「自分らしさを活かした仕事をしよう」
「自分らしく生きよう」
そんなメッセージが多く飛び交っていますが、結局「自分らしさがよくわからない」と考え込んでしまうことはないでしょうか?
“自分らしさ”と言われても、そもそも“自分”がわからなければ“らしさ”もわかりません。
この記事では、「自分らしさ」の正体を分解して考えていく方法を解説します。
Contents
- 自分らしさとは「一致感」のこと
- 自分らしさを作る4つの一致
- 1. 感覚と一致している
- 2. 欲求と一致している
- 3. 選択と一致している
- 4. 役割と一致している
- 自分らしさに関する3つの誤解
- 1. 自分らしさは「特別な個性」だと思っている
- 2. 自分らしさは「ずっと変わらないもの」だと思っている
- 3. 自分らしさは「性格」だと思っている
- 自分らしさがズレていると起こりやすいこと
- 1. 選んだはずなのに納得できない
- 2. 役割を演じすぎて疲れる
- 3. 本当の自分がわからなくなる
- 4. 自分の人生を生きている感覚が薄くなる
- 5. 人生が停滞する
- 自分らしさを見つけるヒント
- 1. 「自分らしくない」を感じることを書き出す
- 2. 「あなたらしいね」と言われて嬉しかったことを思い出す
- 3. 自分の心地よさに敏感になる
- 自分らしさは「本当の自分と一致」したときに滲み出るもの
自分らしさとは「一致感」のこと
では、そもそも「自分らしさ」とは何なのでしょうか。
「らしさ」という言葉には、そのものの特徴がよく表れている状態、という意味があります。
つまり自分らしさとは、自分が本来持っているものの特徴が、自然に表れている状態のことです。
ただ、自分らしさがわからなくなるとき、私たちは「自分らしい特徴」を外側から探そうとしがちです。
- 人からどう見られているか
- どんな個性があるか
- 何が得意か
- どんな性格か
人によってはホロスコープなどの占いから「自分らしさ」を知ろうとしたり、近年ではMBTI診断やクリフトンストレングス(旧ストレングスファインダー)から、自分について理解を深めようとする人もいるでしょう。
もちろん、それらも自分らしさを知るヒントにはなります。
けれど、自分らしさの本質は、外から見てわかりやすい特徴そのものではありません。
自分が本来持っているものを、自分で自覚していること。
そして、その自分と大きくズレずに生きていること。
その一致感が高い状態を、「自分らしい状態」「自分らしく生きている状態」と呼ぶことができるでしょう。
では、自分との一致感には、どのようなものがあるのでしょうか。
自分らしさを作る4つの一致
「自分らしさ」という言葉だけを見ると、少し抽象度が高く、よくわからないと感じる人も多いでしょう。
ただ、自分らしさを構成する要素を4つに分けてみると、少しずつ具体的につかみやすくなってきます。
自分らしい状態とは、これから紹介する4つの要素と大きくズレずに、日々を過ごせている状態とも言えます。
それでは、自分らしさを作る4つの一致について整理していきましょう。
1. 感覚と一致している
まず1つ目は、感覚との一致です。
感覚とは、たとえば次のようなものです。
- 理由はわからないけれど、しっくりくる
- 肌なじみがいい
- この人のそばにいるとソワソワする
- 体の力が抜けてリラックスできる
このように、言語化できるものも、はっきり言葉にできないものも含めて、私たちは体感覚や直感のようなものを日々受け取っています。
自分の感覚や心地よさと一致した状態で過ごせている時間が長ければ長いほど、それは自分らしく生きている状態に近いと言えるでしょう。
反対に、「この人のそばにいると落ち着かない」と感じているのに、いろいろな理由でそこにいなければいけない状態が続くと、自分らしさからは少しずつ離れていきます。
自分らしさを考えるうえで、まず大切なのは、自分の感覚と大きくズレていないかを見ることです。
2. 欲求と一致している
2つ目は、欲求との一致です。
欲求とは、たとえば次のようなものです。
- 愛されたい
- 認められたい
- 選ばれたい
- 安心したい
- 自由でいたい
- ちゃんと評価されたい
- もっと豊かになりたい
- 勝ちたい、目立ちたい、すごいと思われたい
欲求というと、少しわがままなものや、未熟なもののように感じる人もいるかもしれません。
けれど、自分の中に本当にある欲求をなかったことにしていると、自分らしさからは少しずつ離れていきます。
たとえば、本当は認められたいのに「別に評価なんていらない」と言い聞かせていたり、本当は愛されたいのに「1人で平気」と振る舞っていたりすると、外側の自分と内側の欲求がズレていきます。
少しエゴっぽく見える欲求も、自分の中にあるなら、それも自分を構成する大切な要素です。
自分らしさを考えるうえでは、自分が何を欲しがっているのか、何を求めているのかを、自分で認められているかを見ることも大切です。
3. 選択と一致している
3つ目は、選択との一致です。
- 誰と一緒にいるか
- どんな仕事をするか
- 何を引き受けるか
- 何をやめるか
- どこで暮らすか
- どんな言葉を使うか
- 自分の時間を何に使うか
私たちは日々、小さな選択を積み重ねながら生きています。
その選択が、自分の感覚や欲求と大きくズレていないとき、自分の中には静かな納得感が生まれます。
反対に、本当は嫌なのに引き受けている、本当は欲しいのにいらないふりをしている、本当はやめたいのに続けている、といった状態が続くと、自分の内側と外側の行動が少しずつズレていきます。
もちろん、すべての選択をいつも自分の思い通りにできるわけではありません。
仕事や家庭、人間関係の中では、すぐには変えられないこともあります。
それでも、「私は本当は何を選びたいのか」を自分でわかっているかどうかは、自分らしさに大きく関わります。
自分らしさを考えるうえでは、自分の選択がどれだけ自分の内側とつながっているかを見ることも大切です。
4. 役割と一致している
4つ目は、役割との一致です。
- 会社員としての自分
- 親としての自分
- パートナーとしての自分
- 友人としての自分
- 先生や相談者としての自分
- リーダーとしての自分
- 誰かを支える立場としての自分
自分らしさというと、役割や責任から自由になることのように感じる人もいるかもしれません。
けれど、自分らしさは、役割をすべて脱ぎ捨てることではありません。
たとえば会社で働いているなら、「社員」という役割があります。
そこで「自分らしくいたいから仕事はしない」となってしまうと、それは自分らしさというより、役割との不一致に近い状態です。
大切なのは、役割そのものを否定することではなく、その役割を引き受けている自分が、自分の感覚や欲求、選択と大きくズレていないかを見ることです。
同じ会社員でも、自分の得意な動き方で働けている人もいれば、合わない役割に自分を押し込め続けて苦しくなる人もいます。
同じパートナーという立場でも、自然体で関われる関係もあれば、「いい人」「都合のいい人」「我慢する人」という役割を演じ続けて疲れてしまう関係もあります。
自分の内側と一致した形で役割を引き受けられているとき、その役割の中にも自分らしさは表れていきます。
自分らしさに関する3つの誤解
ここからは、自分らしさに関する3つの誤解について整理します。
「自分らしさ」という言葉には、誰もが同じように共有している明確な定義があるわけではありません。
そのため、自分らしさを探そうとしたときに、かえって本来の自分から離れてしまうような誤解が生まれることもあります。
ここでは、自分らしさについてよく起こりやすい誤解を3つ見ていきましょう。
1. 自分らしさは「特別な個性」だと思っている
1つ目の誤解は、自分らしさを「特別な個性」だと思っていることです。
ここまでご紹介してきたように、自分らしさは、なんとなくの肌なじみや、自分の中にある欲求、日々の選択、役割との一致感によって作られていくものです。
けれど、自分らしさを「他の人にはない、自分だけの特別な個性」だと思っていると、存在しないものを探し続けるような状態になってしまいます。
その結果、いつまで経っても自分らしさにたどり着けない感覚が生まれやすくなります。
よく「自分探しの旅」という言葉が、少し揶揄されることがあります。
それは、今ここにいる自分ではなく、どこか遠くに、今の自分とはまったく違う、凡庸ではない特別な自分がいるように見えてしまうからかもしれません。
自分らしさは、どこか遠くにいる特別な自分を探しに行くことではありません。
今の自分の中にすでにある感覚や欲求、選択の癖、役割との関わり方に気づいていくことの方が、自分らしさに近づく入口になります。
2. 自分らしさは「ずっと変わらないもの」だと思っている
2つ目の誤解は、自分らしさを「ずっと変わらないもの」だと思っていることです。
この記事の冒頭で、「らしさ」とは、その存在が持っている特徴がよく表れている状態だとお伝えしました。
ただ、私たち人間は、そもそも社会的な存在です。
育っていく過程で周りから影響を受けたり、人と関わる中でお互いに影響を与え合ったりしながら、少しずつ変化していきます。
つまり、「自分」という存在自体が少しずつ変わっていく以上、その時々の自分らしさも変わっていくということです。
それなのに、自分らしさを「昔からずっと変わらない、絶対に消えないもの」として考えていると、今の自分にある自分らしさを見落としやすくなります。
昔はしっくりきていたものが、今は少し窮屈に感じることもあります。
反対に、以前は興味がなかったものが、今の自分には自然になじむこともあります。
自分らしさは、過去のどこかに固定されたものではありません。
今の自分が何に心地よさを感じ、何を求め、何を選び、どんな役割と一致しているのか。
その時々の自分との一致感を見ていくことが、今の自分らしさを知る手がかりになります。
3. 自分らしさは「性格」だと思っている
3つ目の誤解は、自分らしさを「性格」と同じものだと思っていることです。
たしかに、自分らしさと性格はまったく無関係ではありません。
自分の感覚や欲求、選択、役割との関わり方が積み重なった結果、その人の雰囲気や振る舞いとして「性格」のように見えることはあります。
ただ、性格はあくまで、自分らしさが外側に表れた一部です。
- 私は内向的だから
- 私は飽きっぽいから
- 私は人に合わせる性格だから
と決めつけてしまうと、その性格に自分を閉じ込めてしまうことがあります。
本当は変わりたいのに、「これが私の性格だから」と諦めてしまう。
本当は違和感があるのに、「私はこういうタイプだから」と片づけてしまう。
そうなると、自分らしさを知るための言葉だったはずの性格が、かえって今の自分を見えにくくしてしまいます。
MBTI診断やクリフトンストレングスなどの診断結果も、自分を知るヒントにはなりますが、診断結果やタイプ名そのものが、自分らしさなのではありません。
自分らしさは、性格のラベルで固定するものではなく、今の自分が何にしっくりきて、何を求め、何を選び、どんな役割の中で自然にいられるのかを見ていく中で、少しずつ見えてくるものです。
自分らしさがズレていると起こりやすいこと
自分らしさがズレていると、最初は小さな違和感として表れます。
ただ、そのズレを放置していると、日々の選択や人間関係、生き方全体にも少しずつ影響が出てきます。
ここでは5つのズレについて整理していきましょう。
1. 選んだはずなのに納得できない
まず1つ目に、自分らしさからズレていると「自分で選んだはずなのに、どこか納得できない」といった感覚になることが多いでしょう。
条件は悪くない。周りから見れば問題もない。けれど、自分の中では「これでいい」と思いきれない。
それは、選択そのものが間違っているというより、自分の感覚や欲求とズレたまま選んでいるからかもしれません。
2. 役割を演じすぎて疲れる
2つ目に、役割を演じすぎて疲れることが多くなるでしょう。
会社員、親、パートナー、いい人、しっかりした人。
私たちは日々、いろいろな役割を持って生きています。
役割そのものが悪いわけではありません。
ただ、その役割が自分の内側とズレすぎていると、だんだん演じている感覚が強くなり、自分らしさがどこかへ消えてしまった感覚になる人が多いかもしれません。
3. 本当の自分がわからなくなる
3つ目に、本当の自分がわからなくなるケースも多いでしょう。
自分の感覚よりも、正解や期待、役割を優先し続けていると、本当は何を感じているのかがわかりにくくなります。
- 好きなこと
- 嫌なこと
- 本当は欲しいもの
- 本当はやめたいこと
そういった自分の声が、少しずつ聞こえにくくなっていきます。
4. 自分の人生を生きている感覚が薄くなる
4つ目に、自分の人生を生きている感覚が薄くなる、心理学という「乖離」という状態に近くなることもあります。
毎日をちゃんとこなしているのに、自分の人生を生きている感じがしない。
それは、自分の選択で進んでいるように見えても、実際には周りの期待や役割に合わせることが中心になっているからかもしれません。
5. 人生が停滞する
自分らしさとのズレが大きくなると、人生がどこか停滞しているように感じることがあります。
動いていないわけではない。
頑張っていないわけでもない。
それでも前に進んでいる感覚が薄いのは、自分の内側と外側の動きが噛み合っていないからかもしれません。
自分らしさを見つけるヒント
ここからは、自分らしさを見つけるヒントについて、3つの視点からご紹介します。
1. 「自分らしくない」を感じることを書き出す
まず1つ目の視点は、「自分らしくない」と感じることを書き出してみることです。
人はもともと、快よりも不快に強く反応しやすいところがあります。
自分にとって心地いいことを見つけるのは難しくても、自分にとって心地よくないことは、比較的見つけやすいものです。
そのため、「これは自分らしい」と感じることよりも、「これは自分らしくない」と感じることから見ていく方が、自分らしさの輪郭をつかみやすいことが多いでしょう。
たとえば、次のように書き出してみます。
- 常に怒っているのは自分らしくない
- いつも機嫌が悪いのは自分らしくない
- 無理に明るく振る舞うのは自分らしくない
- 悪口を一切言わないのも自分らしくない
このように、「これは自分らしくない」と思う要素を書き出してみると、その反対側にある自分らしさが見えやすくなります。
「これが自分らしくないなら、何が自分らしいのか」と考えてみることで、自分の感覚や価値観に気づきやすくなるでしょう。
2. 「あなたらしいね」と言われて嬉しかったことを思い出す
2つ目は、「あなたらしいね」と言われて嬉しかったことを思い出してみることです。
ジョハリの窓という有名な考え方がありますが、私たちは意外と、自分で自分のことをわかっていないものです。
もちろん、自分で自分を理解している範囲を増やしていくことは大切です。
ただ、自分では気づいていなくても、他人から見るとよくわかる魅力やチャームポイントもあります。
これまでの人生の中で、
- あなたのそういうところがいいよね
- それ、すごくあなたらしいね
- そういうところが魅力だよね
と言われて、嬉しかった記憶はないでしょうか。
もし、その言葉をもらったときに、心がパッと明るくなったり、「そんな私らしさがあるんだ」と嬉しくなったりしたなら、それは他人が見つけてくれた自分らしさとしてカウントしていいものです。
反対に、「あなたらしいね」と言われて嫌な気分になったことは、無理に採用しなくて構いません。
他人からかけられた言葉は、その言葉をもらったときの自分の反応もセットで見ることが大切です。
自分の心が明るくなるなら、それは自分にとっての真実に近いものかもしれません。
でも、自分の心が嫌な感じになるなら、それを自分らしさとして受け入れる必要はありません。
3. 自分の心地よさに敏感になる
3つ目は、自分の心地よさや感覚に敏感になることです。
この記事の冒頭で、自分らしさは4つの要素との一致感だとお伝えしました。
- 感覚との一致
- 欲求との一致
- 選択との一致
- 役割との一致
これらが高いレベルで一致しているとき、自分らしさは無理に作らなくても、自然ににじみ出ていきます。
ただ、そのためには、まず自分の内側の感覚や欲求、特に心地よさを自分でキャッチできていることが必要です。
まずは日々の中で、「これは少し心地いい」「これは少し無理をしている」と気づくこと。
その小さな感覚を拾っていくことが、自分らしさに近づく手がかりになります。
自分らしさは「本当の自分と一致」したときに滲み出るもの
この記事では、自分らしさとは何なのか、自分らしさを構成する4つの一致、自分らしさを見つけるヒントについてご紹介してきました。
自分らしさは、何か絶対的な1つの正解があって、それが一生変わらないというものではありません。
そのときどきの自分の感覚や心地よさ、欲求、選択、役割との一致感の中で、少しずつ見えてくるものです。
だから、自分らしさを「早く見つけなければ」と焦ったり、「これが私らしさだ」と固定したりする必要はありません。
今の自分は、何に心地よさを感じているのか。何に違和感を覚えているのか。何を求めていて、何を選びたいのか。今の役割の中で、自分と大きくズレていないか。
そうした感覚を日々拾っていくことで、自分らしさは少しずつ更新されていきます。
自分らしさは、無理に作り上げるものではありません。
本当の自分と一致したときに、自然と滲み出てくるものなのです。