
……私、本当に結婚できるのかな?
もう婚活、やめたいよ。
そんなふうに感じて、婚活をやめたくなる人は少なくありません。
幸せな未来に向かって活動しているはずなのに、婚活の最中はなんだか苦しい──そんな感覚を抱えている方は、きっとあなただけではないはずです。
実はそう思い込んでいる人ほど、婚活の裏側にある深い心の構造を見落としていることが多いんです。
今日のコラムでは、その「本当の理由」を一緒に深掘りしていきたいと思います。
Contents
婚活をやめたい…と思ってしまう本当の理由
私は10年くらい、女性の恋愛やパートナーシップに関するご相談を受けてきました。
その中で、婚活に取り組む方は本当に多くいらっしゃいます。
けれども、たとえば10人婚活中の女性がいたとしたら、「婚活が楽しい」と言う人は2~3人くらい。
残りの7~8人は、
婚活がつらい…もうやめたい…決まらない…
このまま一生ひとりだったらどうしよう…
と不安を口にされます。
婚活が終われば幸せになれると信じているのに、婚活期間そのものが苦しくて仕方がない── そんな状態になってしまうのは、本当に「結婚相手が決まらないから」なのでしょうか?
婚活をやめたくなる人に共通する“こころの傾向”とは
同じように婚活をしていても、「そこまで悩まない人」と「ものすごく苦しくなる人」がいます。
違いは、条件や環境よりも、“自分の心の扱い方”にあるようです。
たとえば、こんな傾向があると、婚活でつらくなりやすいかもしれません。
- 他人からの評価=自分の価値、と無意識に思い込んでいる
- 学歴や年収、婚姻歴など「世間的な肩書き」で自分を測ってしまいやすい
- 世間的に“良し”とされる状態を手に入れることで、安心を感じやすい
こうした背景があると、婚活の場面で“自己評価”がとても厳しくなってしまい、
相手からの反応がまるで「自分の人生そのものの価値」であるかのように感じてしまうのです。
婚活で悩む人・悩まない人のABイメージ対比
さきほどご紹介した「婚活をやめたいと悩む人の特徴」──
言葉ではなんとなく理解できても、実際に自分がどうなのかって、なかなかピンとこないこともありますよね。
そこで今回は、誰もが知っている定番の料理「カレー」にたとえて、婚活をやめたくなりやすい人と、婚活期間中を比較的楽しく過ごせる人の違いを、イメージでお伝えしてみたいと思います。
自分はどっちのタイプのカレーかな?
そんなふうに思いながら、読み進めてみてくださいね。
タイプA:具だくさんカレー(感情を消化してきたタイプ)
じゃがいも、にんじん、玉ねぎが、ちゃんと形を残しているカレー。
見た目も食感もそれぞれがしっかり存在感を放っていて、食べる人に安心感や満足感を与えてくれます。
これは、ひとつひとつの人生経験を「よい・悪い」で判断せず、
ちゃんと味わって、自分の中で消化してきた人の心の状態を表しています。
- 失恋したけど、ちゃんと悲しんだ
- テストで失敗したけど、悔しくて泣いた
- 誰かに傷つけられたけど、ちゃんと怒れたし、乗り越えられた
そんなふうに、“過去を感じ切ってきた”人は、婚活の場でも「これが私の歩んできた人生です」と、自分の経験を「自分の味」としてそのまま差し出すことができます。
完璧ではないけれど、そのままでおいしい。
そう思える自己感覚が、婚活という場面でも自分を支えてくれるのです。
タイプB:ドロドロ圧力鍋カレー(抑圧タイプ)
一方、圧力鍋で作ったカレーは、具材がすっかり煮込まれて、どれが何だったのかがわからないほどドロドロになっています。
これは、感情を抑え、味わうことを避けてきた人の心の状態を表しています。
- 泣いちゃダメ
- 弱音を吐いちゃダメ
- もっと頑張らなきゃ
そんなふうに自分を律して生きてきた人ほど、感情を後回しにするクセが染みついているもの。
そうすると、いつの間にか「自分が何者だったか」「どんな人生を歩んできたのか」が、
心の中で見えにくくなっていってしまいます。
婚活で相手に評価されることが怖くなるのは、
私の中身って、本当にこれでいいの?
という深い不安とつながっているから。
まるで、自分でもよくわからない“謎の煮込み”を相手に出さなきゃいけないような──
そんな心細さが、婚活の苦しさを増幅させてしまうのです。
婚活をやめたいと感じるとき、心の奥で何が起きているのか
婚活は、自分の価値を誰かに見せる場。
だからこそ、自分の中身に自信が持てないと、
こんな自分じゃダメかもしれない
誰にも選ばれないかもしれない
と、不安がどんどん膨らんでしまいます。
これはある意味、“中間テスト”のようなものかもしれません。
学生時代の中間テストって、ただ点数をつけられるだけじゃなくて、「ここ勉強してなかったな」「やっぱり準備が足りなかったな」と、自分の足りない部分に向き合わされる場面でもありましたよね。
婚活もそれとよく似ていて、「結婚相手がなかなか決まらない」という現実を前にしたとき、人はふと、こんな自分に出会ってしまうのです。
- 今までの人生をなんとなく流してきたかもしれない私
- 自分の魅力を育てることに、本気で向き合ってこなかった私
- 感じるべき感情をちゃんと感じずに、忙しさでごまかしてきた私
つまり、つらさの正体は「相手が決まらないこと」そのものではなくて、
相手が決まらないことによって、“見たくなかった自分”を見てしまうことなのかもしれません。
でも、それは“今のあなたが悪い”のではありません。
ただ、これまでちゃんと味わえなかった感情が、心の中で“ドロドロに煮詰まっている”だけなのです。
婚活がつらくなるのは、誰かに否定されているからではなく、“自分の感情を、まだ受け入れられていない”だけなのかもしれません。
婚活を手放そうとした女性が“本当の自分”に出会った物語
ここでひとつ、実際のクライアントさんの変化をご紹介したいと思います。
彼女は40代前半。30代の頃からずっと結婚を希望していて、アプリや結婚相談所を活用しながら何年も婚活をしていたものの、なかなか結果に結びつかない日々が続いていました。
お話を聞いてみると、彼女は幼少期から「美人」と言われることが多く、男性との縁もある一方で、なぜか“結婚”となると距離ができてしまう──そんなパターンを繰り返していたのです。
とくに彼女が気にしていたのは、
私は高級なものに惹かれてしまう。だから結婚相手から“浪費家”だと思われてしまうのではないか
という強い思い込み。
そのため、婚活中の彼女は“質素倹約な女性”を演じることに徹していて、本当の自分をうまく出せないことが続いていたのです。
でも、コンサルティングの中で彼女は少しずつ気づいていきました。
彼女が求めていたのは、ただ高価なものを身につけることではなく、その“上質さ”や“美しさ”をちゃんと感じ取れる自分の感性。
それは「贅沢」ではなく、むしろ「繊細さ」や「美意識」という、彼女らしい魅力だったのです。
この感性を「金のかかるいけないもの」ではなく、「私というカレーの大切な具材なんだ」と受け入れられたとき──
まさに圧力鍋の“圧”がスーッと抜けていくような変化が起きました。
その後、ご縁があったのは、まさかの資産家の男性。
良いものを、良いと感じられる感性を持った人がいい
と語るその男性と出会い、なんとご入籍。
今では二人揃って、お気に入りの器でごはんを楽しんだり、工芸品の展示会に足を運んだり、“美しさを共有できるパートナーシップ”を楽しんでいらっしゃいます。
このように、抑え込んできた感情や個性を解放し、「ドロドロ圧力鍋カレー」から「ゴロゴロ具だくさんカレー」へと変化できたとき──
婚活は驚くほどスムーズに、自然体で進んでいくこともあるのです。
婚活をやめる前に、自分と向き合ってみる3つの整え方
婚活をやめたいと感じる背景には、「自分の中身がわからない」「自分に自信がない」という根深い感覚が隠れていることがあります。
でも、それは“ダメな自分”がいるということではなく、ただ感情や経験がうまく整理されていないだけのこと。
ドロドロになってしまったカレーを、もう一度じっくりと見つめ直して、具材を思い出していくように。
本来の自分を取り戻して、婚活という場をもっと心地よく、前向きに味わえるようになるために──
ここからは、そんな「自分との再会」を叶えるための3つのステップをご紹介します。
Step1:抑圧を緩める=圧力鍋の“圧”を抜く
まず最初に必要なのは、心の圧力を抜いてあげること。
実際に圧力鍋を使ったことがある方なら分かると思いますが、中に高温の蒸気がこもった状態でいきなり蓋を開けると、「バンッ!」と大きな音を立てて吹き出してしまう、とても危険な状態になります。
だからこそ、まずは安全弁を緩めて「シューッ」と蒸気を抜いてから、ゆっくり中を見ることが大切。
心もまったく同じです。
- 泣いちゃダメ
- 弱音を吐いちゃダメ
- もっと頑張らなきゃ
そんなふうに、無意識のうちにずっと我慢してきた感情たち。
それらはまるで、圧力鍋の中で煮詰まり続けていた蒸気のようなもの。
その蓋をいきなり開けるのではなく、まずはそっと、静かに声をかけてあげましょう。
あのとき、本当は悔しかったよね
泣きたかったのに、泣くのを我慢してたよね
本当は、もっとわかってほしかったよね
そうやって、これまでの自分の感情に“感じる許可”を出していくこと。
それが、心の中の圧力をゆっくり抜いていく“第一歩”になるのです。
Step2:過去を振り返る=具材を思い出す
圧が少しずつ抜けてきたら、次はゆっくりと鍋の中をのぞいてみましょう。
そこには、ずっと見えなかった“人生の具材”たちが、ほんのり形を取り戻そうとしているかもしれません。
学生時代にがんばったあれは、じゃがいもだったな
大失恋したのは、にんじんの苦味だったな
親友と笑い合ったあの日は、甘く炒めた玉ねぎだったな
こうして振り返ることで、「あの出来事には、こんな感情があったんだな」と、点だった記憶が、線になって、立体的な“私の歴史”として浮かび上がってきます。
中には、思い出すだけで胸がギュッとなることもあるかもしれません。
できれば忘れてしまいたかったこと。
あえて見ないようにしていた感情。
でも、それらを見つめ直すことができたとき──
人生は、苦くても、渋くても、確かに「味があるもの」だったんだと気づくのです。
私、ちゃんと生きてきたんだな
そう実感できたとき、過去はもはや“痛み”ではなく、
“滋味深いスープの出汁”のように、あなたを支えてくれる存在へと変わっていきます。
Step3:自分を再評価する=ゴロゴロカレーになる
最後のステップは、思い出した具材たち──あなたの人生のパーツたちを、「悪いもの」「未熟なもの」として片付けるのではなく、「これが私の味なんだ」と、ちゃんと“再評価”してあげること。
たとえば、ちょっと不格好なじゃがいもがあったとしても、味がしみていて、ホクホクしていたら、それはもう立派な“美味しい具材”。
恋に失敗した経験も、うまく泣けなかった夜も、そのときの自分なりに一生懸命だった──
そう思えたら、それはもう「私だけの味」として、人生のスパイスになってくれるんです。
婚活という場面で、自分を誰かに差し出すときも、こう思えるようになります。
これが私の人生です。ちょっとゴロゴロしてますけど、意外といい味なんですよ。
よかったら、少し味見してみませんか?
評価を求める場ではなく、“味を交換する場”へ。
そんな風に婚活を捉えられるようになると、自然と不安が減って、少しずつ、自分の人生に誇りを感じられるようになっていきます。
婚活は“やめたくなるもの”じゃなく、“自分に還る旅”かもしれない
婚活で苦しくなるのは、必ずしも「結婚相手が見つからないから」ではありません。
本当の理由は、自分自身が「どう生きてきたか」「これからどう在りたいか」といった、人生の“本質的な問い”に向き合わされるから──なのかもしれません。
だからこそ、婚活がしんどく感じるときは、それが「自分を見失っているサイン」でもあり、同時に“もう一度、自分に出会い直すチャンス”でもあるのです。
たとえば、誰かに選ばれるかどうかに意識を向けるよりも、
自分はどんな人と、どんな人生を歩みたいのか?
私は、自分のことをどう感じているのか?
そんな問いを、自分にやさしく差し向けてみてください。
婚活は、ただ条件や外見で誰かを探す活動ではありません。
それは、あなたがあなた自身と出会い直し、自分の人生に本当に必要な「心のつながり」を見極めていく旅でもあるのです。
私って、こんな味だったんだ
このままでも、意外といい味かも
そんなふうに、自分に対してちょっとだけ微笑みを向けられたとき、
婚活は“評価される場”から、“人生の味わいを共有しあう場”へと変わっていきます。
まとめ|婚活をやめたいと思ったとき、自分にかけてあげたい言葉
「婚活やめたい」「結婚できるか不安」──
そんな気持ちが胸を占めるとき、どうかひとりで抱え込まないでください。
つらさの正体は、誰かに否定されたからでも、努力が足りないからでもありません。
それはきっと、まだ味わいきれていない感情や、知らず知らずのうちに抑えてきた“あなた自身の物語”が、心の奥から静かに声をあげているサインなのです。
婚活は、自分の価値を誰かに証明するための試験ではありません。
むしろ、
これが私の人生です
と、ちょっといびつで、でもあたたかい“自分だけのカレー”を差し出すようなもの。
誰かに好かれるためではなく、本当のあなたでいることを、自分に許してあげるプロセス。
そう思えるようになったとき、婚活という旅は、ぐっとやわらかく、心の通うものへと変わっていきます。
あなたの人生には、ちゃんと意味があります。
まだ評価しきれていないだけで、もう十分すぎるほどの素材と、味わいが、そこにあるのです。