
「自分を大切にしましょう」という言葉は、自己啓発や恋愛、キャリアや転職、さらにはスピリチュアルの世界まで、実にさまざまな場面で語られています。
ただ、耳にする機会は多くても
それって結局どういうこと?
何をすれば“自分を大切にしている”ことになるの?
と感じる人も少なくないはずです。
この記事では「自分を大切にする」という言葉の意味を整理し、具体的な方法や得られる効果、そして時に生じやすい誤解についても触れていきます。
心理学・スピリチュアル・人間関係など、複数の視点を交えて考えていきましょう。
Contents
自分を大切にするとはどういうことか
「自分を大切にする」という言葉をもう少し具体的に見ていくと、いくつかの切り口に整理できます。代表的な5つを挙げてみましょう。
私が運営する脳トレカレッジ(自己対話の学校)でも、多くの人生相談をいただく中で
自分を大切にしたいけれど、どうすればいいのか分からない
という声をよく耳にします。
すでに取り組んでいる方もいれば、これから始めようと思っている方、あるいは色々な情報に触れるうちにかえって迷ってしまった方もいます。
ここで紹介する切り口は、そのような混乱を整理するための一つの地図のようなものです。
あなたが思う「自分を大切にする」と照らし合わせながら、当てはまるものを見つけてみてください。
1. 自分軸で生きること(=他人軸をやめること)
「自分を大切にする」という言葉とあわせて、よく耳にするのが「自分軸で生きる」という表現です。
つまり、他人軸で生きることをやめ、自分を基準に生きるという考え方です。
他人からどう見られるかを優先していると、自分の感覚や欲求は次第に後回しになってしまいます。
それに対して、自分軸で生きるとは「自分はどう思うのか」「自分はどう感じるのか」を基準に選択していくことです。
信念や価値観といった、自分の中にある軸や核を拠りどころにする姿勢とも言えます。
このように、自分の軸に沿って生きることが、そのまま「自分を大切にする」という行為の基本にあたります。
2. 自己肯定感を育てること
「自分を大切にすること」とあわせて、よく語られるのが「自己肯定感を育てる」というテーマです。
自己肯定感とは、ありのままの自分を「これでいい」と感じられる感覚のこと。
これが低いと、他人からの承認を求め続けてしまい、気持ちが不安定になりやすくなります。
一方で、自己肯定感が育つと、人からの評価が変わらなくても落ち着いた心持ちでいられるようになります。
なお、次の章で触れる「自己受容」と重なる部分もありますが、両者には違いがあります。
自己受容は欠点を含めて自分を認める“姿勢”であり、その結果として「私は大丈夫だ」と感じられるのが自己肯定感です。
▶ 詳しくは「自己肯定感とは何か」をご覧ください。
自己肯定感が低いのは、傷ついた心の“自己防衛”かもしれません
3. 自己受容(ありのままを認めること)
「自己肯定感」と並んで語られることが多いのが「自己受容」です。
文字どおり「受け入れる」という意味を持ち、反対語は「拒否」と考えると分かりやすいでしょう。
例えば、「願いが叶っていない」「収入が低い」「容姿に自信がない」などの理由で
こんな私は私じゃない!
と感じるとき、それは自分自身を拒否している態度にあたります。
自己受容とは、そのような欠点や気に入らない部分を含めて「今の自分」を拒否しない姿勢のことです。
もちろん「このままで未来永劫変わらなくていい」という意味ではありません。
変化や成長を望んでよいのです。
ただし、その前提として「今の自分を拒否しない」ことが、自分を大切にする行為につながります。
4. ご自愛(自分に優しくする行動)
お身体ご自愛くださいね。
という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。
体調を気遣うときなどに使われるこの表現は、「自分を労わる」「大切に扱う」という意味を持っています。
自己受容が「今の自分を拒否しない」という内面的な態度だとすれば、ご自愛はそれを日常の行動に落とし込む段階です。
- 十分に休息をとる
- 体調が悪いときには無理をしない
- 安心できる環境を選ぶ好きなことに時間を割く
そうした小さな選択の積み重ねが「ご自愛」にあたります。
つまり、ご自愛とは「自分を大切にすること」を行動として実践する姿勢です。
5. セルフケアと内面ケアを両立すること
「セルフケア」という言葉は、医療や福祉、メンタルヘルスの分野などで広く使われており、健康管理を自分で行うという意味合いを持っています。
体を休める、バランスの取れた食事を心がける、適度な運動をする――こうした習慣は、外側から自分を守る大切なケアです。
しかし、セルフケアは生活習慣だけでは完結しません。
自分を大切にするためには、思考や感情を整えるといった内面的なケアも不可欠です。
心の声を無視せず、必要に応じて休む、安心できる人間関係を選ぶなど、内面の調整があってこそ、外側のセルフケアが効果を発揮します。
つまり「自分を大切にする」とは、外側のセルフケアと内面のケアを両立させること。
両方のバランスが取れてはじめて、自分自身を全体として尊重できるようになります。
自分を大切にするときによくある誤解
ここまで、自分を大切にするための5つの視点をご紹介しました。
ただ、同じ「自分を大切にする」という言葉でも、人によってどの角度から取り組むかによって、実際にやろうとしていることの中身は大きく変わってきます。
その中で共通して見られるのが「よくある誤解」です。 特にセルフケアに関しては社会的にも「健康管理」の意味合いが強いため、解釈が大きくずれることは少ないのですが、自己肯定感や自分軸といったテーマでは、思い込みや勘違いが入りやすい部分があります。
- 自分軸を強調しすぎて周囲を振り回してしまう
- 自己肯定感を高めるつもりが、他人を下げる態度につながってしまう
- 「ありのままの私を受け入れてほしい」と他人に強制してしまう
こうした誤解は「自分を大切にする」の本来の意味から外れてしまいます。
大切なのは、自分を尊重しながらも他者との調和を失わないことです
自分を大切にできないとどうなるか
自分を大切にできない状態が続くと、どのような影響が起きるのでしょうか。
『自分を大切にできない心理とは?|“自分を後回しにする癖”の正体』でも詳しく扱っていますが、ここでは大きく3つの側面から整理してみます。
1. 他人に振り回されやすくなる
自分を大切にできない人は、他人の評価や期待を優先してしまいがちです。
その結果、自分の気持ちを抑え、望んでいない約束を引き受けたり、無理をしてでも相手に合わせたりすることが増えていきます。
こうした状態が続くと「自分の人生を生きている感覚」が薄れ、気づけば他人の基準に従うだけになってしまいます。
これは一見、人間関係をうまくやる方法のように見えても、長期的には疲弊や不満につながります。
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2. 自己否定の悪循環に陥る
「自分を大切にしない=自分を認めない」態度は、やがて強い自己否定につながります。
こんな自分はダメだ…できない私は価値がない。
という思い込みが積み重なり、挑戦を避ける → 失敗体験が増える → さらに自己評価が下がる、という負のループが生まれるのです。
一度このサイクルに入ると抜け出すのが難しく、気づけば「自分を嫌いになる」方向に進んでしまいます。
これは単なる気分の落ち込みではなく、人生全体の選択や行動に影響を及ぼす深刻な悪循環です。
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3. 心身の不調が出やすくなる
「自分を大切にしない」という積み重ねは、心と体の両方に影響します。
我慢や無理を続けることでストレスが慢性化し、睡眠の質が落ちたり、食欲や集中力が乱れたりすることも珍しくありません。
また、感情の起伏が激しくなる、疲れが抜けないといった形で現れることもあります。
長期化すれば心身の不調が重なり、生活全般のパフォーマンスが落ちていきます。
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自分を大切にすると起きる変化
ここまで「自分を大切にできないとどうなるか」を見てきましたが、その逆に「自分を大切にできるようになる」と、どんな変化が訪れるのでしょうか。
心理学・自己啓発・ヘルスケアの分野でも繰り返し語られるように、メリットは多方面に広がります
ここでは代表的な3つを整理します。
人間関係が整っていく
自分を大切にできると、他人の顔色を必要以上にうかがわなくなります。
その結果、「無理に合わせる」「言いたいことを飲み込む」といった消耗が減り、より自然体で人と接することができるようになります。
人間関係は「相手をどうするか」以上に「自分がどう在るか」に左右されます。
自分を尊重する姿勢は相手にも伝わり、距離感が整いやすくなるのです。
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恋愛で「愛される」ようになる
恋愛において「自分を大切にできる人」は、自然と相手からも大切にされやすくなります。
なぜなら「私を大事に扱ってね」と要求するのではなく、自分自身が既にその扱いを自分に与えているからです。
結果として、境界線が健康に保たれ、安心感や魅力が相手に伝わります。
これはスピリチュアル的にも「自分を愛すると愛を引き寄せる」と言われますし、心理学的にも「自己尊重が健全なパートナーシップをつくる」ことは裏づけられています。
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人生全般の流れがスムーズになる
「自分を大切にする」と、行動や選択の軸が明確になります。
そのため迷いが減り、決断がスピーディーになりやすいのです。
小さな選択の積み重ねが、結果的に大きな流れをスムーズにしていきます。
さらに、自分に必要な休息をとり、無理を手放せることで、心身のエネルギー効率も上がります。
これが「仕事の集中力」「人間関係の安定」「新しいチャンスの引き寄せ」といった形で、人生全般に波及していきます。
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引き寄せやスピリチュアルの視点から見る仕組み
「自分を大切にする」ということは、心理学的にも大事とされますが、引き寄せやスピリチュアルの観点からも深く語られてきました。
脳トレカレッジ(自己対話の学校)にも、スピリチュアルの知識が深い人が多く訪れますが、そうした方々は
言われたことを試してみても効果が出ない
と悩むことも少なくありません。
ところが、不思議なことに「仕組み」を理解した瞬間に、実感が伴い、効果が出始める人が多いのです。
ここでは、ふわっとしやすい「引き寄せの仕組み」を整理し、自分を大切にすることとどう結びついているのかを解説していきます。
1. 潜在意識が現実をつくるプロセス
引き寄せの法則では、「私たちの現実は潜在意識によってつくられている」と言われます。
ここで大事なのは、「頭で考えたこと」=「現実になる」ではないという点です。
私たちが普段意識している願いや考えは氷山の一角にすぎず、その奥にある無意識の領域──潜在意識のほうが、より強く現実に影響します。
たとえば「幸せになりたい」と頭で願っていても、潜在意識の奥に
私は幸せになれない。どうせ裏切られる。
といった思い込みが残っていれば、現実はそちらに引っ張られていきます。
だからこそ「願っているのに叶わない」という矛盾が起きるのです。
自分を大切にすることは、潜在意識の“私は大事にされる存在だ”という前提を育てること。
これが現実化のプロセスを根本から変えていく鍵になります。
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2. エネルギー・波動が変わる仕組み
スピリチュアルの世界では、「すべてはエネルギーでできている」と言われます。
感情・思考・言葉もエネルギーの一種であり、特に私たちの「在り方」が周囲に振動=波動として伝わると考えられています。
たとえば、自分を大切にできずに不安や欠乏感ばかりを抱えていると、その低い波動が周囲にも伝わり、似たような出来事や人を引き寄せてしまうことがあります。
反対に、自分を尊重し、安心感や自己信頼を持てるようになると、波動が安定し、それに共鳴するような人や状況が自然と集まってきます。
「類は友を呼ぶ」という言葉は、まさに波動の法則を端的に表していると言えるでしょう。
自分を大切にすることは、自分の波動を整え、望む現実との共鳴を生み出す行為なのです。
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3. 幸せを引き寄せる循環
自分を大切にすることで、潜在意識が整い、波動も安定していきます。
すると「自己否定の悪循環」から「自己尊重の好循環」へと流れが切り替わります。
具体的には、
- 自分を尊重できる → 心が安定する
- 心が安定する → 行動に余裕が生まれる
- 行動に余裕がある → 良い出来事や人を迎え入れやすくなる
この循環はさらに「幸せな出来事を体験する → 自分は大切にされる存在だと確信する → さらに自分を大切にできる」というスパイラルをつくります。
心理学的にも「自己一致」と呼ばれる現象に近く、スピリチュアル的には「引き寄せの好循環」として語られることが多い部分です。
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自分を大切にする具体的な方法
自分を大切にすることは抽象的に語られがちですが、日常で実践できる方法に落とし込むと取り組みやすくなります。ここでは、すぐに始められる3つのヒントを紹介します。
1. 日常でできるセルフケア習慣
体をいたわることは、自分を大切にする最もシンプルな入り口です。
睡眠・食事・休息といった基本的な習慣を整えるだけでも、自己肯定感は回復しやすくなります。
2. 思考や言葉を整えるコツ
普段の口ぐせや思考の習慣は、潜在意識や波動に直結します。 「どうせ私なんて」よりも「これからできることに目を向けよう」といった言葉選びが、自分を大切にする土台になります。
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3. 自分との対話の時間を持つ
そして何よりも、自分の本音に耳を傾ける「自己対話」の時間を持つことが大切です。 自分を大切にするとは「何が欲しい?」「どう感じている?」と、自分に問いかけるところから始まります。
こうした自己対話を深める場として、私が運営する脳トレカレッジ(自己対話の学校)では、体系的に学べるカリキュラムを用意しています。 ひとりでは難しい「自分との対話」も、安心して取り組める環境があると大きく前進できます。
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まとめ|自分を大切にすることが世界を変える入口
「自分を大切にする」という行為は、単なる自己満足ではなく、人生のあらゆる領域に波及していきます。
人間関係や恋愛はもちろん、仕事や日常の選択の質まで変わり、最終的には「世界の見え方そのもの」を変える入口になります。
大きなことをする必要はありません。
まずは小さな一歩──「今日は休もう」「これをやめてみよう」といった自己尊重の積み重ねが、自分の軸を取り戻す力につながります。
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