繊細すぎる人はめんどくさい!繊細さんとの付き合いが面倒になった時の対処法
繊細すぎる職場の同僚が本当に面倒くさい。
何かにつけて繊細アピールをしてくるのがうざい。
人はみんなそれぞれ違っていて、多様性を認め合うべきだと頭ではわかっていても、そうは言っても面倒くさいものは面倒くさいですよね。
「私は繊細なタイプなので」と配慮を求められたり、本人から申告していなくても明らかに傷つきやすい人がいたりすると、付き合う側が疲れてしまうことも多いです。
繊細すぎる人に対して「あの人、面倒くさいから関わらない!」と切り捨てられたら楽かもしれませんが、職場などではそうはいかないこともあるでしょう。
この記事では、繊細すぎる人がめんどくさいと感じる理由や、繊細さんとの付き合いが面倒になった時に少し楽になる考え方について解説します。
繊細すぎる人がめんどくさいと感じるのは普通のこと
まず大前提として、繊細すぎる人がめんどくさいと感じるのは、ごく自然なことです。
今は時代的に、一人ひとりの感じ方や個性を尊重しようという流れが強くなっています。
そのこと自体は大切ですが
「HSPの人って正直めんどくさいよね」
「繊細すぎる人と関わるの疲れるよね」
といった本音は、なかなか口にしにくいものです。
この記事では、まずその気持ちを否定しなくていいというところから始めたいと思います。
繊細すぎる人は、たとえるなら、シルクの生地に手縫いの刺繍を施したブラウスのようなものです。
綿100%のヘビーウェイトTシャツのように、汗をかいても、何度洗っても、多少雑に扱っても平気というわけにはいきません。
シルクは使う場面を選ぶ必要がありますし、洗う時も、しまう時も、扱いには気を遣います。
人間関係でもそれと同じで、繊細すぎる人と関わる時には、言葉選びや距離感や反応の仕方に、どうしても気を遣う場面が増えます。
そのぶん、付き合う側にはコストがかかります。
だから、繊細すぎる人を面倒くさいと感じるのは、冷たいからではありません。
扱いに気を遣うものを面倒だと感じるのは、ある意味とても自然なことなのです。
繊細な人が面倒くさいと思われる背景
では、繊細な人が面倒くさいと思われる背景には、どのようなものがあるのでしょうか。
「面倒くさい」という言葉はある意味とても雑な分類で、その背景は少しずつ違います。
ここでは、繊細な人を否定するためではなく、なぜ面倒くさいと感じられてしまうのか、その構造を見ていきましょう。
1. 繊細さに合わせた配慮を求められる
まず1つ目は、繊細さに合わせた配慮を求められることです。
繊細な人と関わる時は、平均的な人と関わる時よりも、必要な配慮が多くなりやすいです。
たとえば、威圧的な態度に萎縮しやすい人には、できるだけ圧をかけないように話す必要があります。
大きな声が苦手な人には、声のボリュームを抑えて、やわらかく話す必要があるかもしれません。
すぐに自分を責めてしまう人には、「あなたを責めているわけではありません」と前置きしてから伝えた方がいい場面もあるでしょう。
もちろん、人間関係で相手に合わせた配慮をすることは大切です。
ただ、相手が繊細すぎる人の場合、その配慮の数や細かさが一気に増えることがあります。
- 普通に話すだけでも言葉を選ぶ
- ちょっとした指摘にも前置きが必要になる
- 相手の反応を見ながら、常に傷つけないように気を遣う
こうした状態が続くと、相手に悪気がなかったとしても、正直めんどくさいと感じてしまうのは自然なことです。
2. 相手の感情ケアコストを持たされる
二つ目は、相手の感情をケアするコストを、こちら側が負わされやすいことです。
繊細な人は、こちらが何気なく言った一言や、業務上必要な指摘にも深く傷ついてしまうことがあります。
そして相手が落ち込んだり、不機嫌になったり、泣きそうになったりすると、今度はこちらがその感情をなだめる役割まで背負うことになります。
本来は、伝えるべきことを伝えただけだったはずなのに、いつの間にか相手の心のフォローまでセットになってしまう。
これが続くと、職場関係であれ友人関係であれ
「私はカウンセラーじゃないんだけど?」
「なんだか自分が悪人みたいじゃないか」
と感じてしまうこともあるでしょう。
相手が傷つきやすいこと自体が問題なのではありません。
問題は、その傷つきやすさに合わせて、こちらが毎回ケア担当にされてしまうことです。
3. 機能性を遠慮なく求めにくい
3つ目は、機能性を遠慮なく求めにくいことです。
これは特に、職場で起こりやすい感覚かもしれません。
先ほど、繊細な人はシルク生地に手縫いの刺繍を施したブラウスのようなものだとお伝えしました。
シルクの刺繍ブラウスは、美しくて魅力的ですが、機能性だけで考えるなら、綿100%の厚手Tシャツや、ポリエステルの速乾ドライTシャツの方が使いやすい場面もあります。
たとえば、過酷な天候が予想される登山に、シルクの刺繍ブラウスを着ていく人はいないでしょう。
それと同じで、職場というのは基本的に、会社に対して何らかの機能を提供する場所です。
そうした場面で、同僚や部下に対して「もう少し機能性を発揮してほしい」と思うことは自然です。
けれど相手が繊細すぎる人だと、普通なら求められる強度やスピードや成果を、遠慮なく求めにくくなることがあります。
すると、周囲は気を遣いながら仕事を進めることになり、面倒くささを感じやすくなるのです。
4. 繊細アピールがうざい
4つ目は、繊細アピールがうざいと感じられることです。
もちろん、繊細な人すべてがうざいわけではなく、一部の人がこのような態度を取りやすいというニュアンスです。
たとえば、
- 自称繊細さん
- 繊細さを隠れ蓑にして責任から逃げる人
- 傷つきやすさを理由に周囲をコントロールしようとする人
このようなタイプです。
今まで生きづらさを感じてきた人が、「自分は繊細なタイプなんだ」と知って安心すること自体は悪いことではありません。
けれど、そこから先に「だから周りは私に配慮して当然」という態度になると、関わる側は疲れてしまいます。
繊細さは気質のひとつであって、周囲に無限の配慮を求めるための権利ではありません。
それを本人の自我や自己演出のように見せられると、周囲は
「なぜ私があなたの繊細アピールに付き合わなきゃいけないの?」
とうんざりしてしまうのも無理はありません。
5. 配慮コストに対して得られるものが少ない
4つ目は、配慮コストに対して得られるものが少ないと感じることです。
これは特に、職場やチーム活動など、成果や役割が求められる関係で起こりやすいでしょう。
繊細な人と関わる時は、言葉選びや感情のフォローなど、どうしてもコミュニケーションコストが増えやすくなります。
もちろん、その人自身が悪いという話ではありません。
ただ、関係を築くために必要な配慮コストに対して、仕事上の成果や協力関係として返ってくるものが少ないと、周囲は負担を感じやすくなります。
恋愛や家族関係であれば、配慮が必要でも、そのぶん愛情や安心感や豊かさを受け取れることもあるでしょう。
けれど、職場のように利益や数字や合理性が重視される場面では、どうしても「ここまで気を遣うメリットがあるのだろうか」と考えてしまうことがあります。
これは冷たいというより、ある意味ではとても現実的な判断です。
配慮コストが高いのに、得られるものが少ない。
そう感じた時に、繊細な人との付き合いが面倒くさくなるのは自然なことなのです。
付き合いが面倒になりやすい関係
繊細な人との付き合いが面倒になるかどうかは、相手の性格だけでなく、関係性によっても変わります。
たまに会う知人なら距離を置けますが、簡単に離れられない関係では、繊細さに合わせるコストが重たくなりやすいものです。
それでは代表的な5つの関係性について見ていきましょう。
1. 注意が必要な部下や後輩
繊細な部下や後輩は、注意や指導が必要になるぶん、付き合いに気を遣いやすい関係です。
仕事上、間違いを指摘したり、改善点を伝えて指導しなければいけない場面は日々あります。
けれど、そのたびに相手が深く傷ついたり落ち込んだりすると、指導する側はかなり気を遣います。
「言わないと育たない。でも言うと傷つく」
この状態が続くと、繊細な部下や後輩との関係は負担になりやすいでしょう。
近年ではパワハラへの意識も高くなり、「パワハラになっていないか不安」といった、指導側の悩みも深くなっています。
2. 逃げにくい同僚
繊細な同僚も、付き合いが面倒になりやすい相手です。
同じ職場やチームにいる以上、簡単に距離を置くことができません。
必要な確認をしただけなのに責められたと受け取られたり、急ぎの連絡をしただけできついと言われたりすると、こちらも言葉を選ぶようになります。
気まずくなっても関係を切れないぶん、同僚関係では繊細さへの配慮が重たくなりやすいのです。
3. 聞き役になりがちな友人
友人関係でも、毎回こちらが聞き役になると疲れてしまいます。
- 会うたびに悩み相談になる
- こちらの話をする時間が少ない
- 相手の気持ちを受け止めることが当たり前になる
こうなると、友人というより無料のカウンセラーのような役割になってしまいます。
大切な友人であっても、毎回受け止める側になると、関係そのものが面倒に感じられることがあります。
4. 機嫌に巻き込まれる恋人や家族
恋人や家族のような近い関係では、相手の機嫌に巻き込まれやすくなります。
- 相手が不安になるたびに安心させる
- 相手が傷つくたびにフォローする
- 相手が落ち込むたびにこちらの生活まで引っ張られる
距離が近いからこそ、繊細な人の感情が日常に入り込みやすくなります。
大切な相手でも、相手の機嫌をすべて自分の責任にすると、関係は苦しくなっていきます。
5. 距離を切りにくいSNSの知人
SNSやコミュニティ内の知人も、意外と面倒になりやすい関係です。
リアルの友人ほど近くないのに、完全な他人とも言い切れない距離感だからです。
メンションへの返信をしなかっただけで傷つかれたり、何気ない投稿を自分への当てつけのように受け取られたりすると、SNS上でも気を遣うようになります。
近すぎないのに妙に気を遣う。
この距離感の曖昧さが、SNS上の繊細さんとの付き合いを面倒に感じさせるのです。
繊細な人とどう付き合う?
では、身の回りにいる繊細な人とはどう付き合えばいいのでしょうか?
繊細な人との付き合いが面倒になった時は、相手を変えようとするより、自分の関わり方を見直すことが大切です。
ここでは5つのポイントを解説します。
1. すべてを理解しようとしない
まず繊細な人の感じ方や、繊細な人たちが見ている世界を、すべて理解しようとしなくて大丈夫です。
才能とも言える感受性を持っている人も多いですから、平均的な感性の人とは全く異なる世界を知覚していることもあるでしょう。
「自分にはよくわからないけれど、相手はいろいろなものを感じ取っているようだ」
くらいの理解を示せれば十分です。
2. 相手の感情まで背負わない
二つ目に、相手がその繊細さゆえに傷ついたり落ち込んだりしても、その感情をすべてこちらが処理する必要はありません。
優しかったり、責任感や倫理観が高かったりする人ほど、自分との関係で繊細な人の感情が揺れた時、その責任まで負おうとしてしまいます。
できる範囲で配慮することは大切ですが、相手の感情は最終的には相手のものです。
相手がどう受け取るか、どこまで傷つくか、どのように回復するかまで、すべてこちらが背負う必要はありません。
相手の感情を大きく捉えすぎないことも、繊細な人と付き合う上では大切です。
3. 先回りして機嫌を取らない
繊細な人と関わる時、相手が傷つかないように先回りしすぎると、こちらが疲れてしまいます。
機嫌を損ねないように言葉を選び続けると、自然なコミュニケーションができなくなります。
必要な配慮はしても、相手の機嫌を取ることまで自分の役割にしない方がいいでしょう。
4. 距離を置くことを悪いことだと思わない
繊細な人との付き合いが負担になっているなら、距離を置くことも必要です。
距離を置くことは、相手を否定することではありません。
自分の心を守るために、関わる頻度や深さを調整していいのです。
5. 職場や友人関係では役割と境界線をはっきりさせる
職場や友人関係では、役割と境界線をはっきりさせることが大切です。
仕事であれば、必要な指摘や依頼は感情とは分けて伝える。
友人関係であれば、毎回相談役になりすぎない。
相手の繊細さに配慮しながらも、自分がどこまで関わるのかを決めておくと、付き合いは少し楽になります。
「繊細さんうざい」と思う自分を責めなくていい
この記事では、繊細すぎる人との付き合いが面倒に感じられる理由や、心地いい距離感の見つけ方について解説してきました。
世の中には、いろいろな個性や気質を持った人がいます。
その中で、たまたま繊細な気質を持った人と関わる機会があり、できることならうまく付き合っていきたいと考えている人も多いでしょう。
けれどその一方で、 「繊細さんって正直うざい」 「付き合うのが面倒くさい」 「また気を遣わなきゃいけないのか」 と思ってしまうこともあるかもしれません。
そんな本音が出てくる自分を、人でなしのように責めなくて大丈夫です。
相手が繊細な人だからこそ、「こんなふうに思ったらかわいそうかな」「また傷つけてしまうかな」と罪悪感が出てくる人もいるでしょう。
それはあなたが冷たいからではなく、むしろ、相手の気持ちを考えられる人だからこそ、余計に疲れてしまうのです。
大切なのは、無理に近づきすぎず、必要以上に背負いすぎず、お互いにとってちょうどいい距離を探していくことです。
繊細さんとの付き合いに疲れた時は、「自分がもっと優しくならなきゃ」と考える前に、まずは自分が安心して関われる距離を見直してみてください。
言い訳ばかりする人がストレス!心理・特徴と上手な対処法
「でも、〇〇だったので」
「今回はこういう事情があって」
「いや、こんなことがあったから仕方なくて」
職場で、家庭で、友人関係で、言い訳ばかりする人と付き合うのは本当に疲れるものです。
別に責めているわけではないのに、何を言っても「でも」「だって」と返される。
そういうやり取りが続くと、腹の中では思わず、
「あなたの言い訳を聞く時間が無駄なんですけど?!まず謝れよ!」
とイライラが募ることも多いでしょう。
ですが、特に職場などではその怒りをそのまま本人にぶつけるわけにもいきませんし、不満だけがどんどんこちら側に溜まっていきます。
この記事では、言い訳が多い人の心理や特徴、言い訳ばかりしてしまう背景を整理しながら、相手に振り回されにくくなるための対処法を解説します。
言い訳ばかりする人が疲れる理由
では、言い訳が多い人と関わると、なぜこれほど疲れてしまうのでしょうか。
もちろん、疲れる度合いは相手の性格や普段の態度、仕事の出来不出来、関係性によっても変わります。
ただ、共通しているのは、言い訳が多い人との会話ではコミュニケーションコストが増えてしまうということです。
たとえば職場で、部下が何かミスをしたとします。
「〇〇さん、ここが間違っています。やり直してください」
そう伝えたときに
「はい、申し訳ありませんでした。以後気をつけます」
で終われば、会話はそこで一区切りつきます。
しかし、言い訳が多い人の場合は、そこで終わりません。
「いや、〇〇さんに確認したんですけど、そのときはOKだと言われていて」
「でも、そのときたまたま部長がいなくて、ちゃんと確認できなくて」
「そもそも、この業務についてはまだきちんと研修を受けていないので」
このように、自分には責任がない、自分だけが悪いわけではない、という説明が延々と続きます。
もちろん、事情を説明すること自体が悪いわけではありません。
ただ、その説明が「状況共有」ではなく、「自分は悪くなかったと認めてほしい」という承認要求になっていると、会話は一気に重たくなります。
本来なら10秒で終わるはずのやり取りが、5分、10分とかかってしまう。
これは業務効率の面でも負担になりますし、物事を前に進めたい人、合理性やスピードを重視している人、すでに忙しさを抱えている人にとっては、大きなストレスになります。
毎回、相手の弁解を聞き、事情を受け止め、悪者にならないように気を遣いながら会話を進めなければならない。
そのコミュニケーションコストの高さが、疲れやストレスにつながっていくのです。
言い訳する人の特徴
ここからは、言い訳する人によく見られる特徴や態度、よくあるシチュエーションについて整理していきます。
1. 謝罪より前に正当化しようとする
言い訳する人の特徴としてまず挙げられるのが、謝罪より前に自己正当化しようとすることです。
何かミスをしたとき、迷惑をかけたとき、相手から指摘されたとき。
まず自分の非を受け止めた方が適切な場面というのはよくあるでしょう。
「すみません」
「確認します」
「次から気をつけます」
この一言があるだけで、会話はかなりスムーズに進みます。
ところが、言い訳が多い人は、その前に「自分は悪くない」という主張を始めます。
「でも、これは〇〇だったので」
「私はちゃんとやったつもりだったんですけど」
「それは私だけの責任ではなくて」
謝罪より前に、弁解が来る。
確認より前に、自己弁護が来る。
これをされると、会話の流れがそこで止まります。
本来なら前に進むはずの会話を、自分の正当化のために止められることがストレスなのです。
2. 指摘される前に言い訳が並ぶ
言い訳が多い人は、まだ誰も責めていない段階から、先回りして言い訳を並べる癖があります。
こちらはただ確認したいだけなのに、
「先に言っておくと、これは私のせいではなくて」
「一応説明しておくと、あのときこういう事情があって」
「たぶん誤解されていると思うんですけど」
と、こちらが何かを言う前から防御の姿勢に入ってしまうのです。
もちろん、事前に事情を共有することが必要な場面もありますが、毎回それが続くと、聞いている側はかなり疲れます。
なぜなら、こちらはまだ責めてもいないのに、相手の中ではすでに「自分を責めてくる相手」として扱われているように感じるからです。
話し合いを始める前から、こちらが悪者側に配置されている。
この感覚が、地味にストレスになります。
3. 「でも」「だって」が口癖になっている
言い訳する人には、「でも」「だって」が口癖のようになっていることもあります。
何かを伝えるたびに、
「でも、それは」
「だって、あのとき」
「いや、そうじゃなくて」
「そうなんですけど、でも」
と返されると、会話の入り口で毎回ブレーキを踏まれるような感覚になります。
こちらは責めたいわけではない。
ただ話を前に進めたいだけ。
それなのに、毎回「でも」「だって」で止められる。
この小さな引っかかりが積み重なることで、言い訳する人と話すこと自体がストレスになっていきます。
4. 責任から逃げようとする
言い訳が多い人は、責任から逃げようとしているように見えることがあります。
言い訳というのは、ある意味では「責任の所在を自分から外へ移す行為」です。
「自分は悪くない」
「仕方なかった」
「環境や他人にも原因がある」
このように言い訳を重ねることで、自分が引き受けるべき責任を、少しずつ外へ逃がしていきます。
ただ、逃がされた責任は消えるわけではありません。
誰かが「自分の責任ではない」と言えば、その責任は宙に浮きます。
そして宙に浮いた責任は、結局、別の誰かが持たされることになります。
そのため言い訳ばかりする人と関わると疲れるのです。
5. 言い訳を聞かせる圧が強い
言い訳ばかりする人の中には、言い訳を聞かせる圧が強い人もいます。
ただ一言だけ理由を説明するのではなく
「わかってほしい」
「自分は悪くないと認めてほしい」
「ちゃんと事情を聞いてほしい」
「誤解しないでほしい」
という圧が、会話全体ににじみ出ているのです。
聞いている側は、ただ事実確認をしたかっただけなのに、気づけば相手の事情を受け止め、感情をなだめ、「あなたは悪くなかったんですね」と言わされるような空気になることがあります。
ただの事実確認やミスの指摘をするだけのはずが、いつの間にか、相手の感情をケアするカウンセリングのような役割まで求められてしまうのです。
言い訳が多い人の心理
では、言い訳が多い人の内側には、どのような心理があるのでしょうか。
ここではその心理背景について整理していきます。
普段あまり言い訳をしない人ほど、言い訳ばかりする人を見ると、
「なぜそこまで自分を守ろうとするのか」
「なぜ一度受け止めることができないのか」
と、不快に感じると同時に、謎に感じることも多いでしょう。
言い訳の不快さそのものが消えるわけではありませんが、相手がどのような心理で言い訳をしているのかが見えてくると、対処法のヒントになるかもしれません。
1. 怒られたくない
言い訳が多い人の心理としてまず多いのは、怒られたくないという気持ちです。
何かを指摘されたとき、本人の中では反射的に「責められる」「怒られる」「評価が下がる」という不安が出ていることがあります。
つまり言い訳は「相手から攻撃される前に防御しないと!」という心の防衛反応です。
聞いている側からすると、その防御反応そのものが面倒なのですが、言い訳を始めた相手に対して
「あぁ攻撃されてるように感じて怖いのだな」
という目線を向けることができると、少しは不快感が下がるかもしれません。
2. 失敗した自分を認めたくない
言い訳が多い人は、失敗した自分を認めることが苦手な場合もあります。
- ミスをした
- できなかった
- 迷惑をかけた
- 期待に応えられなかった
そういう事実をそのまま受け止めることが、その人にとってはかなり苦しいのです。
だから、失敗そのものを見る前に、失敗しなかったことにする理由を探します。
「でも、あの状況なら仕方なかった」
「そもそも説明が足りなかった」
「自分だけの問題ではない」
そうやって理由を並べることで、失敗した自分と向き合わずに済ませようとします。
3. 他人からの評価が自己価値になっている
言い訳が多い人の中には、他人からの評価と自分自身の価値を切り分けることが苦手な人もいます。
「ここが間違っている」と言われただけなのに、
「自分はダメだ」
「嫌われた」
「責められた」
と、自分全体を否定されたように感じてしまう。
そのため、ミスを認めることが、そのまま自分の価値が下がることのように感じられます。
そこで言い訳をして「自分が間違っていたわけではない」とすることで、自分の価値を守ろうとするのです。
自己肯定感の低さと他人からの評価の関係については、「自己肯定感が低いのはなぜ?原因・特徴・高め方を解説」でも詳しく解説しています。
4. 理想の自己イメージを守りたい
言い訳が多い人の中には、「自分はこういう人間だ」という自己イメージを強く守ろうとする人もいます。
「自分は本当はもっとできる」
「仕事ができない人だと思われたくない」
「ちゃんとしている人だと思われたい」
そうした自分像と現実の間にズレが生まれたとき、そのズレを認める代わりに言い訳が出てきます。
「今はたまたまこうなっただけ」
「本当の自分は違う」
と説明することで、自分の中でも、相手の中でも、理想の自分像を守ろうとするのです。
言い訳ばかりする人への対処法
ここからは、言い訳ばかりする人への対処法について紹介します。
大前提として、相手の言い訳をゼロにすることは、こちらがどれだけ頑張っても難しいと考えておいた方がいいでしょう。
なぜなら、言い訳は単なる話し方の癖ではなく、怒られたくない気持ち、自分の価値を守りたい気持ち、肥大化した自我像を守ろうとする反応など、本人のかなり個人的な心理と結びついていることがあるからです。
根本的に変わるには、本人自身の内面の成熟や、過去の傷つきへのケアが必要になる場合もあります。
配偶者や家族など、かなり近い関係であれば、そこまで見ていくこともあるかもしれません。
けれど、職場の人やそこまで深く関わる必要のない相手に対して、そこまで背負うのは現実的ではありません。
大切なのは、相手を根本から変えようとすることではなく、言い訳の背景を理解したうえで、こちらの負担が増えすぎない関わり方を選ぶことです。
1. 安全な空気を作って言い訳を聞く
言い訳が多い人に対しては、まず安全な空気を作って、ある程度は言い訳を聞いてあげることも有効です。
特に、まだ経験が浅い新人や、関係性が浅い相手の場合、いきなり言い訳を遮ると、相手の防衛反応がさらに強くなることがあります。
言い訳をする人は、言い訳によって何かを得ようとしています。
- 怒られたくない
- 悪く思われたくない
- 自分の評価を下げられたくない
- 事情をわかってほしい
そうした不安が強い状態で、言い訳をまったく聞いてもらえないと、相手はさらに身構えてしまいます。
こちらに余裕がある場合は、まず一度話を聞いて、
「この人はすぐに自分を否定する人ではない」
「必要以上に評価を下げる人ではない」
という安心感を作ることも大切です。
信頼感ができることで、結果的に言い訳そのものが減っていく場合もあります。
2. 事実と要望だけを短く伝える
言い訳が多い人には、事実と要望だけを短く伝えることも大切です。
相手の人格や価値に触れるような言い方をすると、防衛反応が強くなり、さらに言い訳が増えることがあります。
「なんでいつもそうなの?」
「ちゃんと考えてる?」
「責任感がないよね」
ではなく、
「ここが間違っています」
「次回からは〇時までに確認してください」
「この部分だけ修正してください」
というように、必要なことだけを伝えます。
相手が事情を説明し始めた場合も、すべての言い訳に付き合う必要はありません。
仕事を進めるために必要な情報だけを拾い、
「事情はわかりました。では、次は〇〇してください」
と次の行動へ戻します。
事情は聞く。
でも「自分は悪くなかった」と納得してもらうための自己弁護までは引き受けない。
この線引きをしておくと、言い訳に巻き込まれにくくなります。
3. 職場で感情的な関係を持ちすぎない
職場で言い訳ばかりする人に対しては、感情的な関係を持ちすぎないことも大切です。
最近は、職場でも心理的安全性や1on1、メンタルケアなどが重視されるようになっています。
もちろん、安心して働ける環境を作ることは大切です。
ただ、言い訳が多い人に対して、個人的な感情や内面に入り込みすぎると、相手から「この人は自分の自己イメージを守ってくれる人だ」と認識されてしまうことがあります。
そうなると、仕事上の確認や注意のたびに、相手の不安や自己弁護を受け止める役割まで背負わされることがあります。
職場はカウンセリングルームではありません。
必要以上に相手の感情を抱え込まず、仕事上の役割と距離感を保つことが大切です。
4. 職場では記録と役割を明確にする
職場で言い訳ばかりする人と関わる場合は、記録と役割を明確にしておくことも重要です。
言い訳が多い人とのやり取りでは、あとから、
「聞いていません」
「自分の担当だとは思っていませんでした」
「その期限だとは認識していませんでした」
という話になり、再び責任の所在が曖昧になることがあります。
そのため、
- 誰が
- 何を
- いつまでに行うのか
- 終わったらどう確認するのか
まで決めておきます。
口頭だけで済ませず、チャットやメールなど、あとから確認できる形で残しておくことも大切です。
それでも同じことが繰り返され、仕事が進まない場合は、言い訳の内容について争うのではなく、決めていた役割や期限と実際に起きたことを事実として上司や担当者に共有する。
相手に非を認めさせることより、仕事が前に進む状態を作ることを優先します。
5. 相手にわからせようとしない
最後に大切なのは、相手に自分の非を認めさせようとしすぎないことです。
言い訳ばかりする人と関わっていると、
「まず自分の責任を認めてほしい」
「言い訳をせずに、非を受け止めてほしい」
「自分が悪かったとわかって成長してほしい」
と思うことがあります。
けれど、言い訳が多い人を、言い訳せずに自分の責任を引き受けられる状態へ変えようとするのは、かなり難しいことです。
なぜなら、ここまで見てきたように、言い訳は相手の個人的な防御反応や、自己イメージの守り方と深く結びついていることがあるからです。
そこを変えようとするのは、専門家でも簡単ではありません。
職場の上司や同僚、家族、友人が背負おうとすると、こちらが疲弊しますし、相手はさらに防御を強めることがあります。
だからこそ、最初から「わからせること」を目的にしない方が現実的です。
相手を変えようとするより、必要なことだけ伝える。
相手に非を認めさせようとするより、自分が巻き込まれすぎない距離を取る。
その方が、結果的にこちらのストレスは減りやすくなります。
そして場合によっては、「この人は自分を無理に変えようとしてこない」という安心感が、相手の防御をゆるめることもあります。
言い訳ばかりする人の育ちや家庭環境
では最後に、言い訳ばかりする人の育ちや家庭環境についても簡単に触れておきましょう。
ここまで、言い訳する人の心理や特徴、対処法について見てきました。
ただ、そもそもなぜ言い訳ばかりする人になってしまったのか。
なぜそこまで怒られることを恐れたり、自分の非を認められなかったりするのか。
その背景には、育った環境や、過去の人間関係が関係している場合もあります。
1. 常に親の顔色をうかがっていた
言い訳ばかりする人の中には、子どもの頃から親の顔色をうかがってきた人もいます。
- 少しでも失敗すると怒られる
- 親の機嫌が悪いと責められる
- 自分の言動によって、家の空気が大きく変わる
そういった環境で育つと、何かを指摘された瞬間に、反射的に「怒られる」「責められる」と感じやすくなります。
その結果、まず自分を守るために言い訳が出るようになることがあります。
2. 過干渉な親だった
過干渉な親のもとで育った場合も、言い訳が増えやすくなることがあります。
- 何をしても細かく口を出される
- 自分で考える前に、親から正解を押しつけられる
- 少しのミスでも、必要以上に指摘される
そうした環境では、自分の行動を自分で引き受ける感覚が育ちにくくなります。
そのため、大人になってからも、何かを指摘されたときに「自分で受け止める」より先に、「なぜそうなったのか」を必死に説明しようとすることがあります。
3. 条件付きの愛情で育った
条件付きの愛情で育った人も、言い訳が多くなることがあります。
- いい子でいれば愛される
- ちゃんとできれば認められる
- 失敗しなければ受け入れてもらえる
そういう感覚が強いと、ミスや失敗がただの出来事ではなく、「愛されなくなる」「価値がなくなる」ことのように感じられてしまいます。
だから、失敗を認めることがとても怖い。
その怖さから、自分を守るために言い訳が出てくることがあります。
4. 周りに責任転嫁する人間が多かった
育った環境の中に、責任転嫁する人が多かった場合もあります。
- 親がいつも誰かのせいにしていた
- 家族の中で、失敗した人が責められていた
- 責任を取るより、先に言い訳をする人が身近にいた
そういう環境では、問題が起きたときに「まず責任を引き受ける」よりも、「自分のせいではないと説明する」ことが当たり前になりやすいです。
つまり、言い訳がその人にとってのコミュニケーションの型になっている場合もあります。
言い訳する人に振り回されないために
ここまで、言い訳ばかりする人の特徴や心理、背景、対処法について解説してきました。
何を言っても言い訳ばかりされると、「自分の心が狭いのかな」「私が責めすぎているのかな」と自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
けれど、言い訳を聞くことは、ただ相手の事情を聞くことというよりも、相手の自己弁護に付き合わされる側面が多いのです。
相手の防御反応を受け止め、自己イメージを守り、責任を逃がした分までこちらが気を遣う。
それは面倒くさいと感じて当然です。
相手を理解することは、相手のすべてを受け止めることではありません。
言い訳に限らず、そもそも相手の感覚や気持ちが理解できずに消耗している場合は、「人の気持ちがわからない人に心が削られる理由と対処法」も参考にしてみてください。
むしろ背景を理解することで、「これは私が全部背負う話ではない」と、少し引いた場所から見られるようになることもあります。
そうすることで、相手の言い訳に巻き込まれすぎず、少し軽やかに関係を保てるようになるかもしれません。
自分が正しいと思っている人の末路は孤立?心理背景と付き合い方
あの人、絶対おかしいよね?
いつも自分が正しいみたいな感じで、え?私が間違ってるの?
自分が正しいと思っている人と関わっていると、会話をしているだけなのに、こちらの感覚が少しずつ削られていきますよね。
職場関係であれ、友人関係であれ、家族であれ、常に自分が正しくて周りが間違っているといった圧を醸し出してくる人との関係はとても疲れるものです。
この記事では、自分が正しいと思っている人の末路や、そのような状態になってしまう相手の心理背景と付き合いの仕方について解説していきます。
自分が正しいと思っている人の末路は孤立
いつも自分が正しいような態度ばかり取っている人に対して、「この人はそのうちどうなるのだろう」と感じたことがある人もいるでしょう。
自分が正しいと思い続ける人の末路は、派手な天罰や突然の破滅というより、もっと静かなものです。
多くの場合、周囲の人が少しずつ本音を言わなくなり、相談しなくなり、期待しなくなり、いつの間にか孤立していく…。
職場では、大切な相談や判断を任されにくくなります。
夫婦や恋人などのパートナーシップでは、相手が安心して本音を出せなくなり、心の距離が開いていきます。
友人関係でも、はっきり縁を切られるというより、誘われなくなる、相談されなくなる、必要以上に関わられなくなるという形で距離が生まれます。
つまり、自分が正しいと思っている人の末路は、誰かに罰せられることではなく、人間関係の中で少しずつ信頼を失っていくことです。
そして本人は、周囲が離れていく理由を自分の態度に結びつけにくいため
「周りがわかってくれない」
「自分は悪くない」
「世界がおかしい」
とさらに正しさにしがみつきやすくなります。
この悪循環こそが、自分が正しいと思い続ける人に起こりやすい、もっとも現実的な末路だといえるでしょう。
自分が正しいと思っている人の心理背景
自分が正しいと思っている人は、一見すると自信満々で、相手を言い負かそうとしているように見えるかもしれません。
しかし、その背景には、自分を客観視する力の弱さや、間違いを認めることへの恐れ、劣等感、承認欲求などが隠れていることがあります。
ここでは、自分が正しいと思っている人の心理背景を見ていきましょう。
相手の心理的な背景が理解できると、多少は対応する時のストレスが減るかもしれません。
1. メタ認知能力が不足している
1つ目に、自分が正しいと思っている人の中には、自分の考えや言動を一歩引いて見る力が弱いことがあります。
このような、自分を客観的に観察する力をメタ認知といいます。
メタ認知が弱いと、自分が見ている景色や、自分が感じていることが、そのまま世界の正解であるかのように感じやすくなります。
そのため、相手が違う意見を出したときに、「そういう見方もあるのか」と受け取るのではなく、「相手が間違っている」「相手はわかっていない」と判断しやすくなるのです。
本人の中では、自分の考えが偏っている可能性や、相手には相手の事情がある可能性が見えにくくなっています。
2. 自己防衛が強く働いている
また、自分が正しいと強く思っている人の中には、自己防衛でいっぱいになっているケースもあります。
「自分が間違っていた=自分の存在が間違っていた」という存在否定として、本人の中では変換されているというものです。
そのため何か少し指摘されただけでも、攻撃されたように感じて強く反論したり、言い訳を重ねたりします。
本来なら、「そこは違っていたかもしれない」と一部修正すれば済む場面でも、本人の中では「自分の存在を守るための戦い」に無意識ですり替わってしまうのです。
正しさへの執着は、自信の強さというより、自分を守るための防衛反応として働いていることがあります。
3. 自己肯定感が低い
自分が正しいと思っている人は、一見すると自己肯定感が高いように見えることが多いですが、実際はその逆のことが多いです。
自分の存在をそのまま信じ、肯定する力が弱いからこそ、「正しさ」という尺度で自分をなんとか肯定しようとしている…このような不器用な試みであることも珍しくありません。
さらに「正しさ」という尺度を使って、他人に「あなたは正しいですよ」と言わせることによって、自己肯定できない代わりに他者肯定を得ようとしているケースです。
4. 劣等感が強い
自分の正しさを強く主張する人の背景には、劣等感が隠れていることもあります。
- 自分は劣っているのではないか
- 本当は認められていないのではないか
- 相手に下に見られているのではないか
このような不安が心の奥にあると、人は必要以上に自分を大きく見せようとします。
- 相手より優位に立つこと
- 相手を言い負かすこと
- 自分の方が正しいと証明すること
によって、一時的に安心しようとするのです。
心理学では、自分の正しさを過度に主張する態度は「優越コンプレックス」の一種であると言われています。
内面に抱えている劣等感を他者から気づかれないように、もっというと「自分でも自分の劣等感に気が付かないように」自分は正しいという主張を繰り返す心理です。
5. 承認欲求が過度に強い
また、自分が正しいと思っている人は、承認欲求が過度に強くなっている傾向も見られます。
承認欲求そのものは誰にでもある自然な感情です。
しかし、自分が正しいと思っている人の場合は、その欲求が強くなりすぎてしまい、自分の意見を通すことや、自分の正しさを証明することが、心の安定に直結していることがあります。
ここまでご紹介した自己肯定感の低さや劣等感の強さとも関係しますが、自分で自分を認められていないため、他人からの承認を強く求めるようになるのです。
- あなたは正しいですよ
- あなたの考え方は素晴らしいですね
- あなたの方が優れていますね
こうした評価を周囲から受け取ることで、自分の価値を確認しようとします。
逆にいうと、周囲からの承認を得られなければ、自分で自分を承認することができず、その苦しさが頑なな態度になってしまうという仕組みです。
6. 権力や立場に同一化している
自分が正しいと思っている人の中には、自分自身ではなく、肩書きや立場に強く同一化している人もいます。
- 上司だから正しい
- 親だから正しい
- 年上だから正しい
- 経験があるから正しい
- 資格や実績があるから正しい
権力や立場の同一化は、性格の良し悪しに関わらず、誰しも陥りがちなものです。
ただ、中でも「隠れた内面の弱さ」があり、自分で自分の存在を受け入れることができていない人の場合、肩書や権力を「自分自身の支え」にしてしまいがちです。
7. 感情コントロールが苦手
自分が正しいと思っている人は、感情を落ち着いて扱うことが苦手な場合もあります。
怒り、不安、恥ずかしさ、焦り、悔しさ。
こうした感情が出てきたときに、自分の中で整理できないため、相手への攻撃や正論として外に出してしまうのです。
- 本当は不安なのに、相手を責める
- 本当は傷ついたのに、相手を論破しようとする
- 本当は自信がないのに、強い言葉で押し切ろうとする
「正しさ」というのは、ある意味では感情に蓋をするちょうどいい重石になります。
自分の中で扱いきれない感情が溢れた時に、感情を感じなくて済む手段として「正しさ」で鎧を纏うケースも見受けられます。
なぜそうなった?今の相手が形成される過程
自分が正しいと思っている人は、なぜそのような態度を取るようになったのでしょうか。
当たり前ですが、生まれた瞬間から「自分だけが正しい」と思っている人はいません。
その人が今のような考え方や態度を取るようになった背景には、何らかの積み重ねがあるはずです。
ここでは、今現在の心理背景とは別に、その人が形作られてきた過程について軽く見ていきます。
1. 成果至上主義の環境で育った
まず考えられるのは、成果を強く求められる環境で育ったケースです。
- テストで良い点を取ったときだけ褒められた
- 常に優秀な兄弟姉妹と比較されて育った
- 頑張っても、親の期待値に届かなければ認めてもらえなかった
このような環境で育つと、「正しくあること」「結果を出すこと」「間違えないこと」が、その人にとっての生存戦略になりやすくなります。
愛情をもらうためには、正しくなければならない。
その場に所属するためには、間違えてはいけない。
このような観念が深いところに刷り込まれると、大人になってからも、間違いを認めることに強い抵抗が出やすくなります。
2. 過去の成功体験が大きい
また、過去の成功体験が大きい人も、自分の正しさに固執しやすくなることがあります。
これは、ある意味では自然なことでしょう。
- 過去に仕事で大きな成果を出した
- ある業界で一目置かれるような結果を出した
- 昔から人に評価される機会が多かった
このような経験があると、「自分のやり方でうまくいった」という実感が強く残ります。
ただ、その一部の成功体験をもとに、「だから自分の考えはすべて正しい」「他の場面でもこのやり方が通用する」と無意識に拡大解釈してしまうケースも少なからずあるのです。
3. 心のエネルギーが落ちている
また、一時的に心のエネルギーが落ちていることで、自分が正しいという態度が強く出ている場合もあります。
- 仕事上の強いストレス
- プライベートでの大きなショック
- 体調不良や睡眠不足
このような状況が続いている場合、本来なら受け流せることに過剰に反応したり、自分を守るために強い言葉を使ってしまうことがあります。
これは、性格の問題というより、心身の余力が落ちていることで、視野が狭くなっている状態です。
普段はそこまで頑固ではない人でも、強い疲労やストレスが重なっている時期には、「自分が正しい」という態度が一時的に強く出ることがあるのです。
自分が正しいと思っている人との付き合い方
ここまで、自分が正しいと思っている人の末路や心理背景について見てきました。
では、実際にそのような人が身近にいる場合、どのように付き合えばよいのでしょうか。
1. 正論で言い負かさない、論破しない
自分が正しいと思っている人に対して、正論で言い負かそうとする、論破しようとするのは避けましょう。 火に油を注ぐだけです。
こちらがどれだけ筋の通ったことを言っても、相手が「自分を否定された」と受け取れば、さらに強く反論してくる可能性があります。
特に、相手が論理が破綻していることを言っていて、正論で論破してしまった場合、相手はさらに頑なになってしまいます。
相手との関係性やシチュエーションにもよりますが、よっぽどのことがなければ避けることが賢明です。
2. 会話では傾聴を心がける
自分が正しいと思っている人と話すときは、まず相手の話を一度聞く姿勢を見せることも大切です。
メンタルカウンセリングでも、傾聴は重要なスキルのひとつとされています。
相手の意見をすぐに否定せず、まずはじっくり聞くことで、相手の防衛心が少し緩み、話がしやすくなるでしょう。
「そう考えているんですね」
「その点を大事にしているんですね」
「そう感じたんですね」
このように受け止める言葉を挟むことで、会話の圧が少し下がることがあります。
相手の意見に同意する必要はありません。
ただ、相手からの圧を下げ、こちらが冷静に話を進めるために、傾聴の姿勢を使うことは効果的です。
3. 目的や事実に話を戻す
自分が正しいと思っている人との会話では、話が感情論や勝ち負けに流れやすくなることがあります。
そのようなときは、「どちらが正しいか」ではなく、目的や事実に話を戻すように心がけましょう。
たとえば職場であれば
- 今回の目的は何か
- 今必要な判断は何か
- 事実として何が起きているのか
に戻します。
相手の主張に巻き込まれて、正しさの争いに入ってしまうと、会話はどんどん消耗戦になります。
目的や事実に戻ることで、相手の感情や自分の怒りに飲み込まれにくくなります。
4. 心の境界線をしっかり引く
自分が正しいと思っている人と関わるときは、心の境界線をしっかり引くことが特に大事です。
相手はここまでご紹介してきたような心理的背景から、なんとかして「あなたは正しい」という言葉を引き出そうとしてきます。
ですが相手の機嫌、怒り、不安、正しさへのこだわりまで、こちらが全部引き受けてしまうと、どんどん疲れてしまいます。
「この人はこう考えている」
「でも、私は別の考えを持っていていい」
「相手の感情は相手のもの」
必要以上に説得しようとせず、必要以上にわかってもらおうとしない。
その距離感が、自分の心を守ることにつながります。
職場での関わりに悩む場合は、職場で関わりたくない人と距離を取る方法も参考にしてください。
5. 相手の弱点を刺激しない
自分が正しいと思っている人は、内面に弱さや不安を抱えていることがあります。
そのため、相手の弱点を直接突くような言い方をすると、強い反発を招きやすくなります。
「だからあなたはダメなんです」 「いつも間違っていますよね」 「本当は自信がないだけですよね」
このような言い方は、たとえ本質を突いていたとしても、相手の防衛心をさらに強めてしまいます。
関係を必要以上に悪化させたくない場合は、相手の弱点を暴こうとするより、必要なことだけを落ち着いて伝える方が現実的です。
6. 相手の柔らかい部分にフォーカスする
自分が正しいと思っている人にも、常に硬い部分だけがあるわけではありません。
状況や相手によっては、少し話を聞ける瞬間や、素直に反応できる部分が見えることもあります。
そのような柔らかい部分にフォーカスすることも、付き合い方のひとつです。
- 相手が少しでもこちらの話を聞いてくれたとき
- ふとした優しさを発見したとき
- 一部だけでも譲歩してくれたとき
基本的には自分が正しいと思っている人であっても、ふとした瞬間に心の鎧が緩み、人としての柔らかさが見えることもあります。
「あの人は常に自分が正しいと思い込んでいる人だ」という見方にこちらが固定されすぎると、相手の違う側面を見落としやすくなります。
相手を変えようと力むよりも、相手が少しだけ柔らかくなった瞬間を見逃さない。
その方が、正しさでぶつかり合う関係から抜け出しやすくなるでしょう。
「自分が正しいと思っている人はめんどくさい!」と思っていい
ここまで、自分が正しいと思っている人がなぜそのような態度になるのか、そもそもなぜそのような態度を取る人物になったのかについて、主に相手への理解を深める視点で整理してきました。
相手の心理背景を知ることで、少し冷静に対応しやすくなることはあります。
ただ、最後に大事なのは、「自分が正しいと思っている人はめんどくさい」という自分の正直な感覚を認めることです。
人間関係では、相手を理解することが大切だと言われます。
相手の背景を知ることで、心の距離が少し縮まったり、関係性を見直すきっかけになったりすることもあるでしょう。
しかし、めんどくさいものはめんどくさいのです。
相手にどのような背景があったとしても、常に自分が正しいという態度を取られ続ければ、関わる側は疲れます。
相手の事情を理解することと、自分のしんどさをなかったことにすることは別です。
まずは、「私はこの人との関わりに疲れている」「めんどくさいと感じている」と、自分の本音を認めてあげてください。
そのうえで、どうしても離れることが難しい関係なのであれば、相手を変えようとするより、自分が消耗しすぎない距離感を探していきましょう。
相手の立場になって考えるとは?道徳を超えて発達のトレーニングへ
相手の立場に立って考えなさい。
そんなふうに、道徳的な意味で言われてきた人も多いでしょう。
でも、相手の立場に立って考えることは大事そうだとは思っても、「じゃあ具体的に何を見ればいいの?」とわからなくなる人が大半なのではないでしょうか。
この記事では、相手の立場に立って考えるとはどういうことか、相手の立場に立てるようになるメリット、できない理由、仕事や人間関係で使えるトレーニング方法について解説します。
相手の立場に立って考えるとは?
はじめに、相手の立場に立って考えるとは、具体的にどのようなことなのでしょうか。
似た意味の言葉に、「相手の気持ちを考える」があります。
人間は感情の生き物ですから、相手の気持ちを考えることが大事だというのは、理解しやすいでしょう。
では、そもそも「感情」とは何が理由で発生するのでしょうか?
相手の気持ちは、多くの場合、その人が置かれている立場から生まれます。
だから、相手のことを本当に理解しようとするなら、相手がどのような立場にいるのかを見なければいけません。
相手の立場に立って考えるとは、相手が置かれている立場を見たうえで、その立場だからこそ生まれる気持ちや考えを想像することとも言えるでしょう。
相手の立場に立って考えられるようになるメリット
ここからは、相手の立場に立って考えられるようになると得られるメリットについて、3つの角度から整理していきます。
1. コミュニケーションが円滑になる
1つ目に、コミュニケーションそのものが円滑になります。
相手の立場に立って考えられるということは、相手の感情や意見に対して、反射的に反発したり、衝動的に切り捨てたりしにくくなるということです。
自分とは違う考え方をされたときでも、「なぜこの人はそう考えるのだろう」「どんな立場からその意見が出ているのだろう」と、一度立ち止まって受け止めやすくなります。
相手の立場を踏まえたうえで話を聞けるようになると、会話がぶつかり合いではなく、理解し合うためのやりとりに変わっていきます。
そのため、相手の立場に立って考える力は、コミュニケーションの基本的なスキルだと言えるでしょう。
2. さまざまな立場の人と関係が深まる
2つ目に、さまざまな立場の人と関係が深まりやすくなります。
相手の立場に立って考えられるということは、自分とは異なる背景を持つ人とも関係を築きやすくなるということです。
人生には、人それぞれ本当にさまざまな立場があります。
- ごく平均的なルートを生きてきた人
- 幼少期に大変な思いをしてきた人
- 社会的に大きな成功をしている人
- 大病を経験している人
- マイノリティな趣味嗜好を持つ人
相手の立場に立って考える力がないままだと、自分とは違う立場の人と出会ったときに、その人が何を見て、何を感じ、何を大切にしているのかを理解しにくくなります。
すると、どうしても関係を深めることが難しくなりますから、自分の周りには、自分と似た立場や似た価値観の人ばかりが集まりやすくなります。
反対に、相手の立場を想像できるようになると、自分とは違う人生を歩んできた人とも、関係を築きやすくなるのです。
3. 仕事の成績が上がることもある
3つ目に、仕事の成績が上がることもあります。
「こともある」と書いたのは、仕事の種類や業種による部分も大きいからです。
ただ、次のような仕事では、相手の立場に立って考える力が、そのまま成果につながりやすくなります。
多くの仕事の先には、必ず人がいます。
自分とは違う立場のお客様、取引先、上司、同僚、利用者…それらの相手の立場を踏まえたうえで営業や接客ができるとなれば、当然成果にもつながりやすくなります。
相手の立場に立って考えられない理由
相手の立場に立って考えられるようになると、コミュニケーションや人間関係、仕事にも良い影響が出ます。
では、そもそもなぜ相手の立場に立って考えられないのでしょうか。
ここでは、相手の立場に立って考えることが難しくなる理由を、3つの背景から整理していきます。
1. 相手の立場についてイメージができない
1つ目に、最も多くかつシンプルな理由は、相手の立場についてイメージができないことです。
極端な話ですが、大企業に新入社員として入社したばかりの若者が、その企業の社長や取締役、さらには会長の立場になって物事を考えることはできるのでしょうか。
考えようと試みることはできても、そもそも住む世界が違いすぎて、さっぱりイメージがつかないというのが実情でしょう。
立場が違えば、見えている世界は大きく変わります。
- 仕事に対する価値観
- 顧客に対する見方
- 未来に対する考え方
- 従業員に対する考え方
- 責任や優先順位
こうしたものは、その人が置かれている立場によって変わります。
だから「相手の立場を想像しよう」と思っても、相手の世界を知らなければ、そもそも想像する材料がありません。
相手の立場に立って考えられないのは、思いやりがないからではなく、単純に相手の立場をイメージするための情報や経験が足りていない場合もあるのです。
2. 自分の感情が防衛反応を起こしてしまう
2つ目に、意外と多いのが、自分の感情が防衛反応を起こしてしまうことです。
防衛反応とは、自分の心が傷つきすぎないように、無意識に自分を守ろうとする働きのことです。
これは特に、親子や恋愛など、心の距離が近い関係で起こりやすいものですが、仕事や友人関係など、日常のあらゆる人間関係の中でも見られます。
たとえば職場で、自分は頑張って仕事をしているのに、上司からの評価が良くないケースを考えてみましょう。
自分では結果を出していると思っている。
認められたい気持ちもある。
けれど、現実には思うように評価されていない。
このとき心は、「認められたいのに認められない」という強いストレスを感じます。
その状態で防衛反応が働くと、「自分の力量が足りないのかもしれない」「会社の評価基準と合っていないのかもしれない」という現実を見るより先に、自分の心を守ろうとします。
本当にフラットに上司の立場を考えられれば、たとえば次のような事情も見えてくるかもしれません。
- 本当は評価したいが会社の評価基準に合っていなかった
- 今期は上位何%までしか高評価を出せない決まりがあった
- 上司自身もさらに上から評価を管理されていた
- 本人が思う成果と会社が求める成果にズレがあった
けれど、自分の感情が強く反応しているときは、どうしても「認めてほしかったのに認めてもらえなかった」という気持ちが先に立ちます。
その結果、上司の立場や会社側の事情を見る余裕がなくなり、相手の立場に立って考えることが難しくなるのです。
3. 人の感情がどう動くのかを知らない
3つ目に、人の感情についての理解が浅いことで、相手の立場に立って考えることが難しくなるケースもあります。
人は、どんな立場で、どんな状況に置かれたときに、どんな感情になるのか。
これは生まれつき自然にわかるものではなく、人との関わりの中で少しずつ学習していくものです。
もちろん人によっては、ASDやADHDなど、他者の感情や状況の読み取りに独特の認知特性を持っている場合もあります。
ただ、そうでなくても、これまでの人生でさまざまな立場の人と関わる経験が少なければ、人間心理への理解は深まりにくくなります。
- 人がなぜ怒るのか
- なぜ不安になるのか
- なぜ黙るのか
- なぜ強く反発するのか
こうした感情の背景を理解する経験が少ないと、相手の立場に立って考える以前に、「そもそも人はその状況でどんな気持ちになるのか」が想像しにくくなります。
そのため、相手の立場に立って考えようとしても、どこを見ればいいのかわからない状態になってしまうのです。
相手の立場に立って考えるトレーニング方法
ここからは、相手の立場に立って考えるスキルを高めるためのトレーニング方法について解説していきます。
日常の中で、どんな問いかけをするか、どんな人と関わるか、どんな視点を持つかによって、少しずつ視野が広がっていきます。
1. 「自分ならどう思うか」という問いかけを封印する
1つ目に、「自分ならどう思うか」という問いかけを一度封印してみましょう。
基本的に私たちは、幼少期から「自分がされて嫌なことは人にしない」と教えられてきた人も多いでしょう。
そのため、これは少し意外に感じるかもしれません。
「自分ならどう思うか」という問いかけが有効なのは、自分と相手の立場や価値観がある程度近い場合です。
ですが、次のような違いが大きい相手には、自分基準の想像だけでは届きにくくなります。
- 年齢が大きく違う
- 社会的な立場が違う
- 文化や育った環境が違う
- 性別や役割が違う
このような相手に対して「自分だったらどう思うか」と考えても、前提が違いすぎて、かえって的外れになることがあります。
相手の立場に立って考えるには、自分を基準に置き換えるのではなく、「この人の立場なら、何が見えているのか」と考える視点が必要です。
2. さまざまな立場の人と関わる
2つ目に、さまざまな立場の人と関わる経験を積むことです。
私たちは幼少期から、どうしても似たような環境の人と長く過ごしやすいものです。
義務教育の中では、同じ地域に住み、同じ学年で、近い生活圏にいる人たちと関わる時間が多くなります。
さらに高校以降になると、学力や進路によって人間関係が区切られやすくなります。
似た立場の人との関係は安心しやすいものですが、その中だけで過ごしていると、自分とはまったく違う立場の人が、どんな景色を見ているのかを想像しにくくなります。
そういった関係性の中で、自分とは違う世界を生きている人と関わる経験は大切です。
「世の中にはこんな立場の人がいるんだ」「同じ出来事でも、こんなふうに見る人がいるんだ」と知ることで、自分の中にさまざまな立場のサンプルが集まっていきます。
その積み重ねが、相手の立場に立って考える力を育てていくのです。
3. 創作物の登場人物からヒントを得る
3つ目に、創作物の登場人物からヒントを得る方法もあります。
映画、ドラマ、漫画、小説などには、自分とはまったく違う世界を生きている登場人物がたくさん出てきます。
もちろん、現実の中で自分とは違う立場の人と関わる経験に比べれば、リアルさは格段に落ちます。
けれど、創作物の中には、現実ではなかなか出会えない立場や境遇のキャラクターが描かれています。
- いきなり異世界に飛ばされて勇者になったキャラクター
- 凡人だったのに突然大きな力に目覚めたキャラクター
- 幼い頃から過酷な環境を生き抜いてきたキャラクター
- 普通の世界では経験しにくい立場に置かれたキャラクター
創作物なので、現実離れした立場や境遇も多いでしょう。
ただ、自分とはまったく違う立場の人の背景を想像する練習としては、創作物はかなり使いやすい材料です。
登場人物に感情移入しながら、「この人はなぜそう考えたのか」「この立場なら何を感じるのか」と考えてみる。
それも、相手の立場に立って考えるトレーニングになります。
4. 相手の反応をよく観察する
4つ目に、相手の反応をよく観察することです。
日々のコミュニケーションの中で、相手の立場を踏まえて話せたときは、相手の反応が変わることがあります。
人は、自分のことを理解してくれたと感じると、安心しやすくなります。
自分の立場をわかろうとしてくれる相手には、好意を持ちやすくなりますし、心も開きやすくなります。
反対に、「この人は自分のことをわかろうとしていない」と感じると、心を閉じたり、距離を取ったりしやすくなります。
だからこそ、自分が何を言ったときに、相手の表情や声のトーンが変わったのかを見ていくことが大切です。
自分の言葉に対して
- 相手が安心したのか
- 警戒したのか
- 少し心を開いたのか
- 距離を取ったのか
そうした反応を観察していくことで、「この人はどんな立場で、何を大切にしているのか」が少しずつ見えやすくなります。
相手の反応は、相手の立場を理解するための大切なヒントになります。
5. 自分の心のトラウマを癒す
5つ目に、自分の心のトラウマを癒していくことです。
これは少し意外に感じるかもしれませんが、ここまでに触れたように相手の立場に立って考えられない理由の中には、自分の心の防衛反応が強く働いているケースがあります。
- 愛されたかったのに愛されなかった
- 認められたかったのに認めてもらえなかった
- 仲間に入れてほしかったのに冷たくされた
- 大切にしてほしかったのに軽く扱われた
こうした心の傷は、誰しも大なり小なり持っているものですが、大きな傷が残ったまま人と関わると、コミュニケーションの目的が、無意識のうちに「自分の傷をこれ以上刺激されないこと」になってしまうことがあります。
そうなると、相手の立場を理解するどころではなくなります。
相手が何を感じているのか、どんな立場にいるのかを見る前に、自分の心を守ることが最優先になってしまうからです。
だからこそ、ヒーリングでもカウンセリングでも、自分に合う方法で心のケアをしていくことは大切です。
相手の立場に立つ力を育てるためには、相手を理解しようとする前に、まず自分の心が過剰に防衛しなくてもいい状態を整えていくことも必要なのです。
相手の立場に立って考えるスキルは誰でも取得できる
ここまで、相手の立場に立って考えるトレーニング方法や、そもそもなぜ相手の立場に立って考えることが難しいのかという背景について解説してきました。
私たち人間は社会的な動物です。人との関わりをどの程度必要とするかは人によって違いますが、多くの場合、仕事でも、家族でも、友人関係でも、誰かとの関わりやコミュニケーションを完全に避けて生きていくことはできません。
そんな中で、さまざまな立場の人と関わるときに、相手の立場に思いを馳せて関係性を作れるのか。それとも、相手の立場や背景にまったく考えを寄せずにコミュニケーションを取るのか。
どちらの方がより深い関係性を作れるかは、明らかでしょう。
相手の立場に立って考える力は、もともとの性格だけで決まるものではありません。
後天的に身につけていけるスキルです。
このスキルを少しずつ育てていくことで、人との関係性はより深く、豊かなものになっていくでしょう。
逃げ癖がある人の末路は?嫌なことから逃げる人の特徴と付き合い方
嫌なことがあるとすぐに逃げてしまう「逃げ癖のある人」との付き合いには悩みますよね。
もちろん、嫌なことに耐えて心身を壊してしまうくらいなら、逃げてしまった方が得策ですし、逃げることそのものが悪いことではありません。
ですが、大きな理由もなく逃げる癖がある人が近くにいる場合、周りはほとほと困ってしまうことも多いものです。
この記事では「逃げ癖」にスポットを当てて、「逃げ癖がある人の末路」や「すぐに嫌なことから逃げるあの人の心理はどうなっているのか?」付き合い方について解説していきます。
逃げ癖とは?嫌なことから逃げるパターンが習慣化している状態
まず最初に、逃げ癖とは何か?について整理していきましょう。
逃げ癖とは、嫌なことや面倒なこと、責任を取らなければならない場面から逃げるパターンが習慣化している状態です。
一度や二度、嫌なことから離れるだけであれば、それは逃げ癖とは言いません。
むしろ、自分を守るためには「ちゃんと逃げる」選択が取れることは大事です。
問題は、何か向き合うべき場面がくるたび、根本的な解決にならない逃げを繰り返してしまうことです。
つまり逃げ癖とは、単に嫌なことを避ける性格ではなく、問題と向き合う力や責任を引き受ける力が育たないまま、逃げることで一時的な安心を得る習慣のことと言えるでしょう。
逃げ癖がある人の末路は空虚感
では続いて、逃げ癖がある人の末路について見ていきましょう。
自己対話の学校では、さまざまなシチュエーションの方からご相談やお悩みを伺っています。
その中で、「今までの人生でずっと逃げてきた」「けれど、そのことを後悔している」と話される方には、ひとつの共通点があります。
それは、どこか大きな空虚感を抱えているということです。
逃げている間は、逃げることそのものが目的になるため、あまり他のことを考えずに済みます。
逃げることができてほっとする。
けれど、またうまくいかなくなって逃げる。
そしてまた、一時的にほっとする。
その繰り返しの先で、ふと
「私は一体、何をやっているのだろう」
「この人生で積み上がっているものは、何もないのではないか」
「なんだか自分が空っぽに感じる」
と感じるようになることがあります。
逃げて逃げて逃げたその先にあるのは、大きなトラブルや天罰のようなものではありません。
静かで、何もない空っぽ感です。
逃げ癖がある人7つの特徴
「すぐに嫌なことから逃げる、逃げ癖のある人」というと、とても嫌な空気を纏っているような印象があるのではないでしょうか。
ですが意外と、第一印象からはわからなことが多いのです。
ここから逃げ癖がある人によく見られてる、7つの特徴をご紹介します。
1. 言い訳がうまい
まず一つ目に、言い訳がうまいという特徴があります。
「言い訳が多い」とも言えますが、逃げ癖がある人の場合、ただ雑に言い逃れをするというより、こちらが思わず納得してしまうような理由を並べることがあります。
そのため、最初のうちはあまり違和感を持たないかもしれません。
「あ、そうなんだ」
「それは大変だったね」
「そういうことなら仕方ないね」
と相手の話を聞いているうちに、ある時ふと気づきます。
「これは事情説明ではなく、ただ相手の言い訳を飲み込まされているだけではないか?」と。
明らかに下手な言い訳であれば、こちらもすぐに気づけます。
けれど、逃げ癖がある人の言い訳は地味にうまいことがあるため、しばらくの間は見抜きにくい場合があります。
2. 核心をついた話を嫌う
2つ目に、核心をついた話を嫌う傾向があります。
たとえば、男女として良い雰囲気になっている相手に「結婚しているのか」と聞いても、はっきり答えずに濁す。
ビジネスパートナーとして取引を考えている段階で、明確な契約内容を見せようとしない。
このように、逃げ癖がある人は「実際のところ、どう考えているのか」を問われる場面を嫌うことがあります。
なぜなら、核心をついた話には責任が発生するからです。
はっきり答えれば、その言葉には責任が生まれます。
曖昧にしていたことを明確にすれば、あとから「そんなつもりではなかった」と逃げにくくなります。
そのため、自分の言動に責任が発生する場面になると、核心部分からスルリと上手に逃げてしまうのです。
3. 自分の問題を他人や環境のせいにする
3つ目に、自分の問題を他人や環境のせいにする傾向が見られます。
これは、1つ目でご紹介した「言い訳が地味にうまい」という特徴ともつながっています。
- ただやりたくないだけの仕事を、上司や同僚のせいにして逃げる
- 自分の能力が足りていないだけなのに、時代のせいにする
- 自分のコミュニケーションの取り方に課題があるのに、相手の理解力不足のせいにする
このように、逃げ癖がある人は「自分に問題がある」と見るのではなく、「問題は時代や環境や他人にある」と外側に原因を置きやすい傾向があります。
しかも、言い訳が地味にうまいため、本人も周囲も「たしかに、そうなのかもしれない」と思ってしまうことがあります。
その結果、本人が自分の課題と向き合う機会が、少しずつ失われていくのです。
4. 自己認識のメモリが上振れている
4つ目に、自己認識のメモリが上振れている人が多いです。
私たちは社会の中で、自分以外の人と関わりながら暮らしているため、自然と自分と他人を比較する場面も多いでしょう。
たとえば、
- 他の人と比べて、自分は身長が高い
- Aさんは可愛い系だけれど、私はかっこいい系
- 東大の偏差値は○○で、自分の出身大学の偏差値は△△
というように、ある程度フラットに自分の位置を把握する場面です。
けれど、すぐ嫌なことから逃げる人は、自己認識が実際の相対的な評価よりも高くなっていることがあります。
集団の中で自分がどの位置にいるのかを見る相対評価よりも、「自分が自分をどう思っているか」という絶対評価の感覚が強いのです。
そのため、周囲から見るとまだ力不足に見える場面でも、本人の中では「自分は本来もっとできる」「自分はもっと評価されるべきだ」という認識になっていることがあります。
5. 根拠のない自信に満ち溢れている
5つ目に、根拠のない自信に満ち溢れているように見えることがあります。
これは、実際に本人が根拠のない自信を持っているケースもあれば、実際は劣等感などに塗れているけれど、周囲から見ると「なぜか自信満々に見える」というケースもありますが、この記事ではどちらも同じものとして扱います。
根拠のない自信は、自己啓発などの文脈では、前向きなものとして語られることがあります。
何かにチャレンジするとき、自分の可能性を信じる土台として、根拠のない自信が大切だと言われることもあるでしょう。
そのため、根拠のない自信に満ち溢れている人は、周囲から見ると、自分には持つのが難しいものを持っている「すごい人」のように見えることがあります。
一見すると、逃げ癖がある人には見えません。
むしろ、堂々としていて、自分を信じる力がある人のように見えることの方が多いのです。
けれど、その自信が現実の行動や責任と結びついていない場合、それは前向きな自己信頼ではなく、現実を見ないための鎧になっていることがあります。
6. 格下相手には強気に出る
6つ目に、格下だと判断した相手には強気に出る傾向があります。
ここでいう格下とは、実際に上下関係があるという意味ではありません。
逃げ癖がある人の中で、「この人には強く出ても大丈夫」「この人には自分の方が優位に立てる」と認識している相手のことです。
たとえば恋愛であれば
- 相手が自分に強く好意を持っている
- 自分のリクエストを相手がたくさん聞いてくれる
- 自分が少し雑に扱っても、相手が離れていかない
仕事であれば
- 自分より社内での評価が低い
- 自分より目立つ成果を上げていない
- 自分より立場が弱い
その他にも
- 見た目
- 家柄
- 収入
- 肩書き
- 配偶者の職業
- 子どもの学歴
などを基準に、格付けして対応を変えるというものです。
逃げ癖がある人は、相手と自分を比較して「自分の方が格上だ」と感じたとき、急に強気に出ることがあります。
ただし、先ほどご紹介したように、自己認識のメモリが上振れているため、本人が「自分の方が勝っている」と思っていても、冷静に見るとそうでもないことがあります。
むしろ、客観的には相手の方が誠実で、責任感があり、社会的にも安定している場合さえありますが、本人は、自分の認識のズレに気づきません。
そのため、自分の方が優位だと思い込んだ相手には、強気な態度を取りやすくなるのです。
7. 人たらしでモテる
7つ目に、人たらしでモテる傾向があります。
ここまでご紹介した、逃げ癖のある人の特徴は、全体的にネガティブな印象が多かったかもしれません。
しかし、逃げ癖がある人は、実は人たらしで、ある意味コミュニケーション能力が高い人も少なくありません。
人の懐に入るのがうまく、人の心を掴む感覚に長けている。
だからこそ
- 逃げてもどこかで許される
- 誰かが助けてくれる
- 何となく場が収まってしまう
という経験を積み重ねてきた可能性があります。
その結果、逃げることによって大きく困る経験が少なく、本人も改善する必要性を感じにくいのでしょう。
嫌なことから逃げる人は何から逃げているのか
ではここから、逃げ癖がある人は一体何から逃げているのか、もう少し深いところを見ていきましょう。
逃げ癖がある人と関わっていると、周囲はほとほと困らされることも多いです。
表面的には、ただ面倒なことから逃げているように見えるかもしれませんが、「相手が本当は何から逃げているのか?」を見ていくと、その行動の背景にある心理が少し見えやすくなります。
必要以上に振り回されないためにも、逃げ癖の奥にあるものを整理しておきましょう。
1. 責任を取ること
1つ目に、責任を取ることから逃げているケースがあります。
日本では特に、「責任を取る」というと
このように感じられやすいので、責任を積極的に取りたいと感じる人は、決して多くないでしょう。
ただ、逃げ癖がある人の場合は、単に「責任を取りたくない」というよりも、心の奥に
「自分には責任を取る能力がない」
「自分なんかに責任は取れない」
という無力感や劣等感が隠れていることがあります。
責任が嫌なのではなく、責任を取ろうとした瞬間に、自分が潰されてしまうように感じるのです。
そのため、本人もはっきり自覚しないまま、責任が発生しそうな場面から逃げてしまうことがあります。
2. 失敗して傷つくこと
2つ目に、失敗して傷つくことから逃げているケースも多いでしょう。
失敗して傷つくことは、逃げ癖のあるなしにかかわらず、誰にとっても心地よいものではありません。
積極的に失敗したい人も、積極的に傷つきたい人も、基本的には少ないはずです。
ただ、逃げ癖がある人の場合、心の奥で
「自分は失敗したら立ち直れない」
「傷ついたら、その傷は一生癒えない」
と感じていることがあります。
つまり、自分の心の回復力やレジリエンスに、自信がないのです。
逆に言えば、「自分は絶対に失敗から立ち直れない」という強い確信を持っているとも言えますが、その場合「立ち直れなくなるような出来事を起こさないこと」に全力を注ぎます。
結果的に、挑戦しない、向き合わない、深く関わらない、責任を取らないという形で、逃げる選択を取りやすくなるのです。
3. 人の感情と向き合うこと
3つ目に、人の感情と向き合うことから逃げているケースも珍しくありません。
人は、誰かと関わる以上、その人の感情とも関わることになります。
- 相手の怒り
- 相手から向けられる期待
- 相手の悲しみ
- 相手の落胆
こうした感情を真正面から受け止めることが、逃げ癖のある人にとっては大きな負担になる場合があります。
ここまで見てきたように、逃げ癖がある人は、ある意味では繊細な自分の心を守るために逃げ続けているとも言えます。
そのため、他人から強い感情を向けられると、まるでアレルギー反応のように避けようとすることがあります。
相手の感情を受け止めたら、自分が耐えられなくなる。
相手の怒りや悲しみに触れたら、自分が潰されてしまう。
そのような感覚があるために、人の感情と向き合う場面から逃げてしまうのです。
4. 自分の感情と向き合うこと
4つ目に、自分自身の感情と向き合うことから逃げているケースもあります。
これは、先ほどご紹介した「人の感情と向き合うこと」と対になるものです。
私たちは、生きているだけでさまざまな出来事に直面し、そのたびに、自分の中には何らかの感情が発生します。
- 給料が上がれば喜びが出る
- 失恋すれば悲しみが出る
- 理不尽な対応をされれば怒りが出る
このように、人と関わると相手の感情に触れるだけでなく、自分の中にも感情が動きます。
しかも、人との関わりが深くなるほど、自分の中に発生する感情の量や強さも大きくなりやすいものです。
喜びや幸せのように、扱いやすい感情なら良いのですが
- 怒り
- 憎しみ
- 嫉妬
- 絶望
- そこから生まれる暴力性や加害性
このようなものを感じたとき、人は自分の感情を自分でも扱えなくなることがあります。
その感情を直視すると、自分自身が怖くなるのです。
すると、その感情を発生させる前に、感情が動きそうな場面そのものから逃げようとします。
悔しさを感じるくらいなら、仕事から逃げる。
嫉妬を感じるくらいなら、人と比べる場所から逃げる。
怒りや加害性を感じるくらいなら、深い関係から逃げる。
このように、逃げ癖の奥には、嫌な出来事そのものではなく、自分の中に生まれる感情を見たくないという心理が隠れていることもあります。
5. 選択すること
5つ目に、選択することから逃げているケースもあります。
選択するということは、自分の選択に責任を持つことでもあります。
つまり、選択と責任はセットなのです。
そのため、逃げ癖がある人は、責任から逃げるために、選択そのものを避けるという戦略とも言えるでしょう。
とはいえ、何も選ばないまま人生を進めることは難しいものです。
そこで、自分では選ばず、相手に選ばせようとします。
そうすることで
「自分が選んだわけではない」
「相手がそう言ったから」
「状況がそうなったから」
と、責任の所在を曖昧にできるからです。
逃げ癖がある人は、自分で選択せずに、外側の流れに乗せられたような形で人生を進めようとすることがあります。
6. 自分自身
最後に、自分自身から逃げているという傾向も見られます。
これは逃げ癖がある人に限ったことではなく、私たち人間は、多かれ少なかれ、自分自身と向き合うことに抵抗を感じるものです。
自分に自信がなかったり、過去に傷ついた思いを抱えていたり、見たくない記憶や認めたくない弱さを持っていたりすることは、誰にでもあります。
ただ、逃げ癖がある人の場合、自分自身と向き合うことへの抵抗がより強くなることがあります。
なぜなら、自分がこれまで逃げてきたことを、本当は自分自身が一番よく知っているからです。
- 責任を取るべき場面で逃げたこと
- 本当は向き合うべきだった人から逃げたこと
- 自分のミスを、他人や環境のせいにしたこと
そういった自分と向き合うのは、とても怖いことです。
自分自身と向き合えば、今まで見ないようにしてきた自分と、大量に対面することになるからです。
その怖さから、さらに自分自身から逃げる。
そして、逃げれば逃げるほど、ますます自分と向き合えなくなる。
このように、逃げ癖は自分自身から逃げ続ける負のループに繋がります。
逃げ癖がある人との付き合い方
では、ここから逃げ癖がある人との付き合い方について考えていきましょう。
相手の心理的な背景を理解できたとしても、「だから仕方ない」「すべて受け入れよう」とする必要はありません。
こちらはこちらで、現実的な対応策を持っておくことが大切です。
1. 大事な責任を任せない
まず大切なのは、大事な責任をむやみに任せないことです。
逃げ癖がある人は、一見すると自信があり、仕事ができそうに見えることがあります。
しかし、評価されることは喜んでも、それに伴う責任は引き受けたがらない場合があります。
大事な役割を任せた結果、責任を取る場面で逃げられてしまうこともあるため、違和感がある相手には最初から大きな責任を任せすぎない方が無難です。
2. 相手の責任まで背負わない
次に、相手が本来持つべき責任をこちらが肩代わりしないことです。
小さな責任であっても、何度も引き受けていると、相手にとって「この人は自分の責任を受け取ってくれる人」になってしまいます。
それが積み重なると、こちらの負担ばかりが増えていきます。
相手が自分の責任をこちらに渡そうとしてきたら、早い段階で線を引くことが大切です。
3. 報酬を先に渡さない
3つ目に、報酬を先に渡さないことも大切です。
ここでいう報酬とは、お金だけではありません。
- まだ結果を出していない段階で高く評価する
- 可能性だけで大事なポジションを与える
- 「優秀そうだから」という理由だけで期待をかけする
こうした先払いの報酬は、逃げ癖がある人にはあまり向きません。
責任感がある人であれば、報酬を受け取った分だけ責任を果たそうとしますが、逃げ癖がある人の場合、報酬だけを受け取り、責任の場面では逃げてしまうこともあるでしょう。
4. 期待値を現実的に調整する
4つ目に、期待値を現実的に調整することです。
逃げ癖がある人は、最初は魅力的に見えたり、優秀そうに見えたりすることがあります。
そのため、つい大きく期待してしまうこともあるでしょう。
しかし、「この人は逃げやすいかもしれない」と感じた時点で、期待値を少し現実ベースに戻すことが大切です。
冷たく見放す必要はありませんが、過度に期待せず、様子見の期間を持つくらいがちょうどいいでしょう。
5. 自分の境界線を決めておく
5つ目に、自分の境界線を決めておくことです。
逃げ癖がある人が逃げても、その人が持つべきだった責任そのものが消えるわけではありません。
そのため、責任感が強い人ほど、相手が置いていった責任まで回収してしまうことがあります。
けれど、それを続けていると、こちらが消耗してしまいます。
自分が引き受ける責任と、相手が持つべき責任を分けておくこと。
それだけでも、逃げ癖がある人と関わることで生まれる余計な負担を減らしやすくなります。
逃げ癖のある人からの地味な被害に遭わないために
ここまで、逃げ癖がある人の末路や心理背景、現実的な付き合い方について解説してきました。
逃げ癖がある人は、必ずしも最初から「この人には注意した方がいい」とわかりやすい雰囲気をまとっているわけではありません。
むしろ、コミュニケーションが上手だったり、人当たりがよかったり、場を和ませるのが得意だったりすることもあります。
大きな問題が起きていないときは、むしろ付き合いやすい人に見えることもあるでしょう。
だからこそ、逃げ癖は見抜きにくいのです。
逃げ癖がある人は、普段から積極的に大きなトラブルを起こす人というわけではありません。
ただ、何か大きな揺れや、対処しなければならない問題が起きたときに、責任を引き受けず、力になってもらえないことが多いでしょう。
それが、逃げ癖がある人と関わる中で起きやすい地味な二次被害です。
大きな被害を積極的に引き起こすわけではない。
けれど、本当に向き合うべき場面で逃げられることで、周囲に負担が残る。
その負担をすべて自分が背負わないためにも、相手の特徴を見極めながら、現実的な距離感で付き合っていくことが大切です。
人の気持ちがわからない人に心が削られる理由と対処法
人の気持ちがわからない人と関わっていると、少しずつ自分の心が削られていくような苦しさを感じませんか?
「なぜこんなにも伝わらないのだろう」そんな感覚が積み重なると、人は強い孤独感や疲労感を抱えやすくなります。
この記事では、人の気持ちがわからない人との関係がなぜ苦しくなるのか、その背景や特徴、そして心を削られ続けないための対処法について整理していきます。
人の気持ちがわからない人にはどんなタイプがある?
一言で「人の気持ちがわからない人」といっても、なぜ人の気持ちがわからないのか、その背景にはいくつか異なるパターンがあります。
どのパターンであっても、身近な相手に気持ちを理解してもらえない状態が続けば、こちらの心が削られていくことに変わりはありません。
ただ、少なくとも「この人はなぜこういう反応をするのか」が分かるだけでも、何も分からないまま相手の態度を真正面から受け続けるより、受けるダメージは小さくなります。
たとえば、猫は水が苦手だと知っていれば、お風呂を嫌がられても「私が嫌われているからだ」とは考えません。
それと同じように、相手の態度そのものは嫌だったとしても、その反応がどこから来ているのかを理解することが、自分の心と相手の反応の間にクッション材を置くことにつながります。
ここでは、人の気持ちがわからないように見える人に多い、代表的な5つのパターンを見ていきます。
1. 発達特性や認知特性が背景にあるタイプ
人の気持ちがわからないように見える背景には、ADHDやASD(自閉スペクトラム症)などの発達特性や認知特性が関係しているケースもあります。
- 相手の表情や空気感の変化を読み取りづらい
- 言葉を文字通りに受け取りやすい
- 感情のニュアンスを察することに負荷がかかる
- 自分の関心に意識が集中しやすい
といった特徴がある場合、本人に悪気がなくても、「冷たい」「気持ちを分かってくれない」と感じられることがあります。
特にASD傾向が強い場合は、“感情を察するコミュニケーション”そのものが難しいことがありますし、ADHD傾向が強い場合は、注意の分散や衝動性によって、相手の感情への配慮が抜け落ちやすくなることもあります。
もちろん、発達障害や発達特性がある人すべてが「人の気持ちがわからない」というわけではありません。
また逆に、発達特性がなくても、人の感情理解が極端に苦手な人もいます。
ただ、「悪意で傷つけている」のではなく、“認知や特性の違い”によってコミュニケーションのズレが起きているケースは、実際に存在しています。
2. 感情への関心が極端に薄いタイプ
そもそも、人の感情そのものにあまり関心を向けていないタイプもいます。
このタイプは、論理や結果、効率性などを重視しやすく、「気持ちを共有する」という感覚自体が弱い傾向があります。
そのため、相手としては、
- 「話を聞いてもらえない」
- 「感情を無視されている」
ように感じやすくなります。
ただし本人としては、「何が問題なのか分からない」という感覚でいることもあります。
3. 自分のことで精一杯になっているタイプ
精神的な余裕がなく、自分のことで精一杯になっていると、人は他人の感情にまで意識を向けにくくなります。
- 仕事のストレス
- 慢性的な疲労
- 強い不安やプレッシャー
そうした状態が続くと、相手の気持ちを理解する以前に、「自分を保つだけで限界」という状態になってしまうことがあります。
この場合、本人そのものに共感能力がないというよりも、一時的に他者の感情に対する感度や優先度が低下している場合もあります。
4. 心理的な未成熟さや防衛が強いタイプ
人によっては、感情との向き合い方そのものが未成熟だったり、自分を守るための防衛が強く働いていたりする場合もあります。
たとえば、
- 自分が傷つきたくない
- 自分が責められたくない
- 自分が悪かったとは思いたくない
という気持ちが強いと、相手の感情を受け止める余裕を持てなくなります。
相手の気持ちを深く理解すれば、
「自分が相手を傷つけていた」
「向き合うべき問題がある」
という現実にも直面するかもしれません。
すると、
「そんなつもりじゃない」
「気にしすぎ」
「よく分からない」
と話をはぐらかしたり、逆ギレしたり、相手の感情そのものを見ない方向へ反応することがあります。
このタイプは、単純に「人の気持ちがわからない」というより、分かると自分が苦しくなるため、相手の気持ちに向き合えない状態に近い場合もあります。
5. 「共感される経験」が少ないタイプ
育ってきた環境の中で、自分自身が気持ちを受け止めてもらう経験が少なかった人もいます。
- 感情を話しても否定される
- 我慢することが当たり前
- 弱音を許されなかった
そうした環境で育つと、「感情を分かち合う」という感覚そのものが育ちにくくなることがあります。
そのため、本人に悪意がなくても、他人の感情への関わり方が分からないまま大人になるケースもあります。
人の気持ちがわからない人といると心が削られる理由
ではなぜ、人の気持ちがわからない人との関係は、ここまで苦しくなってしまうのでしょうか。
その背景には、人が本能的に「誰かとつながりたい」という欲求を持っていることがあります。
人は、自分の気持ちを分かってもらったり、感情を受け止めてもらったりすることで、一人ではない安心感を得ます。
ですが、人の気持ちがわからない人との関係では、
- 「伝わらない」
- 「理解してもらえない」
- 「気持ちに応答してもらえない」
という状態が繰り返されやすくなります。
すると、ただ会話が噛み合わないだけではなく、「自分の気持ちそのものが存在していないような感覚」になってしまうのです。
特に相手がパートナーや家族など近しい存在なら、簡単に距離を取れないぶん、日常そのものの中で消耗しやすくなります。
1. コミュニケーションコストが増加する
人の気持ちがわからない人との関係では、まず「普通に会話するだけ」で強いエネルギーを使うようになります。
こちらとしては当たり前に伝わると思っていたことが伝わらなかったり、感情のニュアンスを何度説明しても噛み合わなかったりするためです。
「どう言えば伝わるのか」
「どこまで説明すればいいのか」
を常に考え続ける状態になり、コミュニケーションそのものが大きな負担になっていきます。
2. 感情を軽視され自分まで否定されたように感じる
さらに関係が続くと、自分の感情を“軽く扱われている”ような感覚が積み重なっていきます。
悲しかったことを話しても論理で返されたり、傷ついた気持ちを伝えても「考えすぎ」と処理されたりすると、「気持ちを受け止めてもらえなかった」と感じます。
すると、単に話が通じないだけではなく、
「自分の感情には価値がないのかもしれない」
という苦しさに変わっていきます。
さらにそれが続くと、次第に「感情」だけではなく、「自分自身」が否定されているような感覚へ近づいていきます。
人は何を持って“自分”だと認識するか?というと、主に「感情=自分」という認識になりやすいです。
つまり、自分の気持ちを理解してもらうことで、「ここにいていい」と感じやすい生き物です。
そのため、何を伝えても届かない状態が続くと、
「自分という存在そのものが相手にとってはどうでもいいのではないか」
という孤独感を抱えることがあります。
3. 期待と失望を繰り返す
それでも、「次こそは分かってくれるかもしれない」と期待し、何度も歩み寄ろうとします。
けれど、そのたびにまた伝わらない現実に直面すると、期待と失望を繰り返すことになり、心がどんどん疲弊していきます。
この期待と失望のループが長引きやすいのは、「嫌いだから苦しい」のではなく「大切だから苦しい」からです。
本当にどうでもいい相手なら、そこまで深く傷つきません。
けれど、愛情や期待がある相手だからこそ、
- 分かってほしい
- つながりたい
- 本当は理解し合いたい
という気持ちが消えず、簡単に関係を割り切れません。
4. 近しい相手ほど日常から距離を取りづらい
職場の人間関係であれば、ある程度距離を置いたり、接触時間を減らしたりすることができます。
けれど、パートナーや家族の場合は、生活そのものが密接につながっているため、簡単に距離を取ることができません。
本来なら安心できるはずの場所で、常に気を張り続ける状態になるため、心が休めなくなっていきます。
しかも、近しい相手との関係では、特別な出来事だけではなく、日常の小さな積み重ねがストレスになっていきます。
- 会話のズレ
- 感情への無反応
- 何気ない一言への傷つき
一つ一つは小さく見えても、それが毎日のように繰り返されると、少しずつ心のエネルギーが削られていきます。
すると、家にいることや一緒に過ごすことそのものが、緊張につながってしまうこともあります。
5. 自分だけが感情処理係になりやすい
人の気持ちがわからない相手との関係では、感情の整理や空気の調整を、片方だけが担いやすくなります。
- 相手を怒らせないようにする
- 場の空気を悪くしないようにする
- 自分が我慢すれば丸く収まる
そうやって無意識に“感情処理係”の役割を引き受け続けると、関係のバランスは少しずつ崩れていきます。
そして気づいた頃には、自分ばかりが精神的に疲弊している状態になってしまうことがあります。
6. 分かり合いたいほど自分の感覚を抑えてしまう
そして皮肉なことに、「分かり合いたい」という気持ちが強い人ほど、関係の中で深く消耗しやすくなります。
- 何とか伝えようとする
- 歩み寄ろうとする
- 理解し合える可能性を信じ続ける
けれど、その努力に対して感情的な応答が返ってこない状態が続くと、少しずつ自分の気持ちを感じない方向へ向かうことがあります。
感情を感じると、近しい人には分かち合いたくなります。
でも、分かち合いが機能しない。
拒絶されているように感じてしまう。
それならば最初から「感じない方が楽」と無意識が判断するためです。
すると、本来は傷ついているはずなのに、自分でもその傷に気づきにくくなっていきます。
「何を話しても伝わらない」
「どうせ理解されない」
「もう説明する気力もない」
そんな感覚が強くなると、相手との関係だけではなく、自分自身の感覚まで分からなくなってしまうことがあります。
人の気持ちがわからない人と関わるときの対処法
では、もし身近な家族やパートナー、職場の人間関係などで、「人の気持ちがわからない人」と関わらざるを得ない場合、どのようなことを意識するとよいのでしょうか。
もちろん、関係性によっては簡単に距離を取れないこともありますし、「できれば関係を続けていきたい」と感じる相手もいると思います。
そこで大切なのは、自分の心まで削り切らない関わり方を持つことです。
ここからは、人の気持ちがわからない相手と関わるときに、自分の心を守りながら関係性を築いていくためのヒントを5つ整理していきます。
1. 自分の気持ちを自分が一番理解する
まず一番大切なのは、自分の気持ちを、自分自身が一番理解してあげることです。
人は、自分の本音や感情と深くつながれているとき、想像以上に精神的な安定感を持ちやすくなります。
逆に自分で自分の気持ちが分からなくなっているときほど、
「誰かに理解してほしい」
「気持ちを受け止めてほしい」
という欲求は強くなりやすくなります。
そんな時に、人の気持ちがわからない相手と関わると、その苦しさが“二重ダメージ”になりやすいのです。
相手からも理解されない。
しかも、自分自身も自分を理解し切れていない。
すると、人はどんどん孤独感を深めやすくなります。
人の気持ちがわからない相手と関わるときほど、「私は今どう感じているのか」を、自分自身が丁寧に理解してあげることが大切になります。
もし、相手との関係で消耗するうちに「そもそも自分が何を感じているのか分からない」という状態になっているなら、「感情を取り戻す方法|何も感じない原因と自分の気持ちを知る5ステップ」で、自分の感覚を取り戻す方法を詳しく解説しています。
2. 完璧な理解ではなく具体的な応答を求める
近しい相手ほど、「分かり合いたい」という期待を持ちやすくなります。
けれど、人と人は、完全に同じ感覚にはなれません。
特に、人の感情理解が苦手な相手に対して“100%の共感”を求め続けると、こちら側が消耗し続ける構造になりやすくなります。
もちろん、「理解されなくていい」という意味ではありません。
ただ、人の気持ちを察することが苦手な相手には、「分かってほしい」と伝えるだけでは、相手自身も何をすればいいのか分からない場合があります。
そんなときは、気持ちを完全に理解してもらうことよりも、具体的に何をしてほしいのかまで伝えてみる方が、関係を調整しやすくなります。
たとえば、
- 「今日は解決策を出すより、まず話を聞いてほしい」
- 「その言い方をされると傷つくので、次からはこう言ってほしい」
- 「今は話せないなら、いつなら話せるかだけ教えてほしい」
といった具合です。
人の気持ちを自然に察するのは苦手でも、具体的に伝えれば応じようとしてくれる人もいます。
「気持ちを100%分かってくれるか」ではなく「分からなくても、こちらが伝えたことを扱おうとしてくれるか」を見ることが大切です。
3. 相手の応答を見て関わり方を変える
具体的に伝えたあとは、相手がどう応答するのかを見ます。
たとえば、
- 内容が分からなくても、聞き直そうとする
- 今は余裕がないことを伝え、別の時間を提案する
- こちらが嫌だったことを覚えて、次から少し行動を変える
のであれば、人の気持ちを察することは得意ではなくても、関係そのものには向き合おうとしていると見ることができます。
その場合は、伝え方を具体的にしたり、話すタイミングを変えたりしながら調整していけばいいでしょう。
一方で、具体的に伝えても、
- 「気にしすぎ」と毎回否定する
- 逆ギレして話を終わらせる
- 何度伝えても同じことを繰り返す
という状態が続くのであれば、こちらの説明力だけの問題ではありません。
「これは相手の課題で、これは自分の課題」
と境界線を持ち、相手の機嫌や未熟さまで、すべて自分が処理しようとしないことも大切です。
一度うまく応答できなかっただけで相手を決めつける必要はありませんが、伝えた後の反応が繰り返しどう続くのかは、今後の関わり方を考える一つの判断材料になります。
4. わかってくれる人との時間を持つ
人は、「分かってもらえる経験」によって、心のエネルギーを回復していきます。
だからこそ、人の気持ちがわからない相手との関係で消耗しているときほど、“ちゃんと気持ちが通じる相手”との時間が重要になります。
- 安心して話せる人
- 無理に説明しなくても感覚が伝わる人
- 否定せずに話を聞いてくれる人
そうした存在との時間は、「自分の感覚は間違っていなかった」と感覚を取り戻す助けになります。
5. 自分の心が削られ続ける環境からは距離を取る
どれだけ歩み寄ろうとしても、一方的に心が削られ続ける関係というものは存在します。
そして、人は限界を超えて消耗すると、自分の感情や存在感覚そのものが分からなくなっていきます。
当たり前ですが、「我慢し続けること」だけが正解ではありません。
- 物理的な距離
- 会話量を減らす
- 関わる頻度を調整する
- 一時的に離れる
そうした“距離を取る”という選択も、自分の心を守るためには必要になることがあります。
大切なのは、「相手を理解すること」だけではなく、自分の心まで壊さないことです。
「わかってほしい」という自分の痛みに気づく
ここまで、人の気持ちがわからない人にはどのような背景があり、その関係の中でなぜ心が削られていくのか、そしてどのように関わればいいのかを整理してきました。
もちろん、人がどれくらい相手の気持ちを理解できるかには、特性や気質、精神的な成熟度なども関係してきますから、「わたしの気持ちを完璧に理解してほしい」と求めることは、現実的には難しい部分もあります。
けれどその一方で、「分かってほしかった」「理解されたかった」という自分の痛みまで、なかったことにしなくていいのです。
「わかってほしい」という気持ちは、ときに苦しみの原因にもなりますが、本来それは、「誰かと繋がりたい」という自然な願いでもあります。
本当は分かってほしかったという気持ちを大切にすることは、「誰かと繋がりたい」という自分の愛情を大切にすることでもあるのだと思います。