恋愛を楽しむ自分を肯定できない
- 5. 望むこと自体に抵抗が出る
- 自分を好きになれないのはなぜ?
- 1. 大切な人に拒絶されたトラウマ
- 2. 自分の価値を低く見積もっている
- 3. 罪悪感を持っている
- 4. 自分を好きになった失敗経験
- 自分を好きになるためにやらなくていいこと
- 1. いきなり自分を大好きになろうとする
- 2. 無理にポジティブな言葉をかける
- 3. 嫌いな部分を消そうとする
- 4. 誰かに愛されれば変われると考える
- 5. 欠点を直してから人と関わろうとする
- 自分を好きになる方法
- 1. 自分を嫌いになったきっかけを探す
- 2. 過去の感情をケアする
- 3. 自分の本音を否定せずに拾う
- 4. 「自分を嫌っている自分」を嫌わない
- 「自分は悪いものでもないかもな」くらいを目指そう
自分を好きになるとは?
そもそも、自分を好きな状態とは何を指すのでしょうか。
好き、嫌いという感覚はとても曖昧なものです。
たとえば
- 焼肉が好き
- メロンが好き
- アウトドアが好き
- 読書が好き
といった趣味嗜好に関する好き嫌いであれば、比較的わかりやすいでしょう。
しかし、自分という曖昧な存在に向かって「好きか嫌いか」と聞かれると、はっきり答えるのが難しい人も多いはずです。
この記事では、自分を好きでいる状態を「自分のことを好ましい存在だと思えている状態」と定義します。
さらにシンプルに言うなら、「自分という存在は、良いものである」と感じられている状態です。
つまり、自分を好きになるというのは、自分の存在に対して、好意的な目を少しずつ向けられるようになることを指します。
自分が嫌いだと起こりやすい悩み
自分が嫌いな状態が続くと、頭の中だけではなく、人間関係や恋愛の場面にも影響が出てきます。
ここでは、自分が嫌いな時に起こりやすい悩みについて見ていきましょう。
1. 人と関わるのが怖くなる
自分が嫌いな時は、人と関わること自体が怖くなることが多いでしょう。
- 嫌われたらどうしよう
- 変に思われたらどうしよう
- 本当の自分を知られたら離れていくかもしれない
このような不安が強くなると、人と会う前から疲れてしまいます。
人間関係を楽しむよりも、傷つかないように身構える方に意識が向きやすくなるのです。
2. 人と関わった後に自己嫌悪が強くなる
人といる時は普通に過ごせていても、ひとりになった後に自己嫌悪が強くなることがあります。
- あの言い方は変だったかもしれない
- 余計なことを言ったかもしれない
- 嫌われたかもしれない
楽しかったはずの時間まで、後から反省会で塗り替わってしまうのです。
人と関わるたびに自分を責める時間が増えると、人間関係そのものが負担になっていきます。
3. 自分を好きな人を疑ってしまう
自分が嫌いな時は、自分に好意を向けてくれる人のことも疑いやすくなります。
- 本当に私のことが好きなのかな
- 何か裏があるのではないか
- こんな自分を好きになるなんて相手がおかしい
自分で自分の価値を低く見積もっていると、相手の好意をそのまま受け取ることが難しくなります。
その結果、愛されたいのに、愛されることが怖いという状態になりやすいのです。
4. 恋愛を楽しむ自分を肯定できない
自分が嫌いな状態で恋愛をすると、恋愛を楽しむ自分まで否定してしまうことがあります。
- 浮かれている自分が嫌になる
- 相手に期待する自分が重く感じる
- 愛されたいと思う自分が恥ずかしい
恋愛では、普段は隠している欲求や不安が出てきやすくなります。
その自分を受け止められないと、恋愛そのものよりも、恋愛している自分が苦しくなってしまうのです。
5. 望むこと自体に抵抗が出る
自分が嫌いな時は、何かを望むことにも抵抗が出ることがあります。
- 愛されたい
- 大切にされたい
- 幸せになりたい
- 選ばれたい
- もっと良い人生を生きたい
本当はそう願っているのに、「自分なんかが望んでいいのか」と感じてしまうのです。
望む前から自分でブレーキをかけてしまうため、欲しいものに手を伸ばすこと自体が怖くなりやすいのです。
自分を好きになれないのはなぜ?
では、なぜ自分を好きになろうと思っても、なかなか好きになれないのでしょうか。
自分を好きになれない背景には、性格の問題だけではなく、過去の経験や人間関係の中でつくられた思い込みが関係していることがあります。
1. 大切な人に拒絶されたトラウマ
まず最も多いケースとして、大切な人に拒絶された経験がきっかけで、自分を好きになることが怖くなる場合があります。
- 好きな人に選ばれなかった
- 親や家族に否定された
- 信頼していた人に突き放された
- 本音を出したら受け止めてもらえなかった
このような経験があると、「自分には愛される価値がない」「自分を出すと嫌われる」と感じやすくなります。
恋愛的な意味での「好きな人」はもちろんですが、子供にとっての親や、尊敬している恩師など、広義の意味で「大切に思っている人」からの拒絶は、心に大きな傷を残します。
その記憶が残っていると、自分を好きになろうとしても、「でも、大切な人に嫌われてしまった自分だから……」と、心の奥でブレーキがかかることがあります。
2. 自分の価値を低く見積もっている
2つ目に、自分を好きになれない理由として、自分の価値を低く見積もっているというケースもあります。
- 自分には魅力がない
- 自分には取り柄がない
- 自分は誰かに選ばれるような存在ではない
- 自分より価値のある人はいくらでもいる
このように、自分に対する評価が厳しくなると、自分を好ましい存在として見ることが難しくなります。
なぜ自分の価値を低く見積もるようになったのか?はもちろん人それぞれですが、他人の良いところは見えるのに、自分の良いところだけは見えなくなってしまうのです。
3. 罪悪感を持っている
3つ目に、何らかの理由で罪悪感を強く持っている場合も、自分を好きになることに抵抗が出やすくなります。
- 自分だけ幸せになってはいけない
- 自分が楽しむのは申し訳ない
- 誰かを傷つけた自分は許されない
- こんな自分が愛されてはいけない
罪悪感があると、自分を好きになることが「調子に乗ること」や「許されないこと」のように感じられる場合があります。
本当は幸せになりたいのに、幸せになること自体にブレーキがかかってしまうのです。
4. 自分を好きになった失敗経験
また、過去に自分を好きな状態で行動した結果として傷ついた場合も、自分を再度好きになることに抵抗が出るでしょう。
- 自信を持ったら笑われた
- 前向きになったら否定された
- 好きな人に向かっていったら拒絶された
- 自分を出したら恥ずかしい思いをした
このような経験があると、「自分を好きになると傷つく」と心が覚えてしまうことがあります。
その場合、自分を嫌っている方が安全に感じられるのです。
自分を好きになるためにやらなくていいこと
自分を好きになりたいと思うほど、早く変わらなければいけないような気持ちになることがあります。
ただ、自分を好きになるために、無理にやらなくていいこともあります。
ここでは5つの「やらなくていいこと」リストを整理します。
1. いきなり自分を大好きになろうとする
まず1つ目に、いきなり自分を大好きになろうとする必要はありません。
自分が嫌いな状態から、急に「私は私が大好き」と思おうとしても、心がついてこないことの方が多いです。
むしろ、最初から大きく変わろうとするほど、「やっぱり自分を好きになれない」と落ち込みやすくなります。
2. 無理にポジティブな言葉をかける
自分を好きになるために、無理にポジティブな言葉をかけ続ける必要もありません。
- 私は最高
- 私は愛されている
- 私はすごい
- 私は何でもできる
こうした言葉がしっくりくる時もありますが、今の自分とかけ離れすぎていると、逆に苦しくなることがあります。
自分を好きになろうと思って、毎日鏡に向かって「私は私が大好き」と唱えているけれど、逆にしらけてしまいました、といった話は珍しくありません。
心の中では納得できていないのに、前向きな言葉だけを重ねても、自分への違和感が強くなる場合があります。
3. 嫌いな部分を消そうとする
3つ目に、自分の嫌いな部分を消すことで、自分を好きになろうとすることも多いですが、これもなかなか難しいです。
- 嫉妬する自分を消そうとする
- 不安になる自分を消そうとする
- 顔が気に入らないので全面整形を検討する
「こんな自分になりたい!」という前向きな気持ちから、自分を変えることは悪くありません。
ただ「嫌いな自分を消したい」といった意図の場合、そのプロセスも苦しいものになりやすいです。
4. 誰かに愛されれば変われると考える
自分で自分を好きになることは難しい。
だから誰かに愛されたら、自分を好きになれるのではないか?
といった考えになることも珍しくありません。
実際、人から大切にされる経験によって、自分への見方が変わることはよくあります。
ただ「自分で自分を好きになれないから、誰かにその代わりをしてもらう」といった意図で関係が始まると、その人の反応次第で自分の価値が揺れやすくなります。
相手に愛されているかどうかと、自分が自分をどう扱うかは、分けて見ていく必要があります。
5. 欠点を直してから人と関わろうとする
自分を好きになれない時は、欠点を直してから人と関わろうとすることがあります。
- もっと痩せてから
- もっと自信がついてから
- もっと性格を直してから
- もっと完璧になってから
そう考えていると、人と関わるタイミングがどんどん遠のいてしまいます。
欠点がある自分のまま人と関わる経験の中で、自分への見方が少しずつ変わっていくこともあります。
自分を好きになる方法
では、ここからは自分を好きになる方法について4つの角度からご紹介します。
自分を好きになるというのは、急に自分を肯定できるようになることではありません。
自分を嫌いになった背景を少しずつ見直し、自分に向ける目を少しずつ変えていくことです。
1. 自分を嫌いになったきっかけを探す
まず最初に、自分を嫌いになったきっかけを探してみましょう。
自分を好きになれない時は、「自分が嫌い」という感覚だけが強く残っていることがあります。
しかし、その感覚は何もないところから急に生まれたものではありません。
- 大切な人に拒絶された
- 誰かと比べられて傷ついた
- 本音を出して否定された
- 頑張っても認めてもらえなかった
- 自分を出した時に恥ずかしい思いをした
このような経験の中で、「自分は好かれない」「自分には価値がない」「自分を出すと傷つく」と感じるようになった可能性があります。
自分を好きになろうとする前に、まずは「いつから自分を嫌いになったのか」を見てみることが大切です。
ジャーナリングやカウンセリングも活用しながら、自分を嫌いになるだけの理由が過去にあったのかもしれない、という視点で振り返ってみましょう。
2. 過去の感情をケアする
自分を嫌いになったきっかけに気づいたら、次に見ていきたいのは、その時に置き去りにした感情です。
過去の出来事そのものは変えられなくても、その時に感じた悲しさや悔しさ、恥ずかしさは、今からでも見つけてあげることができます。
- 本当は傷ついていた
- 本当は寂しかった
- 本当は悔しかった
- 本当はわかってほしかった
- 本当は大切にされたかった
自分を好きになれない人ほど、過去の感情を「たいしたことない」と片づけていることがあります。
でも、その時の感情をなかったことにしたままだと、自分の中には「傷ついた自分を誰も見てくれなかった」という感覚が残り続けます。
自分を好きになるには、明るい言葉をかける前に、まず傷ついた自分の感情を見つけ直すことが必要になる場合があります。
3. 自分の本音を否定せずに拾う
3つ目に、自分を好きになるためには、自分の本音を否定せずに拾うことも大切です。
自分が嫌いな時は、本音が出てきてもすぐに打ち消してしまうことが多いです。
- 愛されたい
- 大切にされたい
- 認められたい
- 選ばれたい
- 本当はもっと幸せになりたい
こうした望みが出てきた時に、「そんなことを思う自分は重い」「欲張りだ」「どうせ無理だ」と否定してしまうと、自分との距離はさらに遠くなります。
本音は、必ずしもすぐに叶えなければいけないものではありません。
ただ、「本当はそう思っているんだな」と拾ってあげるだけでも、自分の内側にある声を無視しないことにつながります。
自分を好きになるというのは、自分の本音を全部正解にすることではなく、自分の中にある声を最初から否定しないことでもあります。
4. 「自分を嫌っている自分」を嫌わない
自分を好きになろうとすると、今度は「自分を嫌っている自分」が嫌になることがあります。
- また自分を責めている
- またネガティブになっている
- また人と比べている
- また自分を好きになれなかった
このように、自分を嫌っている自分まで否定し始めると、自己嫌悪が何重にも重なってしまいます。自分を嫌っている自分も、好きでそうしているわけではありません。
何らかの理由で自分を好きになるとまずいことがあるから、心の深いところでは「自分を嫌うことで自分を守っている」ことが多いのです。
そう考えると、自分を嫌っている自分も、ただの敵ではなくなります。
自分を好きになる道は、自分を嫌っている自分を追い出すところからではなく、その自分の存在にも気づくところから始まります。
「自分は悪いものでもないかもな」くらいを目指そう
この記事では、自分を好きになる方法について、自分を好きになるとはどういうことなのか、自分を好きになれない背景、自分を好きになるためのステップについて解説してきました。
もし、自分のことが大好きだと心から思えたら、それはとても素敵なことかもしれません。
ただ、多くの人は、さまざまな人生経験の中で傷ついたり、否定されたり、拒絶されたりしながら生きています。
その中で、ピュアに無邪気に「私は私のことが大好き」と思えなくなることもあるでしょう。
だからこそ、最初から自分を大好きになろうとしなくてもいいのです。
まずは、「自分って、そこまで悪いものでもないのかもしれない」くらいを目指してみましょう。
自分への見方がフラットになっていくと、少しずつ「自分って、いいところもあるかもしれない」と思える瞬間が増えていきます。
その積み重ねの先で、いつか「私は私のことが結構好きかもしれない」と思える日が来るのかもしれません。
自分を好きになることは、無理やり自分を大好きになることではありません。
まずは、自分を悪いものとして扱うことを少しずつやめていくこと。
そこから、自分との関係は少しずつ変わり始めます。